リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

落としちゃイヤ~ホン!!

2020年10月21日 17時20分23秒 | 日々のこと
最近のスマホで使うイヤホンはBlutooth接続で、左右もワイヤレスで同期をとったタイプのものが主流です。わずらわしいケーブルが全くないのでそれは快適だろうと思います。

ただ落としたり失わないかなぁと思っていましたらやはりそういうケースが結構あるようです。



これはJR東日本の広告ですが、駅のホームから線路にイヤホンを落とす人が結構いるようです。街を歩いているときに落とした場合はすぐ拾えばいいのですが、ホームから線路に落とした場合は拾いに行くわけにもいかず泣く泣く放置ということになるのでしょう。

昔は線路によくタバコのポイ捨てがあって、それを拾うためのマジックハンドがありましたが、そのマジックハンドではイヤホンは掴みにくいそうで、結局そのままになっているのが多いらしいです。

解決策は落ちないようイヤホンの左右をストラップとか紐で繋ぐしかないと思うのですが、そうやっている人は少ないみたいです。

私は街を歩くときに音楽を聴きながら歩くのは怖くてできませんが、電車に乗っているときとかジムでマシンを使っているときなんかはイヤホンで音楽を聴くときがあります。こういうので聴いています。



Shure535というイヤホンを同じくShureの BT2に繋ぎ、Bluetoothで右隣のDAP(Astel & KernのSR15)にワイアレス接続をします。これだとイヤホンを落とすことは絶対にありませんが、BT2に接続するケーブルが首回りにありますので鬱陶しいと言えば鬱陶しいです。でもDAPとはワイアレス接続ですのでまぁ快適かなとは思います。

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(19)

2020年10月20日 17時26分49秒 | 音楽系
第3楽章の7~12小節です。



7小節目の五連符は装飾的な音型です。一拍を均等に5等分して弾く必要はありません。四分音符ひとつ(ファの音)でも構いません。

8小節目でヘ長調に転調してフレーズが一区切りします。9、10小節目はリュートを聴かせるためにヴァイオリンには休んでもらうことにしました。リュートは書かれている通りに弾いてもいいですが、ここは即興的なフレーズがほしいところです。

この楽章では装飾的な動きは大体書き込んでみましたが、第1楽章、第2楽章、次の第4楽章ではトリルとかモルデントなどの記号は使っていません。使った記号は、リュートのタブに出てくる記号と同じ記号(丸かっこの右側みたいな記号およびそれが音符の下についた形の記号)を使いました。これらの記号は多義的で、早い動きにつけば軽く短いアポジャトゥーラになり、カデンツのところでの付点音符に付いたらトリルになります。それらをどう弾くかは奏者に任されていますし、それ以外につけても構いません。

(つづく)

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(18)

2020年10月19日 17時33分50秒 | 音楽系
今回から第3楽章に入ります。第3楽章Amorosoのリュートパートはほとんど通奏低音の伴奏という感じの書き方です。少しだけリュートに旋律的な動きがみられるところがありますが、それ以外にもリュートを聴かせるところを作っていこうと思います。

まず1~6小節目まで。



ヴァイスが書いたバスと通奏低音のリアライゼーションにマッチするメロディはいろんな形が考えられると思いますが、モチーフを整理することがとても重要です。

モチーフは、1小節目の形、1拍目に付点を伴った2小節目の形、2拍目に付点を伴った3小節目の形を使っています。いずれもサラバンドによく出てくるリズムモチーフです。

4小節目のファの音はレでもいいのですが、リュートのパートには根音と5度の音(レとラ)しかないので、ここは3度音のFにしました。またファにすると次の5小節目のソから短7度下がることになりより印象的な感じになるのではと思います。

6小節目のミの音はとても意味のある音だと思います。というのも、6小節目の3拍目のバスはソで、リュートパートに書かれている音はソとシ♭です。バスがソであと書かれている音がシ♭の場合、どういう和音が考えられるでしょうか。次の8小節目の冒頭の和音はF durの主和音ファ、ラ、ドのド(5度音が省略)であることを考えると、ソ、シ♭、レではなく、ソ、シ♭、ミ(バスに対して6度のミ)が自然です。

