私は大学を卒業してから公立の研究所に入りましたが、そこでウイルス感染症の仕事を与えられました。大学時代は繁殖の部屋にいましたから、ウイルスを扱う実験は初めてで、最初の頃はセミナーや研究会に出てもちんぷんかんぷん。でもだんだんわかってきたのは、世の中で流行する感染症は、大学で研究されているだけでなく、地方地方にある公立の研究所や試験所が流行の具合や、今流行しているウイルスの型などを詳しく調べて、社会としての対策を立てたり、世の中に啓蒙したりしているのだということでした。
今年は感染性胃腸炎が大流行しており、ノロウイルスという名前を毎日耳にします。ところで、私がウイルスの仕事を始めたころ、ノロウイルスは小型球形ウイルス(SRSV)と呼ばれ、まだ「ノロ」という名前がありませんでした。日本でノロウイルスという正式な名称が決められたのは2003年のことです。さて、今から15年位前、カキを食べて食中毒症状を起こす人がいると、一生懸命ウイルスの分離を試みている人たちが私の周りにいましたが、そのウイルスは培養がむずかしいということで、電顕写真をみてその存在を証明したりする必要があって、研究がなかなか進みませんでした。でもその仕事に取り組んでいる人たちは全国の地方衛生研究所にいて、はたでみている私にもその意気込みが伝わってきて、「なんかたのしそ~だな~」といつも思っていました。同好会とかクラブ活動のような感じでしたね。こうしてノロウイルスと立派な名前がついて、全国の皆さんに知られるようになってみると、あの頃の熱気がなつかしく思い出されます。世界にはまだ知られざるウイルスはたくさんあって、これからもどんどん新しい感染症が報告されるでしょう。見えないけれどもたくさんの人がその解明に携わっているんですよね。
今年は感染性胃腸炎が大流行しており、ノロウイルスという名前を毎日耳にします。ところで、私がウイルスの仕事を始めたころ、ノロウイルスは小型球形ウイルス(SRSV)と呼ばれ、まだ「ノロ」という名前がありませんでした。日本でノロウイルスという正式な名称が決められたのは2003年のことです。さて、今から15年位前、カキを食べて食中毒症状を起こす人がいると、一生懸命ウイルスの分離を試みている人たちが私の周りにいましたが、そのウイルスは培養がむずかしいということで、電顕写真をみてその存在を証明したりする必要があって、研究がなかなか進みませんでした。でもその仕事に取り組んでいる人たちは全国の地方衛生研究所にいて、はたでみている私にもその意気込みが伝わってきて、「なんかたのしそ~だな~」といつも思っていました。同好会とかクラブ活動のような感じでしたね。こうしてノロウイルスと立派な名前がついて、全国の皆さんに知られるようになってみると、あの頃の熱気がなつかしく思い出されます。世界にはまだ知られざるウイルスはたくさんあって、これからもどんどん新しい感染症が報告されるでしょう。見えないけれどもたくさんの人がその解明に携わっているんですよね。