院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

文楽の思い出

2008-03-30 07:22:43 | Weblog
 幼いころ祖母に文楽に連れて行かれた。場所は渋谷の東横ホールである。

 文楽の会場ではさすがに飲み食いはできなかった。人形芝居なので、子供でも喜ぶと思って祖母は連れて行ったのだろう。でも、子供にとっては、意味が分からない極めてたいくつな人形劇だった。

 人形が別の人形を槍で刺すと、赤い布でできた「血」が出てきて、子供心に「よくできているなぁ」と思ったくらいで、あとは飽きてしまって、座席の通路を走り始めたので、祖母は「二度と連れて行かない」と怒っていた。

 浄瑠璃の良さが分かってきたのは、もっと小学校高学年になってからだった。当時、浪曲がまだ人気を保っていた。これはラジオに頻繁に出てきたので、ラジオにかじりついた。広沢寅蔵の「遠州森の石松」なんて、心から面白いと思った。

 同じころ落語も面白いとおもった。三遊亭円生や先代の三遊亭金馬が、めちゃめちゃ面白かった。

 先に述べた歌舞伎は意味が分からなかった。土蜘蛛が糸をばらまくシーンが印象に残っているくらいで、子供にはまったくつまらなかった。弁当だけがうまかった。

 この、面白いと思う年代と飽きてしまう年代の差は、5年くらいである。私が歌舞伎や文楽を見たときにはまだ幼なすぎたのだろう。落語や浪曲のように、小学校高学年で歌舞伎や文楽を見たら、もっと別の感じ方をしただろう。

 芸能を子供に見せるのに、あまりに早すぎてはいけないと思う。