つまりこのミを通過してファに至るラインが必要だと思います。ですから、3拍目は四分音符のミでも、八分音符でレミでも可能です。和音的には7度にあたるファからミという線もここだけ見ていればいいサウンドですが、リュートパートの6小節目2拍目の内声部にファ#がありますので、残念ながら不可です。

ということで旋律のいかんは問いませんが、6小節目の3拍目から7小節目につながる旋律はファの導音にあたるミが含まれるラインが自然です。

Go to Baroque!【写真追加、追記あり】

2020年10月18日 20時45分48秒 | 音楽系
今日の昼から、桑名六華苑で「Go to Baruque! バロック音楽の散歩道」と題しましてミニコンサートを開催しました。



共演はバロック・ヴァイオリン/鈴木崇洋さん、バロック・チェロ/波多和馬さんです。


ソーシャルディスタンスをたっぷりとった配置です。私はマウスシールドをしています。

プログラムは:

ヴィヴァルディ:トリオト短調
バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番よりプレリュード(この曲は3人が自分の楽器で三様のソロを演奏しました)
ガブリエッリ:無伴奏チェロのための7つのリチェルカーレより第1番 ト短調
バッハ:無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番よりサラバンド
ヴァイス:ソナタ第34番よりプレリュードとジグ
ヴァイス:リュートとヴァイオリンのためのコンチェルト(ヴァイオリンパートは中川による復元)

今日は暖かくなるという予報でしたが、午前中から昼過ぎにかけて桑名地方だけ?曇っていました。新型コロナウィルス蔓延のため会場の六華苑洋館の窓はすべて開放されているのでとても寒く、ジャケットとベストを着て演奏していても暑くないくらいでした。最初は上は長袖のシャツ一枚でと考えていましたが、念のためとベストを持っていきました。でもそれでも寒く、リハーサルが終わって急いでウチまでジャケットを取りにいってなんとかしのぐことができました。コンサートが終わるころは秋晴れのいい天気になっていて「今頃遅いわ!」って感じでしたが。(笑)


真ん中少し上にある建物が会場の洋館です。NHKの大河ドラマいだてんでフランス大使館として出ていました。

コンサートの宣伝が行きわたっていなかったにもかかわらず、いつもより少なめの席はすぐにうまってしまい、後ろや廊下で立ち聴きしている方も見られ盛況でした。

アンコールで演奏したペツォールト:メヌエットのビデオです。真ん中におじいちゃんとドーンとすわっていてとても臨場感があふれています。(笑)リュートはマイクから一番離れているので少し音が遠いですが、多分正面のお客さんにはちゃんとバランスよく届いていたと思います。

ビデオ

このシリーズは毎年2回ずつ開催していますが、今年はコロナ禍のために春のコンサートは中止、今回1回のみでした。来年度はいつものように開催できることを願っています。

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(18)

2020年10月17日 16時01分56秒 | 音楽系
今回は第2楽章のフーガのまとめです。

2016年に作ったバージョンと比べると、随分ヴァイオリンには黙ってもらったのですが、通して見てみますと少し黙らせすぎたかもしれません。もう少し早い動きのフレーズを挿入した方がよかったかも。他の楽章ではそんなにあとで直してみたくなることはないのですが、第2楽章のフーガはテーマの扱い方次第でいろんな可能性があります。実は捨てたフレーズを少し復活させたもの+アルファで少しヴァイオリンを饒舌にしたバージョン(「最終・ファイナル・ラスト・これで終わり」版)を作ってあるのですが、楽譜はここでは発表しません。

音源は「最終・ファイナル・ラスト・これで終わり」版です。これまで発表した版と大きく変わったわけではありませんが、数か所違いがありますので比べてみてください。

第2楽章の音源
(ピッチは440です)

実は某専門誌にギターと(モダン)フルートのためにト長調で編曲したものを発表する予定ですが、これは「最終・ファイナル・ラスト・これで終わり」版を使う予定です。

次回から第3楽章に入ります。

第2波、3波に用心!

