(玉造温泉、「佳翠苑 皆美」全景。筆者撮影。)
玉造温泉は奈良時代からある古湯だという。近隣の花仙山はメノウの産地で、この場所で300年間にわたり勾玉が制作されたので「たまつくり」の名があるという。
古代、勾玉つくりは一つの産業だったようだ。ただ、メノウの勾玉がどこに売られたのかは勉強していない。というのは、古墳時代の古墳から出土する勾玉は多くがヒスイ製のはずだからだ。
上の写真の旅館に泊まった。適当に選んだ旅館で、私は何の期待もしていなかった。かねてより旅館の料理は安くてうまくもない材料で多種類を作り、食べきれないほど客に供することを私は批判していたからだ(2006-08-11)。
この旅館でも、まず突き出しに胡麻豆腐が出た。それに胡麻ダレをかけて食べよというのだ。「この旅館もまた変なものを出すなぁ」と期待せずに食べたら、それがうまいのである。胡麻豆腐に胡麻ダレがこんなに合うとは知らなかった。
続いて出てくる献立の全部がうまい。刺身も煮物も焼き物もだ。こんな料理なら料亭で出しても恥ずかしくない。料理がうまい観光旅館は私には初めての経験だった。デザートの紫芋のムースも食べたことがないうまさだった。温度も量も適切で、食べ残すこともなかった。
さらに、翌朝のバイキングもうまかった。洋食でもうまいのだ。スクランブルエッグが普通のものと違う。生クリームでも入っているのだろうか?家では作れない味だ。またサラダのドレッシングがうまい。訊くと昨夜の料理と同じ料理長の手になるという。突き出しが上手い料理人は煮物も焼き物も上手いのだ。そして、洋食までも。これは、むかしからの常識である。
その料理長とはお名前を渡部学氏という。あえてお名前を記して、ここにお礼申し上げたい。
この旅館、佳翠苑 皆美(みなみ)の料金は玉造温泉の他の宿とも別の観光地の宿とも比べて特段高いわけではなく、GW料金で23,000円ほどだった。(同程度の料理を東京の料亭で食すと、25,000円程度はかかると踏んだ。むろん、東京の料亭では泊まりも朝食もない。)
(食事会場は家族毎の個室、椅子席。)