院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

われわれは大きな金額を理解できない

2013-06-07 05:37:12 | 経済
 先日、アフリカの50か国ほどの首脳が横浜に集結した。その席で安倍首相は、今後5年間で、官民合わせて3兆2千億円の資本をアフリカに投入すると約束した。アフリカのインフラなどを整えて、最後のフロンティアと言われるアフリカに日本も参入すると言うのだ。

 大きな数字になると、われわれはその規模が実感できなくなると、いつぞや述べた。3兆2千億円という数字が、どれくらいの大きさなのか、にわかには分からない。そこで私は、なにかモノの値段に置き換えて理解することを提唱した。

 イージス艦1隻の値段が2千億円である。と言うことは、3兆2千億円とはイージス艦が16隻も買える莫大な金額である。日本はイージス艦を6隻しか持っていないことからも分かる。(アメリカは約30隻、持っている。)

 ここで「官民合わせて」と言ったところに言葉のマジックがある。「官民合わせて」と言うと、官と民が半々という感じがするが、そうではない。官のほうは実は1000億円しか出さないのだ。あとの金額は民に期待されている。

 では1000億円とはどれほどの数字だろうか?

 イージス艦の値段の半分で、1隻丸ごとは買えない。しかし、640億円の東京スカイツリーなら1本以上買える。逆に考えると、イージス艦の値段を考えれば、東京スカイツリーは、そんなに高価ではないのだ。

 われわれは1万円や10万円のことは実感として理解できるが、億を超えると、いっぺんに分からなくなる。国家規模の金額になると、とうてい理解できない。だから、誤魔化されないようにモノに換算して考えるように私は奨励してきたのである。