(運慶作、東大寺金剛力士像。ウィキペディア「運慶」より引用。)
夏目漱石の「夢十夜」という作品に、確か運慶が仏像を彫っている場面が出てくる。その動作に対して、木の中にもともと仏像があって、運慶は余分な木をどかしているだけだという件りがある。名人の仕業とはそのよう見えるのかもしれない。
数学の諸定理だが、それらはこの世にもともと存在していて、それを発見するのが数学者の役割だという見方がある。だが、当の数学者はそうは考えていない。数学者は自分たちのやっていることは芸術作品の創造だ思っているそうだ。
この欄の読者なら、運慶がやっていることと数学者がやっていることの相同性に一発で思い及ばれることだろう。