Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

有楽町でワヤン

2008年03月31日 | 東京
 日曜日、東京国際フォーラムでワヤンの公演。1週間前の公演は実質、私の話の部分は2時間強だったが、今回はその半分。そのため長くならないように場面構成だとか、内容を頭にたたきこんでワヤン上演。なんとか時間内に収まる。
 東京国際フォーラムに行くのは2回目。前は夜に何かのイベントに出かけただけなので建物の概観をじっくり眺めることもなかったが、今回よくみると、なんとなくオランダのデン・ハーグやロッテルダムにある現代建築に似ている。一緒に出演したデザイナーの友人の話によれば、デザインはヨーロッパ人らしい。なるほど、納得である。
 朝9時半に到着して、撤収が4時、車で家まで舞台道具や楽器を運んで終了。なんだかせっかく有楽町まで行ったのにどこも見れないのが残念。正確にはドトール・コーヒーによって、ビック・カメラで60Wの電球を2個買ったけれど。そうそう、このビックカメラは、マイケル・ジャクソンが来たときは全館貸切だったらしい。そう思うと、やっぱり有楽町観光名所にひとつ行ったことになるのかな?

20年ぶりの再会

2008年03月29日 | 家・わたくしごと
 20年前、名古屋でワヤンを上演したとき失くしてしまった1体のワヤン人形があった。探しても探しても見つからずに、私はあきらめてその後、自分の師匠にその人形を新たに作ってもらった。それも随分前の話だが、そのとき師匠は「失くした人形はいつか戻ってくるものだ」と言っていたのをぼんやりと覚えている。私は当時そんな話を信じなかったし、20年後、私はその人形と偶然にも再会するなんて思ってもみなかったのだ。
 先日、名古屋にいったとき、私はその人形と再会した。それはある資料館に収められていたのだが、私は交渉をしてその人形を受け取り、再び自分のワヤンの収納箱に納めることができたのだ。つまりワヤンは私の師匠が言ったように、再び私のもとに戻ってきたのである。出張に名古屋に行かなければ、そして資料館の倉庫の中の私の通った場所に人形が置いていなければ会えなかったものだ。まさに不思議な話である。
 私は明日のワヤンにこの人形を使うことにした。20年ぶりにこの人形は影絵となって再び生き返る。どんな気持ちで明日を待っているのだろう。ぼくはこの人形に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。20年もの長きにわたって、人形箱の仲間たちと離れ離れにさせてしまったのだから。人形はきっと私を呼び続けていたんだろう。そんな言葉が20年も聞こえなかった私はダランとして失格だ。

ワヤンのお稽古

2008年03月28日 | 東京
 先週にワヤンの大きな舞台が終わったばかりだが、今週の日曜日には演目の違うワヤンを東京で上演する。こんなに続けざまにワヤンの上演があるのは久しぶりである。
 バリのダランであれば、違う演目を毎晩のように変えながら上演できるが、私には大事業である。演目は前回はラマヤナだったものが、今回はマハバラタ。登場人物も背景もすべて異なるのだ。22日の公演のために半年ほど前から古典文学を読み返し、相当に自分なりに消化したのだが、今回はその内容はまったく役にたたないのだから。
 今日は一日、部屋にこもって頭をラマヤナからマハバラタに変えるお稽古をする。おかげで、一日、ちゃぶ台のような小さいな机の前に胡坐をかいて、一歩も外に出ないまま日が暮れてしまった。しかし、まだまだである。1日くらいではうまくいかない。
 本番は明後日。明日はガムラン演奏者との稽古。全体像のイメージがやっとまとまってきた状態だ。明日も今日と似た生活パターンを送らざるをえまい。それは、まあいいとして、ダイエット中の私がこんなに動かないと、沖縄に戻って体重計に乗って「えー?どうしてー?」と叫ぶのが目に見えている・・・。

ソメイヨシノハ ハルノ ハナ

2008年03月27日 | 東京
 羽田空港からモノレールに乗ってぼんやり外を眺めると、咲き始めたソメイヨシノの樹があちこちに見える。春が来たよ。また春が巡ってきたよ。ソメイヨシノハ ハルノ ハナ。
 なんだか子どもを沖縄に置いて、自分だけがソメイヨシノを見るなんて罪悪感にさいなまれてしまう。春休みに東京に戻れない子どもは、今年もソメイヨシノを見ずに終わると思うと・・・。
 なんだか、沖縄にいると春が永遠にやってこない気がしてしまう。ソメイヨシノがないのだから。だからハラハラと散るサクラの花びらも、サクラ吹雪も知らないで息子は沖縄で育つのだ。ソメイヨシノハ ハルノ ハナ。
 実家に戻る前に公園に寄る。ソメイヨシノが咲き乱れるサクラの道。春が来たよ。東京に帰ったよ。ソメイヨシノハ ハルノ ハナ。

洋楽とともに

2008年03月26日 | 大学
 「洋楽」というのはいささか古めかしい表現である。現在ではクラシック音楽といわれるのだが、よく考えてみれば、クラシック音楽というのは「古典音楽」であって、どこにも「西洋音楽の」という形容詞が付いていない。そう考えてみると、「洋楽」の方が理にかなっているような気もする。
 そんな洋楽をテーマにしたレクチャーコンサート「日本で出会った最初の洋楽たち」を企画して、24日に行った。二日前にはワヤンの上演をした同じ場所で、今度はインドネシアとは全く違う音楽である。
 違うといっても、私はピアノをはじめて音楽の世界に飛び込んだわけだし、洋楽はある意味、私の音楽の原点である。今は研究も実践もインドネシアの芸能が中心になってしまったが、別に、洋楽を自分の中から捨て去ってしまったわけではない。
 舞台の横で演奏者を送り出すとき、とても幸せな気分になった。こうして自分の原点の音楽に関われて、自分が演奏しなくても、こうして演奏者たちとともに一つの舞台を作ることのできた喜び・・・。