2020年10月16日 16時56分12秒 | 日々のこと
ヨーロッパではフランスを始め各国で新型コロナウィルス感染が再拡大しています。今ヨーロッパは、地域にもよりますが、フランスのパリあたりだと当地方の晩秋くらいの気温でしょう。ちなみに金曜日朝9時のスイス・バーゼルの気温は9度でした。まぁそんなもんですね。もう長袖のシャツ一枚だと寒い頃です。今の桑名の気温は、バーゼルだと8月の中頃から終わり頃の気温です。

気温が下がると新型コロナウィルスが活発化して感染しやすくなるとも言われています。新型コロナ感染者は日本では爆発的に増えはしていませんが、ずっと下げ止まりです。三重県では4月初め頃から70数日感染者ゼロだったこと比べると、現在でも少人数ではありますが感染者が出ている日が続いていて不気味です。桑名が今のバーゼルくらいの気温になるのは11月下旬でしょうけど、そのころからまた感染者数が上昇に転じるのではと気になります。

今年の第36週から第40週(8/31-10/4)までインフルエンザ患者数は全国でわずか25人だそうです。これは新型コロナ対策が功を奏しているという見方もできますが、これからどうなっていくかはわからないそうです。気温が下がってこちらの体力が落ち、ウィルスの力がついてくる秋から冬にかけては用心しておいた方がよさそうです。私は今までにインフルエンザワクチンの接種は受けたことがありませんが、今年は受けておこうかなと思っています。なにごとも転ばぬ先の杖です。

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(17)

2020年10月15日 15時02分34秒 | 音楽系
第二楽章51小節目から終わりまでです。



50小節目からつづく、テーマの連発?が続き曲を盛り上げます。もちろんバスは動いていますので、ハーモニーは刻々と変化していきます。とてもギャラントな感じが強い箇所ですが、一方でバスは通奏低音の役割を放棄していないところが、ヴァイスの時代を感じさせます。新しい時代に移りつつありますが、まだ古い時代の香りをのこしている、そんな時代です。



曲は55小節目で終わります。リュートパートは55小節目の2拍目以降は休符がついていますので、その休符の部分にヴァイオリンのメロディが入ることはありません。ちょっと斬新な感じに、ヴァイオリンとリュートが同時に終わらない形にしてみました。54小節目でヴァイオリンがテーマの第1モチーフを奏でそれを引き継ぐ形でリュートが同じモチーフを弾きフーガを終えます。

さて次回は第二楽章のまとめです。

(つづく)

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(16)

2020年10月14日 12時42分16秒 | 音楽系
第二楽章の40~50小節です。



本楽章はもともとそれほど厳密なフーガではありませんでしたが、このあたりからポリフォニックな要素がぐっと減少します。41小節目からのリュートパートはオクターブのラインの連続です。それに合わせてヴァイオリンパートも一緒にオクターブを・・・というのはあまりにも芸がなさすぎます。ということで、ます40小節目のテーマの一番目のモチーフを受けて、41小節目からは二番目のモチーフを繰り返すことにしました。(青で囲んである部分)2つ目の青で囲んである部分(一番右)は少し変形させたパターンです。こうすることによってフーガらしさを保ちます。このパターンが43小節目2拍目まで続きます。



F dur のカデンツを経てまたこのパターンが繰り返されます。ただリュートパートはオクターブではなくなり、単音になっています。この部分は単調になってしまいがちなので、ヴァイオリンのパートは少し変形したフレーズを作りました。それが次の譜例です。



この音型は多分ヴァイオリンやフルートではあまり演奏しやすいパターンではないと思いますが、まぁ我慢して演奏してもらいましょう。(笑)これが前と同じように3小節半続いてF -durのカデンツを経てコーダに入ります。コーダでもテーマの1番目のモチーフが用いられます。(赤で囲んである部分)



(つづく)






作曲家筒美京平、作詞家松本隆

2020年10月13日 10時50分59秒 | 音楽系
作曲家の筒美京平さんがお亡くなりになりました。心からご冥福をお祈りいたします。私は歌謡曲は好みではありませんが、氏の作品は歌謡曲っぽいけどポップスに近く、音楽として洗練された感じがしました。1976年に初めてヨーロッパに行った帰りの便、南回りで20数時間かかりましたが、その間ずっと氏と松本隆さんの作品「木綿のハンカチーフ」を聴いていたのを今でも覚えています。

