小学校低学年のころ、同級生に九頭龍さんという女の子がいた。九頭龍川の九頭龍である。東京に一軒しかない珍しい苗字だった。
あるとき、その女の子の家に遊びに行った。お母さんが絵本を持ってきてくれた。それを見て、幼い私は驚いた。戦前の絵本なのである。
自分の持っている絵本に比べて文字が多く、漢字もふつうに使用してあってルビが付いている。横書き文字は右からである。
東京大空襲で戦前のものはほとんど焼失してしまったから、その絵本は私が生まれて初めて見る戦前の品物だった。
当時はベビーブームで子供の数が多かったために、小学校がどんどん新設されていた。私は3年生になるときに、近くに新しく出来た小学校に転校した。九頭龍さんは元の小学校に残った。以来、九頭龍さんの消息は知らない。
お母さんはまだご存命だろうか?だとしたら、九頭龍という姓の家が少なくとも一軒は東京にあるはずである。
あるとき、その女の子の家に遊びに行った。お母さんが絵本を持ってきてくれた。それを見て、幼い私は驚いた。戦前の絵本なのである。
自分の持っている絵本に比べて文字が多く、漢字もふつうに使用してあってルビが付いている。横書き文字は右からである。
東京大空襲で戦前のものはほとんど焼失してしまったから、その絵本は私が生まれて初めて見る戦前の品物だった。
当時はベビーブームで子供の数が多かったために、小学校がどんどん新設されていた。私は3年生になるときに、近くに新しく出来た小学校に転校した。九頭龍さんは元の小学校に残った。以来、九頭龍さんの消息は知らない。
お母さんはまだご存命だろうか?だとしたら、九頭龍という姓の家が少なくとも一軒は東京にあるはずである。