Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

かりゆしウエア

2014年05月30日 | 家・わたくしごと
 昨日は教授会だったので、めいっぱい「おめかし」をして、新しく那覇で買ったばかりの半袖のかりゆしウエアを来ていったのでした。
「先生、アロハですか?」
違います。アロハじゃありません。かりゆしです。
「教授会に着ていく先生に勇気をいただきました。」と某教員の発言。
 いったい僕はこの浜松の大学でそんなに無謀なことをしているのでしょうか。皆、私のきわめて落ち着いた柄の新品のかりゆしに「冷たい」視線を送っている?そう思うと、なんだかメラメラと怒りのようなものが湧き出してきて、「こんなの沖縄じゃあ、当たり前だし、もっともっと派手なかりゆしを着用するんだよ。」と叫びたかったのですが、「ここは、は・ま・ま・つ」なんてニコッと笑って言われるのも悔しいのでやめたのでした。
 今、思うと、かりゆしウエアの発想はすばらしいことだと思います。クール・ビズという今では当たり前の季節対応のフォーマルウエアでありながら、沖縄で作られた製品であることで地場産業を活性化させるし、プリント柄から染め、織り、と沖縄の工芸の要素もたくさん取り入れられて、それが外からのまなざしに触れられて、観光にも大いに寄与するわけです。しかも、男性、女性が両方とも着用できるさまざまなデザインがどんどん誕生しているのです。沖縄らしさが、こうした衣装から湧き出ているのですから。
 もちろん、紳士物メーカーが出すおしゃれなデザインを否定しているわけじゃありません。でも浜松だって染めの伝統もあるし、織りの伝統もあわけだし、この場所でもどんどんやればいいのではありませんか。もちろん沖縄ほどのインパクトはなくても、公務員からこうしたことに挑戦すること、大事ではないでしょうか?大切なのは、着たくなるようなデザインです。遠州に伝わるさまざまなゆかたの伝統的な文様をアレンジすることだってできるのです。浜松市の公立大学から発信するプロジェクト、誰かやりませんか?誰かがやらないと、言い出さないと始まらないものです。
 だからいいんです。僕は浜松から世界音楽を発信するために、かりゆしだって、バティックだって、ワイシャツだってなんだってきます。そもそも、かりゆし着るのにぼくには勇気なんてまったく必要ないんですよ。誰がどう思うかなんて、考えたこともないし、考えてたら疲れます。「あー、あの人ね」って。これでいいじゃない?これでいこうよ、みんな、ネ。もう夏がやってくるんですもの。大好きな夏が……ね。

ワヤンの静岡(6/28)・浜松公演(6/29)決定!

2014年05月27日 | ワヤン上演


 ワヤン・トゥンジュク梅田一座によるバリ島のワヤン公演が静岡(6/28)、静岡(6/29)に行われます。今回の演目は、スタソーマ物語(前編)。バリのワヤンではあまり上演されない仏の化身スタソーマ王子のお話。壮絶な戦いはあるのですが、なぜか誰も命を落とすことのないという不思議な演目。音楽はグンデル・ワヤンとよばれる4人で演奏されるバリ島のガムランです。古代ジャワ語と日本語を併用した上演スタイルはこの一座独特のもの。詳細は以下の通りです。

静岡公演
 6月28日(土)
 13時30分開場、14時開演(16時終演予定)
 会場:アトリエみるめ(静岡市駿河区寿町12-21、電話:054-289-1161)

浜松公演
 6月29日(日)
 13時30分開場、14時開演(16時終演予定)
 会場:鴨江アートセンター(浜松市中区鴨江町1番地 電話:053-458-5360)

料金(静岡、浜松公演とも)
 一般=前売1,500円、当日2,000円
 小中学生=前売り500円、当日1,000円
 未就学児=無料

申し込み方法:
静岡公演
 お申し込み先:アトリエみるめ 
 電話:054-289-1161 あるいは メール:mail@mirume.org

浜松公演
 お申込み先:ワヤン・トゥンジュク予約センター
 メールのみ:wayang.hamamatsu@outlook.jp

メールの場合は、件名に「梅田一座公演予約」とご記入の上、本文にお名前、電話番号、公演日、希望枚数を記載してお送りください。
お申込みは6月27日(金)17時とさせていただきます。  

   

祝 公式に同好会承認!

