Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

やっぱりガムラン・アンクルンが好きなんです

2013年04月29日 | 家・わたくしごと

 昨日、音の森ガムラン・スタジオ2周年記念「ガムラン・アンクルンの世界」が無事に終わりました。いらしてくださった方、ありがとうございました。たくさんのお客さんにいらしていただき、体育館座りでの鑑賞はちょっぴり狭かったかもしれません。演奏やお話はいかがでしたか?
 終わってみて、やっぱり、僕はガムラン・アンクルンが好きなんだなと今さらのように思いました。別にクビャルが嫌いというわけじゃありません。でも、「4音」の世界はなぜか私の身体すべてを震撼させるし、ワヤンと同じようにその世界に夢中になれるのです。
 実は、昨日、ちょっと酔っ払って会場の音の森ガムラン・スタジオにデジカメを忘れてきてしまったので、写真がありません。どんな楽器かイメージできなくてごめんなさい。このガムランの次の舞台は7月20日、夏の浜松です。上演者はもとより、学生たちとともに素敵な舞台にしたいと思っています。


ガムラン・アンクルンの世界

2013年04月24日 | 東京

 音の森ガムラン・スタジオが開設されてからもう2年です。年月が経つのは早いものだな、とつくづく感じてしまいます。音の森にバリのガムランが移ってから、私はまたここで月に一度程度のペースで講座を持つようになりました。東京を離れてもう15年目の私のことを忘れないでいてくれている音の森の方々や講座生の方々には本当に感謝しています。
 今週の日曜日、この音の森ガムラン・スタジオの二周年記念特別企画で、「ガムラン・アンクルンの世界」が開かれます。実はこのガムラン・アンクルンは私の楽器なのですが、音の森に置かせていただいています。その楽器を使ったイベントがこの「ガムラン・アンクルンの世界」です。バリに行かれた方は、火葬儀礼などでこの楽器を見たことがある方もいるかもしれません。でも観光客用のイベントなどでは使われることのない楽器です。もともとは死者や魂のために行われる儀礼で演奏されるガムランでしたが、今は場所によってはオダランなどの寺院の儀礼や舞踊の伴奏として用いられるようになっています。
 今回のデモンストレーションでは、踊りが3曲、それ以外に数曲の器楽曲を演奏します。なかなか聞く機会のない音楽をガムラン好きの皆さんに楽しんでいただければいいなと思います。ちなみに上のフライヤーの左側の部分、「ガムラン・アンクルンの世界」と読んでくださいね。くれぐれも縦書にして「ムンンルのガラアクンの世界」とは読まないように。

音の森二周年記念特別企画
Lecture&Demonstration
「ガムラン・アンクルンの世界」

日時:2013年4月28日(日)15:30開場 16:00開演
出演:レクチャー:梅田英春
   演奏:Sari Mekar
      (梅田英春・PUTU・皆川厚一・櫻田素子・城島茂樹・
       増野亜子・渡辺泰子・大平美樹・根岸久美子・宮元真佐人)
   舞踊:Nyoman Sudarsana・車田れい子・安田冴
料金:1500円
お申し込み方法:
   要予約(先着順)
   直接、又はE-mailにて、お名前・人数・ご連絡先を明記の上、
   お申し込み下さい。
会場:音の森ガムラン・スタジオ
   E-mail gamelan@otonomori.jp


