繭玉づくり

2011年01月15日 | 料理
 日曜日、ベットの中で道祖神の話を聞く。孫たちに「繭玉」を作ってあげようかと、突然ひらめく。

 「僕んち暖かいよ、来てもいいよ」と4歳の孫に誘われていたのではないか。

 繭玉とは米の粉でつくる作り物である。1月13日に豊作を願ったイネの花や養蚕の繭玉や小判などを形作って柳の枝にさしたのが、私の子供時代だった。

 それを15日の朝だろうか、お汁粉にしてもらうのがどんなにうれしかったことか、また道祖神のどんど焼きの藁の火であぶったのは、独特の香りがついておいしい物だった。

 いつしか、少なくとも空白の月日は20年近くもたったのかもしれない。

 お団子さえろくろく作ったことの無い私が、母に教えてもらって、夫とともに柳の木を探し廻り、孫の「暖かい家」にでかけていったのである。

 ストーブも付いていないけど、我が家とは格段に暖かさが違う。フロアーに座って、米粉をこねていてもぜんぜん寒さがない、とうとうセーターまで脱ぐ。

 4歳と1歳の孫と形作る、どんなにいびつだろうが、面白かろうが、それはそれなりに本人には意味があってのことだから、思い出を一つ増やしてあげること、文化を承継させること、私のささやかな願いを込めて、出来上がった繭玉。

 思いがけずに昔に戻れた私。最近になって実家の母が認知症になってから、随分聞きそびれたことがあること気がつく。

 「閉めて、閉めて」の言葉とは縁のない家で孫たちは伸び伸びと薄着のままに遊ぶ。嫁さんが温度差のないのがいいです、と。我が家に来る時の孫たちは着膨れているものね。

 我が家に持ち帰った分、15日を待たずしてお汁粉にして食した・・・・昔と同じ味がした。

                  依田美恵子
軽井沢・佐久で建てる外断熱・省エネ住宅 中島木材の家


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