2014年05月27日 | 大学
 もう昨日になりますが、2014年5月26日、とうとう非公認だった静岡文化芸術大学のガムラングループ Suara Candaは、大学に正式に同好会として承認されました。まあ言い換えれば、昨日の決定までは非公認の音楽グループだったわけです。
     
               めでたい! 

 「あのー、Pさんは学生じゃないですよね。そんなに嬉しいんですか?」
 P「うれしーんです」
 「学生思いですね」
 P「いいえ、そんなことありません。ボクがマジでうれしーんです。だって去年は実績がない、という理由で却下されちゃったんでね。一応、指導者兼演奏者なんで。」
 「そういうの、ありですか?」
 P「野球でたまにあるじゃないですか。監督兼選手みたいなやつ。」
 「ふーん(あまり納得できない様子)、ところで昨晩は宴会かなんかで盛り上がったんでしょうね。」
 P「いえいえ、静かに喜びをかみしめながら、真面目に練習しました。」
 「いやあ、マジメですなあ」
 P「そうですよ。ここまで1年以上がんばってきましたからね。特に一年以上前から数人で始めたガムランがこうして少しずつ大きくなって、やっと双葉、本葉が出てきたって感じです。学生たちと一緒になって、早く大きくなってりっぱな花を咲かせるように精進しなくっちゃいけないからね。練習、練習。」
 

COINN 初夏のコンサートin鴨江アートセンター

2014年05月26日 | 浜松・静岡
一昨年まで室内楽演奏会の企画に関わっていた社会人2年目の卒業生が、浜松でユニークなコンサートの企画をしました。場所は鴨江アートセンターです。
 卒業生からいただいた主演グループCOINNのプロフィールを掲載します。

 今回の企画は東京で活動する『COINN』というチルドレンバンドのライブ。ギター、ウクレレ、チェロそしてオモチャなどで構成されたドラムの四人組で、親子が楽しめるバンド演奏をモットーに活動している彼ら。その一味違うバンド演奏が、親子から、刺激を求める若者にまでオススメ。会場に選んだのは鴨江アートセンター。これから間違いなく浜松の魅力的な文化芸術拠点になるはずの場所です。
 僕は浜松でなかなか体験出来ない音楽イベントをこれから企画していこう!と考えています。浜松市民が文化芸術の面で外を見るきっかけ、そして浜松市民の財産として市内の文化施設を感じる機会作りが僕にとっての大きな目的です。
 5月31日(土)開場13時半、開演14時。大人(高校生以上)1500円、子ども(小中学生)500円、未就学児 無料です。予約はCOINNのホームページまで! http://www.coinn.jp/
 座布団持参で、より一層近くでコンサートを楽しめます!
 

 ちなみにPが一言加えると、コンサートでは、私のゼミ生が美味しいコーヒーを入れて販売してくれるそうです。なかなかのプロの味わいのコーヒーです。
 社会人になっても夢を忘れず、現実の荒波の中に溺れることなく自らの手で何かやってみようというこのチャレンジ精神。いいですね。こういうの大好きです。鴨江アートセンターは、旧浜松市警察署の建物を保存しアートセンターしたもので、これが結構いけてます。Pはその雰囲気が大好きなので、自分のワヤンの企画も6月29日に鴨江アートセンターで行います。
 「そんなに応援してんならPは当然行くんだろ」と思われがちですが、私、その日は音の森のガムランの発表会で羽根木公園でガムラン叩いてます。ごめんね。なんだか土日は浜松にいられないことが多くて。でも大勢の方に訪れていただきたいです。

こんな時期に花粉症…

2014年05月22日 | 家・わたくしごと
 この10日間、花粉症の症状がひどくてどうにもならない。こんな時期に花粉症があるのかと調べてみると、やっぱりあるみたいだ。実際、私にはじめて花粉症が発症したのはスギ花粉からだいぶだった頃だったことを思い出す。それにしてもこんなにひどかったかどうかの記憶はない。特に鼻と喉にきているので、声を出す作業がきわめてつらいのだが、教員なのでそれを拒絶することは難しい。無理すると今度は頭痛が襲う。また病院か…。
 薬を飲むと眠くなるのである。「眠くなりにくい薬です」とはいわれるのだが、やっぱり眠くなる。無理してカフェインをとって仕事をしようとするとと今度は胃が痛くなる。胃が痛くなると胃薬を飲む…。なんだか負の連鎖が起きてしまう。
 今週末は北インド音楽のワークショップとコンサートを学生とともにコーディネート。ということは浜松にいられるので移動はないだが、何らかの花粉がピークの浜松で今は静かに花粉が飛び去るを待つしかないようだ。前向き、前向き、と心で叫ぶのであるが、頭がぼんやりしすぎて、そんな叫びも私の脳に届かない…今はそんな状況なのである。
 