儀礼着の布屋に行く~ミッションその8

2013年04月22日 | バリ

 これまでバリ旅行のさまざまなミッションについてブログに書いてきたが、実は今日のミッションが最初にクリアーしたミッションだった。デンパサールに到着したメンバーが最初に向かったところ、それがクタピアンの市場にある儀礼の衣装や布を扱う店である。実は、このブログにも登場したことのある店だが、それがいつのことだったか、そのブログのタイトルもすっかり忘れている。今となっては、過去のブログを探すのもたいへんな作業なのだ。
 もう10数年来の付き合いで、買い物をして値切ったことがない。面倒なのでなく、ぼくがセレブで値段なんて気にしないわけでもなく、とにかくはじめから安いのである(すべてがこんな店ばかりだったら、時間を無駄にせずに買い物をすませてバリでの滞在を有意義におくれるのだが)。
 そういうことで、わが一座もそろってこの店でお買い物。この写真、実はメンバーのK氏から提供していただいたものだが、実に気になるのが上の方にかかっているサイババの写真。この家族、サイババ信仰だったのかな?もちろんそれ自体は何ら問題はないのだが、バリの儀礼着、バリバリに売っているからね。そりゃあ、バリのヒンドゥー教は、サイババ信仰も大きな意味でヒンドゥー教のカテゴリーに入れているんだけどね。


美しい棚田を見る~ミッションその7

2013年04月19日 | バリ

 昨日のタナロットに続いて、これまたベタなバリの観光スポット「棚田」。今回のメンバーはバリに来たことはあっても、マニアックな滞在経験者が多く、いわゆる観光地を巡っていないという変わり者もいて、「観光するなら棚田が見たい」というミッションが持ち上がったのだった。
 棚田といえば、世界遺産に登録されたジャティルウィである。タバナン県北部のこの風景は、今や国際的にも有名になり、テレビでもたまに放送される。しかしそれだけ有名なのだから、さそがし観光客であふれているんだろと思いつつ、好奇心半分で出かけたのであった。
 ところが、山道に入ると世界遺産に行くわりには道は穴ぼこだらけ。ちょっと前に降った大雨で崖崩れが起き、冠水している道も多い。ホスピタリティという点では世界遺産に行く雰囲気ゼロ。まあ、サバイバル感は十二分に味わえたのだけれど。
 雨もあがって、稲の緑が一段と青く輝くジャティルウィに到着してビックリ。観光客はほとんどいないし、物売りもゼロ。管理体制はばっちりである。ちなみに日本のツアーはここにはほとんど立ち寄らないらしい。場所が不便なのと、帰りに寄れるような「おみやげ屋」がないかららしい。その分、ヨーロッパから訪れる個人客がのんびりと景色を楽しむそうだ。ということでこのミッションも完了!


タナ・ロットで夕日を見る~ミッションその6

2013年04月18日 | バリ

 K氏のミッション(というほどのこともなかったのだろうが、行ってみたいという場所として)の一つが、タナ・ロットで夕日を見るという、実にベタな観光コース体験だった。タナ・ロットでの夕日ツアーは観光コースの一つとして設定されているもので、一日観光コースに入っていたり、オプションで選ぶことのできる代表的な観光コースである。
 そういう私は、信じられないだろうが、バリを最初に訪れた1983年からたった一度も、タナ・ロットで夕日をみたことなんてないのである。もちろんタナ・ロットには数えきれないほど出かけている。というのは、私が住んでいたトゥンジュク村で大きな儀礼があれば、タナ・ロットにお祈りに行くのが常であり、数台の大型トラックの荷台にぎゅう詰めに乗って、その上で到着するまでひたすらガムランを演奏するのが常だった。
 それにしてもベタな観光地とはいえ、美しい景色は美しいものである。そして観光客は、観光ガイドに掲載された観光地の写真を、その観光地に「確認」に行くものだ、という観光人類学の本に書かれていた一文を自ら体験して、なるほどと納得したのであった。確かに自分で撮影した写真が、どこかの観光ガイドでみたような写真になっていることに、なにげなくだけれど、満足しているのだからね。