クンバカルナの戦死

2008年03月23日 | 大学
 昨日の夜、大学ホールでワヤンの上演を行う。10ヶ月、学生達と練習してきたものが形になるというのはとにかく嬉しい。舞台衣装を着ると皆、もう一端の演奏家だ。
 首里という太平洋戦争の激戦地で、私が大好きなラマヤナ物語の中の演目「クンバカルナの戦死」を上演できたことには感無量である。戦争はいかに空しいものなのかを語るこの演目をきっと目には見えない英霊たちが聞いていたことだろう。国を守るために死を覚悟して出陣するクンバカルナを、彼らはどのような気持ちで受け止めたのだろうか?
 いつも思うことだが、大きな舞台が終った後の満足感に続く脱力感・・・。それだけ一生懸命練習した証拠だろう。やっつけ仕事でこなした上演では、そんな気持ちにはならないもの。
 演奏者やスタッフの皆に感謝。300人近く来てくださった観客の方々にも感謝。

ワヤンの通し稽古

2008年03月21日 | 大学
 明日はワヤンの舞台なので、今日は朝から舞台の仕込み、夜は通し稽古だった。
 それにしても、多くのスタッフに恵まれて舞台準備が整った。今回はホリゾントにワヤンのストーリーと関係を持たせた映像を大きく写すことにしたのだ。始めての試みである。やはりホールでやるのだから、外とは違う方法で演出してみようということになったのである。
 しかし何はともあれ、もっとも大切なことは私が演奏者との約束通りワヤンを上演することである。いやいや、それを考えるとなかなか頭が痛い。それにしても10ヶ月練習してきた学生達のワヤン初舞台である。どちらかといえば自分が上演することより、そちらの方はずっと嬉しい。これこそ教師冥利につきるのだ。もちろん、こんな舞台でワヤンができることは、役者冥利(あらゆる登場人物を操る私は、すべての役の役者である)にも尽きるのであるが。



はじめてのワヤン

2008年03月20日 | 家・わたくしごと
 息子が私のワヤンの練習をはじめて見に来た。しばらくすると、上演している側でなく陰の側に回り、一人で影絵にかぶりつきで見ていたらしい。私は操っている側なのでそんな息子の姿は見えなかったのだが。
 練習が終っても、壁に向かって人形と矢を一生懸命操っている。どのように影絵に映った人形が矢を放っていたのかがわからないらしい。私は子どもをスクリーンの前に手招きした。たいていは大勢の前だと恥ずかしがってそんなところにやってこない息子が、なぜか抵抗なくそこにちょこりと座ってスクリーンに向かった。
 「ほら、ここを持ってね」と教えると素直に聞いて、一生懸命に人形の矢を放とうとする。そして何回か繰り返すうちに誰かの「矢が飛んでいるように見えるよ」という声が聞こえた。その瞬間、息子は満面の喜びを顔に浮かべた。君も僕にようにダランになるかい?


オランダ風ワッフル

2008年03月20日 | 東京
 今回、東京で見つけた最高のおみやげは、写真の「オランダ風ワッフル(ストロープワッフル)」である。堅く焼いた薄い二枚のワッフルの間にキャラメルが挟まれているというオランダのお菓子だ。
 オランダで生活していたとき、このお菓子の存在を知った。スーパーの中のパン屋で、クッキーかと思って買ったのがその最初である。とにかく美味しい。カロリーが高いと思っていても、すぐ1枚、2枚と続けざまに胃の中に納まってしまう。これにはまってしまった暁には、このワッフルが発祥したといわれるチーズで有名なホーダ(ゴーダ)という町まで出かけ、そこで焼きたてのワッフルを屋台で食べたことまである。出来立ての熱いワッフルは、まだやわらかく、しっとりしている。
 沖縄に戻ってから日本で見かけることはなかったが、オランダからの輸入品としてアメ横で発見したのである。これは感動であり、二枚入りの小袋と、八枚入りの大きなものを買う。さっそく店を出た瞬時に、二枚入りを開けて、ワッフルを齧ってみる。
 「旨い!」いやいや、もうダイエットなんてなんのその・・・。御徒町駅につくまでには二枚はもう私のお腹の中に納まったのであった。ちなみに八枚入りのワッフルはまだ冷蔵庫の中である。さてさて、いつ食べようかな?


「チェコへの扉」展

2008年03月19日 | 東京
 先週、東京芸大の旧奏楽堂に行った帰り、国立国会図書館国際子ども図書館で行われている「チェコの扉――子どもの本の世界」という展覧会に行ってきた。
 チェコの子ども向けキャラクターとしてまず思い浮かぶのが、もぐらのクルテク君である。チェコには二度ほど訪れたが、このときクルテクグッズを購入して、今も研究室に思い出の一品として飾られている。もう一つ思い浮かぶものは、カレル・チャペックのロボットである。確かロボットという発想は、チャペックの専売特許である。
 広い展示室には、たくさんのチェコの子どもの本が並べられていて、数人の来館者がガラスケース越しに熱心に眺めている。それにしてもその絵は、日本のものとも、オランダの絵本とも違う。絵本のお国柄というものだろうか?
 展示室内は撮影禁止だったのだが、入り口を出ると記念撮影コーナーがあった。なんと、操り人形劇場をモティーフした背景ではないか!人形劇マニアの私は、誰も立っていない背景だけを嬉しくて何枚も撮影した。プラハでみたドン・ジョバンニの人形劇を思い出して懐かしかった。
 ちなみにこの図書館のカフェは静かで、もちろん昼にはランチもある。お勧めのカフェである。