新緑

2014年05月13日 | 家・わたくしごと
 床の間の手ぬぐいが、桜から新緑の図柄に新しくなりました。といっても5月の連休に替えたのですが、ブログにアップするのを忘れていました。
 この日本間から見える外の風景を描いた手ぬぐいをもう一つもっています。祇園祭バージョン。わが家では7月の手ぬぐいです。このブログでも依然アップました
 新しい新緑の手ぬぐいはこの4月に購入したばかり。やはり大好きなRAAKの図柄です。ぼんやり手ぬぐいの新緑を眺めていると、なんだか涼しい風が手ぬぐいの「外」の世界から、こちらにかすかに流れてくるようです。そんな風を感じて、おもいっきり天井に向かって伸びをしてみました。なんだかとってもいい気持ちです…。
 

浜松まつり(三日目編その4)~おめでとうございます!(絶叫)

2014年05月06日 | 浜松・静岡

施主夫婦と子どもが並ぶ


鏡割り


担がれる施主

「おめでとうございます!」
拡声器でガラガラ声の若者が絶叫する。
「バンザーイ、バンザーイ、バンザーイ!」
ラッパの音が一度、三度、五度の順に音をあげていく。
「ウイショ、ウイッショ」
この叫び声で、太鼓のリズムが刻み出し、ラッパの旋律が奏で始める。

 これが初子祝いの始まりである。とにかくすごい。家の前に施主(たいては夫婦とその子ども)が立ち、その家(店)の前をグルグルまわり、それが終わると口上となり、その後、鏡開きと相成る。施主(子どもの父親)が、皆の「ヨイショ、ヨイショ」の掛け声で、力いっぱい樽のふたを木槌でたたく。何回目かに蓋がわれて酒が飛び散るやいなや、あっという間に施主は肩車され、その瞬間、再びラッパと太鼓が始まる。施主は担がれて、家(店)の前を何周かまわる。田町ではそのとき、かならず鏡割りをした樽のふたを持つ担当がいる。この瞬間が最も興奮する時ではなかろうか?
 樽酒や食事がふるまわれて、その後、施主や役員が大杯で酒を飲み、それが終わると万歳三唱で、次の場所へと移っていく。その際も何度も家の前をラッパ隊と百人近い組員が回るのである。とにかくすごいのは、拡声器をちょっとはすにかまえてわざとハウリングを起こしているんじゃないかと思うハスキーな声で叫ぶ若者である。ものすごい指示と統率力。この人の指示には誰も逆らえない。
 うれしそうに涙が流す施主の姿を見て、こっちまでグスン。デジカメの画面が見えないよ…。


用意された食べ物

以上を持って三日間の浜松まつり(初日、二日目、三日目編)のブログは終了です。今までは一つの話には一枚の写真と決めてきましたが、これは自分の記録の意味もあって写真を複数掲載しました。あと数分で5月5日が終わり、6日になります。まだ遠くでラッパの音やホイッスルの音がします。これで終わっちゃうんですね。ものすごく喪失感があります。祭りのあとの空虚さ、というか…。参加していない私がこうなのだから、参加しているみなさんはどんな気持ちになっちゃうだろう。数日はぼんやりしながら、リハビリに励みます。ブログを読んでくれた方、ありがとう。私感ですから違っていることもあるかもしれません。でも、いろいろ楽しめた三日間でした。浜松のみなさんに本当に感謝しています。