ワヤン・トゥンジュクを鑑賞する~ミッションその5

2013年04月17日 | バリ

 今回の最も大きなミッションはトゥンジュク村に伝承される様式のワヤンを鑑賞することであった。私たちが上演するワヤンの上演スタイル、さらには音楽様式もすべてトゥンジュク村のものであり、私の勉強もすべてここから始まり、今なお続いている場所である。これが「修学旅行」のメインである。これがなかったら、「修学」にならないのだから。
 上演はなんと、現在、トゥンジュク村のダランとして活動する三人のダラン(おじいさんから孫まで三代のダラン)が、長い演目をそれぞれ代わって上演するという方法でおこなわれた。この演目「タタワティ姫の婿選び」は、亡くなった私の先生がよく上演した演目で、この演目が始まると、一座一同、「今日は朝まで帰れない」とがっくり肩を落としたものだった。物語は複雑、かつ戦闘シーンは三回にわかれて行われ、それゆえ夜10時過ぎから始まるワヤンは、夜3時過ぎまで終わらないとわかっているからである。しかし、三人のダランが見せ場を作れるという点では、複数のダランで上演するには適した演目なのだ。
 親族が三代で今なおワヤンを上演しているという村は、あまり聞いたことがない。今、ワヤンの依頼はとても少ない中、こうして若い世代が伝統的なワヤンを継承しているというのはすばらしいことだ。もちろん満足でき、たくさんの勉強ができた公演だった。他のミッションがこれと比べると、色あせて見えてしまうほどである。ワヤンの上演とバビ・グリンを食べることを比較すること自体、意味のないことだけれど。


学生から社会人になるということ

2013年04月16日 | 家・わたくしごと

 「あいつ、まだ学生気分が残ってんだよな。もう社会人なんだから、それらしくして欲しいよ。」
 ずっと昔のことだが、若い時働いた会社でよく聞くセリフだった。考えても見れば当たり前だ。3月まで学生だった人間が、新しい組織に属し、学生から社会人になったからといって、心の中はそんなに簡単に変われるもんじゃない。でも新社会人は、学生を引きずっていたばかりではない。
 「ぼくは社会人なのだから、見たくたって、夜中にテレビなんて見れるわけないじゃん。もう学生じゃないんだよ。」
 そんな風に多くの新社会人は社会人を自覚しているものだ。早く「社会人」にならなくちゃいけないと、とずっと焦り続けているんだよ。気持ちは痛いほどわかる。ただ社会人としての「振る舞い」をうまく演じきれないだけなのだ。
 しかし心配はいらない。いつかそんな新社会人の君たちだって「あいつ、まだ学生気分が残ってんだよな。」と笑う時がきっと来るんだ。そして「学生が羨ましい」なんて微塵にも思わなくなり、学生と自分を比較しなくなるんだよ。そう、学生なんて眼中になくなっちゃうのさ。学生としてつるんでいた頃が遠い彼方の出来事のように思えて、墨汁が半紙にポタポタ落ちる不規則な黒い点みたいに、ポツリポツリと記憶域の中に、記憶の断片として残るに過ぎないのだ。もちろんその記憶は鮮烈なものばかりなんだろうけど。
 社会人へのイニシエーションを終えた者たちの社会人化は、めまぐるしく急速に進むのが常なのだ。だから、前を向いて歩むしかないんだよ。もう「学生」は過去と、記憶の中に置いてくればいいんだ。過去に手を伸ばして、そんな時代に繋がり続けようとするより、前に手を伸ばせ! 


サヌールの朝焼けを見ながら散歩をする~ミッションその4

2013年04月16日 | バリ

 大人の修学旅行の宿泊先はなぜかサヌールと決まっているのである。これまでもサヌールのホテルを転々としたのだが、やっぱり今回もサヌールになった。この町の魅力は何なのか、と聞かれても即座には答えられないのだが、きっと、あの「寂れ感」がいいのだと思う。だからといって「寂れている」ということではない。サヌールは周辺の観光地にくらべれば「寂れ感」がずっと維持され続けているのである。そして、あの絵に描いたようなお土産屋の長屋が、やっぱり今だに存在しているからである。
 サヌールに宿泊して朝焼けを見ることは、Pのミッションだった。前日は結構遅くまで「ミーティング」をしたのだが、僕は目覚ましもかけずにちゃんと朝6時にはスッキリと目が覚めた。少し明るいくなった時間に一人で海岸へ散歩に出たのだが、残念ながら曇り空。素敵な朝焼けとまではいかなかったが、海岸沿いの散歩道をゆっくり歩きながら、時々顔を出すまんまるの太陽のさまざまな色模様を楽しむ。
 ちょっど一時、黄白色の太陽の見えた景色がこれ。遠くにはバリのおじさんが海岸に座って、ぼんやり朝焼けを眺めていたのが印象的だった。ちょっとホテルのプライベートビーチの傘が開かれる時間。ぼんやり朝焼けを見ながら、「フーッ」と大きく息をはいたら、なんだか悩んでいた面倒なことすべてが、どうでもよくなった気がした。そんな至福のひとときは刹那的で、一時だけってわかっているのだけれど、それでもそんな瞬間が人間には必要なんだと思う。


