(BIG COMIC スピリッツ・2014年5月26日号より。)
むち打ち症が真正の「疾患」ではなかったことについてかつて述べたように(2011-04-22)、人は思い込まされると病気でもないのに症状を出すことがある。だから確かに風評被害は怖い。
このたびの漫画「美味しんぼ」による福島の放射線被害に関する表現は、作者による政治への挑発だと見た。双葉町前町長が「真実」を語ろうとして町長を降ろされたとは、ありそうなことである。
政治が科学を捻じ曲げてきたことは歴史上、明らかである。(例:ルイセンコ事件、ガリレオへの弾圧 etc. )。
ここで「美味しんぼ」の作者に注意していただきたいのは、客観的に明らかな「症状」だけを取り上げるべきことである。今回の漫画では「鼻血」、「疲労感」、「眼やのどや皮膚の不快な症状」が挙げられているけれども、ここで取り上げるに値する誰の目にも明らかな現象は「鼻血」だけである。
「疲労感」とか「不快な症状」のような主観的な陳述は他覚的に証明ができず、科学的な分析には耐えられない。むち打ち症ブームの昭和40年代にも「疲労感」は言われていたのだ。
双葉町が本当に住めない土地であるのかどうかは、何年かすれば明らかになる。そこで初めて、「美味しんぼ」の作者が正しかったのか、漫画の作者に抗議をした福島県知事(今は立場上、そうせざるをえないが・・)が正しかったのかが、科学的に証明されるはずだ。