浜松まつり(三日目編その3)~子どもラッパ隊

2014年05月06日 | 浜松・静岡
 初子祝いの施主の家には、だいたい何時に行くか決められている。地域にもよるのだろうが、田町では子どものグループが先に施主の家をまわる。祝いの言葉や万歳三唱、ラッパと太鼓の演奏が行われると、袋に入ったお菓子が配られる。子供たちはそれをうれしそうに受け取るのである。
 子どもがラッパや太鼓を演奏するのは、次の世代の継承にとって重要なことだ。しかし一方で、この継承には親の協力が欠かせない。子どもがやりたいといっても、親の都合によってーーたとえば仕事で練習などに送り迎えできないとか、役員ができないとか(やりたいくないとか)--できない子どももいるらしい。確かに親の負担はそれなりにあるだろう。とすると地域密着型の親でなければなかなか勇気を持って参加できない可能性はある。
 どこの地域にもあるわけではなさそうだが、子どものラッパ隊は結構な数がある。今年は二日目に浜松駅の横の広場ソラモで、子どもラッパ隊の演奏が買い物客や観光客向けに行われていた。継承はたいへんなのだろうが、各地で子どもたちがこうした芸能に関心を持って継承していくことを切に願う。

浜松まつり(三日目編その2)~見せるという行為

2014年05月06日 | 浜松・静岡
 
店の前での演奏


四辻でのパフォーマンス


四辻でのパフォーマンス

 たぶん街練りには、いくつかの意味があるのだと思う。一つは儀礼的な意味。演奏するという行為そのものが、初子祝いという儀礼空間を特別なものにする。もちろん街全体がこの音楽によって「儀礼空間」化して、ハレの場を作ってしまう。もう一つは、その場に活気や商売繁盛のような特別な意味を付与するような役割である。たとえば、店は接待、あるいは寄付などにより、店の前で演じてもらうことで、商売繁盛を願う。
 もう一つ重要な役割は「見せる」というパフォーマンス的な役割。これは「まなざし」が多い地域ほど発達するのではないだろうか?たとえば、私の住む田町は、町内の人々以外に歓楽街には大勢の人々が集まる。そうした人々がそのパフォーマンスに目を止めるからである。
 今日も雨降りの中、有楽街(繁華街)のど真ん中で、パフォーマンスが繰り広げられる。旗を中心に追随者は背中向きに「おしくら饅頭」のような形で反時計回りにグルグルまわる。別にバリのように四辻の儀礼ではなく、人が集まる場所でのパフォーマンスなのであり、毎年、ここで繰り広げられるらしい。

浜松まつり(三日目編その1)~初子祝いに思うこと

2014年05月06日 | 浜松・静岡
 あいにく三日目は午後から雨になってしまう。凧は午前中にはあげられたようだが午後には早い時間に片づけられたという。浜松の街中での合同練りも中止になった。そのせいか観光客はまばらだったと思う。しかし、当たり前だが重要な街練り(町内の練り)は、雨であろうと行われるのである。
 私が住む田町という町内は、たぶん普通の町内とはいえない。なぜなら街中で有楽街という繁華街の中心がこの町内に属していることから、外からの参加者も多いし、たぶん店の接待や、初子(初節句)祝いの数も多い。今年は初子祝いが7件、店の接待が2件の計9件。祭りは三日間なので一日3件平均でまわらなくてはならない。たぶんこれはほかの町内と比べれば(もちろん実証的な数字はないが)多いと思う。これは私感に過ぎないのだが、繁華街なので、そこで初子が誕生すればご近所も期待するだろうし、どうしても店の面子というものもあるに違いない。
 規模も施主によって異なっている。今晩、四つの町内の初子祝いも見たが、やはり田町は他と比べればかなり派手である。繁華街なので他の町の法被をきた若者も大勢その様子を見ているのだが、彼らは「規模が違うなあ」と後ろでつぶやいていたのが印象的だった。駅周辺から離れた住宅地などの初子祝を見たことのない私にはわからないのだが、こうした呟きや浜松祭りの経験者の語りから察するにやっぱりここは派手なんだろう。
 さすがだと思ったことは、土砂降りの中でも雨具を着ないことである。彼らがいうには(実際に聞いてみた)、雨カッパと傘は「邪道」なのだそうだ。確かに誰も着ることはなく、全身びしょぬれで、それでも「ウィショ…」と掛け声をかけラッパを吹く。唯一、太鼓だけにはビニールをかけてたたく。これは楽器の特質上、仕方がない。考えてもみれば、バリだってオダランでどんなに雨が降っても屋根がない場所での儀礼はびしょ濡れになっても行うし、儀礼のときは皆、どんなに濡れようと儀礼着である。やはりそれが儀礼なんだろう。ちなみにこの写真、母親に抱かれた子ども(初子)もびしょ濡れである。大丈夫なんだろうかとこちらが心配してしまう…。