購入した楽器を見て、ガムランを習うこと~ミッションその3

2013年04月15日 | バリ

 今回、いっしょに出かけた仲間はワヤンのグループのメンバーなので、皆グンデル・ワヤンを演奏しているのだが、これからは他の楽器も楽しもうということから、最近、最も軽量な楽器(楽器は小さく、彫刻も少なめ)という条件から、皆でガムラン・アンクルンを注文したのだった。今回はその注文して完成した楽器を日本に送られる前に「バリで見よう」、そして「一曲習おう」というミッションを課したのである。
 もちろんバリのことなので、こちらの希望通りの楽器はできないもので、結局、彫刻がコテコテの楽器ができあがっていたのではあったが、それを見て「アハハハハ…」なんていうのも旅行の楽しみである。そして、なかなか覚えられない年齢に突入したことから苦悩の表情を浮かべつつ、とりあえず1曲、アンクルンの伝統的な曲を習ったのであった。
 ところでその楽器商であるが、最近、家の前にどでかい看板を立てた。これまでは知る人ぞ知る、という細い路地を入った突き当たりだったのだが、今度はプロモーションもばっちりである。楽器を売るだけでなく、昨年夏から手続きをはじめ、とうとう最近、ジャカルタの役所やデンパサール特別区の認可を経て、「ギータ・クンチャナ・ブダヤ財団」を立ち上げたのだった。芸術グループを公認の組織化するなんて、なかなかやり手である。その方が明らかに、公的な活動や資金援助が受けられるそうで、これもまた近年の日本と同じである。


バビ・グリンを食べる~ミッションその2

2013年04月14日 | バリ

 バリ好きな人には、バビ・グリン屋にこだわりを持っているパーセンテージが高い。バリにバビ・グリン屋は数あれど、皆、「ここが旨い」という一軒を持っているのである。それもとんでもなくローカルな場所だったり、小さな屋台だったりするものだ。そういう私はというと、正直、それほど好きな食べ物ではないので、もちろんこだわりの店なんて全くないし、儀礼で食べる以外に、お金を出して食べたことなんて数えるほどしかない。それも他に食べる場所がなくて、食べざるを得ない状況に陥った時だけである。
 私の友人たちの多くは、「バビ・グリン」を食べることをミッションにあげていたのだった。しかしでガルンガン明けにバビ・グリン屋は閉まっているものだ。だいたい考えてみれば、ガルンガンの間中、たいていの家はハレの料理として、おせち料理のように「豚」を三日三晩食べ続けるわけだから、もう豚にうんざりしているのである。だから当然ながら店も閉まっている。
 一日目はほうぼう探したが開いている店を発見できず。二日目、デンパサールでやっとお店に入る。デンパサールにあるが、ギャニャール風バビ・グリンの店。実は私と付き合いが長い運転手は辛いものを積極的に摂取しないバリ人である。ということで、彼が全員の分を注文してくれたのだが、ちゃっかり自分の好みに合うように唐辛子の量を調整して注文。私も同様に辛いものダメ。私の口にも会う辛さだったのだが、メンバーには少々辛さが不足していたようで、サンバルをどっさりかけていたのが印象的だった。とにかく、ミッション完了。