帰途パリでオーバーブッキングをくらい3日後のチューリヒから出発した大韓航空の機内は退屈で退屈ですることがなく、音楽もロクなのがなかった中、「木綿のハンカチーフ」はとても美しくこれだけは聴きごたえがありました。

この曲の作詞は松本隆氏ですが、実は私、氏にデビューを進められたことがありました。某テクノ音楽雑誌が募集する作品コンテストで、私が宅録で制作したポップミュージックが入賞しました。40年近く前のことです。入賞と言っても3番手か4番手あたりだと思います。「審査員は見る目(聴く耳)がないなぁ」なんて思って過ごしていたある日、突然一通の少し厚めの封書が届きました。

差出人は松本隆、読んでみると「あなたの作品は典型的なニューミュージックでとても好ましい。もしデビューするのなら、できうる限りお手伝いをさせてもらうがどうか?」という内容でした。とてもうれしく思いましたが、ただ結婚して子供が生まれたばかり、硬い仕事にもついていました。デビューするということはそれらをすべて捨てることになります。

それにリュートも弾いていたいし。私はリュート音楽を窮めたいし、家庭もあるのでということで、お断りしました。ヴァイスの録音も添えて…今思うと流行作曲家のセンも悪くないですねぇ。成功していたかどうかはわかりませんが。

これ、ウソみたいな話でしょ?でも本当の話です。ただ証拠となる手紙が残っていないので、お得意のヨタ話じゃない?って言われるのがオチでしょうけど。(笑)

リハーサル

2020年10月12日 21時55分03秒 | 音楽系
10月18日の六華苑出のコンサートのリハーサルが終わりました。13時過ぎに鈴木君と波多君に我が家にお越しいただき、フルーティーなコンゴ産のコーヒーを召し上がって頂いた後、いよいよリハーサルです。


謎のマスクマン?

リハーサルは1回のみですのですが、ミニコンサートで曲目も少ないので16時過ぎには滞りなく終了致しました。リハーサルの曲目はヴィヴァルディのリュートトリオト短調RV85とヴァイスのコンチェルトヘ長調とあとアンコールピースです。

ヴィヴァルディは原曲の形の通り演奏します。メロディのラインはヴァイオリンの1オクターブ下の音をリュートが演奏します。この形はもう少し後の時代にも結構見られるスタイルです。リュートがヴァイオリンと別のラインを弾いた方が効果的な感じがしますが、意外にもこの方が実際の演奏では効果があります。今回は少し変化をつけて、第2楽章は1回目はヴァイオリンお休み+チェロピッチカート→2回目はリュートが通奏低音にまわるという風にすることにしました。

ヴァイスはご存じ当ブログで連載を続けているあの曲です。こちらは協奏的二重奏(デュオ・コンチェルタント)でリュートとヴァイオリン(原曲はフルート)対話を繰り返しつつ進んで行く曲です。第1楽章はバッハのヴィオラ・ダ・ガンバのソナタのような雰囲気でカノン風にメロディが流れていきます。第2楽章はフーガ。でも最後の1/3からはフーガのポリフォニックなスタイルをああっさりと捨てたリフレインが現れとても印象的。第3楽章はニ短調の緩徐楽章。ここではリュートはどちらかというと数か所を除いて通奏低音役にに回っています。そしてフリギア終止を経て、第4楽章に入ります。第4楽章は第2楽章と同様リュートとヴァイオリンの対話が復活です。ここでも第2楽章と同じように印象的なリフレインが後半の終わりに現れ曲を締めくくります。

プログラムはあと3人がそれぞれ無伴奏のソロを一人2、3曲ずつ演奏します。統一感?を持たせるために、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番のプレリュードをそれぞれの楽器のスタイルで演奏することにしました。まぁ、課題曲みたいなものですね。(笑)

アンコール曲は秘密です。

コンサートは10月18日(日)14時開演です。入場は無料です。(六華苑の入苑料が必要です)