今バリでは、ベノア湾の埋め立てに対する大きな反対運動が起きている。今ではなく、すでに3,4年前から起きていたと思うが、埋め立てが2014年の大統領令によって認められた以降、その運動の規模が拡大している。埋め立て反対のスローガンは BALI TOLAK REKLAMASI BATALKAN PERPRES NO. 51/2014 である。「2014年第51号の大統領令を白紙に戻し、バリの埋め立てをやめさせよう」と訳すことができる。デンパサールの街にはこのスローガン、あるいはこれに類似した言葉が印刷された大きな看板があちこちに立てられている。それどころか、一ヶ月に数回は、バリのどこかで大規模な集会やデモが実施される。数万人単位のデモなので、事前に領事館、新聞社、テレビ局などにその予定が伝えられる。
埋め立ての目的は、浅瀬でマングローブの林が広がる空港近くのベノア湾を埋め立てて、大リゾート地域を作り、もっとバリを観光で豊かな島にしようという行政側の考え方に基づいたものである。一方、市民側は、リゾート地作るのではなく、現在のバリの文化を洗練させ、より観光コンテンツの充実したバリにすべきだ、という主張を繰り返す。前大統領が辞める直前に認められた大統領令は、市民派として知られる現ジョコウィ大統領のもとでさえ、そう簡単に撤回できないのである。大統領令の効力というのは、生半可なものではない。すでにベノア湾には、夜中に大型トラックが砂利を運び続け、すでに大きな砂山がベノア湾の一角にできているのだ。
さてこの状況、日本のどこかの県の状況と似ているのではないだろうか?退任する直前にGOサインを出した前県知事の決定は、その後、県民運動がいかにあろうと、県知事がどうあろうとそう簡単には変更できない状況が続く。埋め立ての目的は異なるわけで、同列で語るのは難しいのだが、やはりこのバリでの問題、他人事とは思えないのである。どちらの問題もこれが、いいとか悪いとか、当事者でない私がブログで語れるような問題ではない。にしても、やはりその問題の背景にあるさまざまな事柄を考えざるを得ないのだ。
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