リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

リュートとの出会い (8)

2005年04月03日 09時19分19秒 | 随想
 ちょうどその頃、中学校の同級生宅でバロック・リュートのレコードをはじめて聴いた。彼がたまたま買ったレコードを一緒に聴いていて偶然耳にしたものだ。レコードのレーベルは忘れてしまったが、「都市と宮廷音楽」というような名のシリーズのドレスデン編に1曲だけ録音されていた。曲はヴァイス作曲ファンタジア、演奏はオイゲン・ミューラー・ドンボアだ。ヴァイスのファンタジアはギターで弾いたことがあったが、その響きの違い、解釈の違いに驚いた。高校生のとき、ヴァルター・ゲルヴィヒによるリュートのレコードを聴いたときに、ブリームとは異なる何か「本物らしさ」に惹かれたが、ただゲルヴィヒの演奏は技術的には未熟さが感じられた。それに対してドンボアのバロック・リュート演奏は確実なテクニックと洗練された音楽性を備えていた。ギターでそのファンタジアを弾いていたときは、オリジナルの響きはいったいどんなものなのかが分からなかったが、思わぬことでバロック・リュートの響きを知ることになった。ドンボアはその2年後に2枚組のバロック・リュート演奏のレコードを録音することになるのだが、その演奏よりファンタジアの演奏の方がずっとすばらしいと今でも思う。

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3 コメント

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Unknown (gentagonta)
2025-01-18 06:19:01
ギターを弾いていた頃(中高生の頃)はヴァイスと言えばファンタジア1曲の作曲家という認識しかなかったのを思い出しました。ヴァイスがリュート弾きで原曲がリュートのための曲ということも知らず、それどころかリュートという楽器のことすらもご存知ないガキでしたワン🐶
リュートで弾かれたものをいまだに聴いたこともなく、死ぬまでには聴いてみたい!と思っています。
具体的には中川先生のリュートで聴きたいですワン💕🐶
特に後半のポリフォニックな感じで入って、最後のエモく盛り上がっていくところがリュートではどんな響きなのかぜひ聴きたいです。
いつかこの曲を演奏される予定はございますでしょうか?(´ω`)\
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re (nakagawa)
2025-01-18 13:32:34
ヴァイスのファンタジアはもっとも初期から弾いている曲ですが、意外にコンサートで弾く機会は少ないです。録音は20年くらい前に宅禄したことがあります。CDにも録音しました。
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Unknown (gentagonta)
2025-01-21 14:24:27
> gentagonta さんへ
> ギターを弾いていた頃(中高生の頃)はヴァイスと言えばファンタジア1曲の作曲...... への返信

今届いたリンドベルイさんのヴァイスのCDに入ってたので(注文した時は曲目はチェックしてませんでしたが)聴くことが出来ましたワン🐶
ハ短調のファンタジアを1590年のSixtus Rauwolf luteという楽器で演奏されておられましたですワン(´ω`)\
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