院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

少子化問題の源流

2013-06-01 00:02:17 | 経済
 少子化が進行して大変だと言われている。なぜ少子化が起こったかというと、若者の晩婚化による。

 では、晩婚化の原因は何かというと、20歳代男性の所得レベルが低く、妻をめとる余裕がないからだということになっている。

 それでは、20歳代男性の収入が少なくなったのなぜかというと、今のところ、いろんな社会制度が高齢者に厚く、若者に薄いからだと言われているが、それはたぶん違う。

 実は労働人口が増えたから一人あたりのコストが下がったのだ。労働人口が増えたのはなぜかというと、女性が大量に社会進出したからである。

 戦後、主婦として家庭に縛られていた女性たちは、自己実現のために社会進出を渇望していた。世界的にそのような機運があり、1985年、女性差別撤廃条約批准のための男女雇用機会均等法の改正によって、女性が社会進出しやすくなり、実際そのようにする女性が激増した。

 当時私は、男性労働者と同じ数だけ女性労働者が生まれても、GDPが2倍になるはずはないから、 労働者の賃金が下がるだろうと予想していたら、本当にそのようになってしまった。労働力の供給が多くなり、労働力は雇用者側の買い手市場となったのだ。

 しかしながら、当時の身の周りの人々を思い出してみると、夫は「妻が働けば所得が2倍になる」といった楽観的な幻想をもっていた。妻の方も「私が働けば2倍になる」と同じ錯覚を起こした。

 こうして、いよいよ女性の社会進出が一般的になると、今度は男性の賃金が下がって夫の賃金だけでは家計をやっていけなくなった。そのため妻は、自己実現のための社会進出なぞではなく、夫婦生活を支えるための社会進出をしいられるようになった。つまり、もともと社会進出とか自己実現なんて望んでいなかった女性までが、お金のために否応なく働かざるを得ない社会構造になったわけだ。

 こうした順番を「風が吹けば桶屋が儲かる」風に言うと、女性が社会進出すれば一世帯の所得が2倍になるという錯覚をみんながもったから、回りまわって少子化が起こったのだというストーリーになる。

 (さらに言えば、非正規雇用が急増したのも同じ理由による。)