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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

全日本チンドンコンクール

2019年04月14日 | 

  ちょうど一週間前の4月6日、7日と二日間、富山市で行われた全日本チンドンコンクールを見に行った。なんとこのコンクール、東日本大震災の年に一度だけお休みした以外は,昭和30年から毎年開催されていて、今年で65回を数えるコンクールなのだ。だいたい、このような全日本コンクールが富山市で毎年の桜の時期に行われていることを知る人はどのくらいいるんだろうか?
  富山は太平洋戦争での米軍の空襲によってほぼ壊滅したという。そんな荒廃した富山において、街の人々に明るさを取り戻す手段として始まったのが、この全日本チンドンコンクールだそうだ。だから富山市は今もコンクールによる「街の賑わい」を最重視する。県民会館でコンクールが行われる一方で、パレードや市内各地でチンドン屋が演奏する。とにかく街は大賑わいである。
  富山市は確かにこのコンクールの期間は賑わうらしい。しかし実際は1年365日のうち、そんな賑わいはたった2日にすぎない。しかし、彼らは年間を通してチンドンの響きを富山市を象徴するようなサウンドスケープにしようとは考えていない。今では、このコンクールを継続することにより「日本の近代に誕生したチンドンを守っているのは私たち富山市民だ」という自覚を持つようになっている気がする。
  でも、確かにその通りだ。チンドン屋はかつてのように、開店する店の宣伝のためにパフォーマンスをすることはほとんどなくなった。しかし今やこのコンクールは、そんな「日本の芸能」を維持継承する装置にもなっているのである。65年も継続しているからこそ、それができている。店先の宣伝とは異なる文脈、すなわちコンクールという競い合う場があるからこそ、チンドンマンはその芸能を継承し、実践し続けているのだ。


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