院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

アンジェリーナジョリーさんの乳房切除

2013-06-05 00:31:52 | 医療
 女優のアンジェリーナジョリーさんが癌予防のために乳房を切徐したと話題になっている。正確には「乳房」ではなく「乳腺」である。乳房の皮膚には手を付けないから、再建すれば乳房の外見は変わらない。

 あまり知られていないことだが、アメリカではすでに癌予防のために乳腺切除を行う女性がいた。ただし彼女らはアンジーのようには讃えられず、むしろ癌にかかったわけではないのに正常な乳腺を切除して、もう乳癌にはかからないと喜んでいる変な女性と捉えられていた。そんなに癌を気にするなら子宮や卵巣や、果ては胃や腸まで切除しなければおかしいじゃないか、と批判されていた。

 浅学ながら遺伝性の乳癌というのは初耳だった。日本の医学界では遺伝性の乳癌があるという情報はなかった。遺伝性の癌で知られているのは家族性ポリポージスだけだった。(これは将来、必ず大腸癌になる。)

 さいきん遺伝子がよく研究されて、遺伝性の乳癌が言われだしたようだ。だが、遺伝子のことが分かるようになる前から、経験的にはとっくの昔に分かっていたはずだが、そんな報告はこれまでに聞いたことがない。

 医学的知見は移ろい易いものだ、そのうちにアンジーの行動はやはり馬鹿げていると批判される日が来るような気がする。