院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

男女が似すぎるとどうなるか?(2)(一夫一婦制は習性だろうか?)

2014-06-23 04:55:45 | 生物

JR東日本ジパングクラブHPより引用。)

 前回、皇帝ペンギンは、父親が卵を温めている間にメスが食料を獲りに行くと述べましたが、メスは必ず自分が産んだ卵のところ、すなわち父親のところへ戻ってきます。ですから、皇帝ペンギンは一つの卵を夫婦で育てる一夫一婦制をとっているようです。

 いっぽう、オットセイやゴリラが一夫多妻制であることは、よく知られています。人間は、現在多くの国で一夫一婦制ですが、これは本能や習性に従ったものでしょうか?

 イスラム国では男一人が複数の妻をもつことが認められていますが、この制度は習性にではなく文化にもとづくものと考えられます。

 イスラム国とは反対に、母権制の民族も存在します。たとえば、カナダの原住民ヘヤインディアンは女が一家を構え、男は女の家を渡り歩きます。そうやって子どもができるのですが、生まれた子どもたちの父親はぜんぶ別の男になるそうです。ですが、このような母権制が人類の本能や習性に基づいているとは、必ずしも言えません。これも文化なのかもしれません。

 ここで言えることは、一夫一婦制ではない夫婦制度では男と女の役割がまったく異なり、イクメンはあり得ないということです。イクメンは一夫一婦制のもと、夫婦の役割を限りなく同一に近づけようとして初めて成立しうる超人為的な制度です。

 繰り返しになりますが、人類は本能や習性によって一夫一婦制をとっているという証拠はありません。たぶん、それも文化なのだろうと推測できます。

 ところが、この文化というものが厄介で、生態系や自然をもっとも破壊するものが、じつは文化なのです。イクメンの推奨は文化的ではありますが、もしかすると種の保存には逆行しているのかもしれません。この先は次回に譲ります。