合同練りは、浜松市が観光イベントの一環として行っているもので、これ自体は儀礼とは関係のないものです。つまり「外からのまなざし」が意識されたイベントで、ある意味「つくられた伝統」といえます。だからといって、観光客だけが見ているかといえばそうではなく、個人的な感想としては、バリのアートフェスティバルが、当初は観光を重要な目的の一つとして立ち上がったにも関わらず、今ではほぼ地元の大イベントになってしまったように、この合同練りもまた地元の人々に愛されるようになっているように思えます。つまり浜松市民もまた、このイベントを浜松まつりの一つとしてとらえているのです。
これは、駅前の大通りを700メートル程度、複数の会所の人々が一緒に練るもので、会所ごとに微妙にラッパの旋律、太鼓のリズムは違うものの、もうそんなことはおかまいなく会所の大きな旗を先頭に、一緒に演奏し、演奏組の後方には提灯をもった会所の人々が続きます。それなりに壮観な風景です。大音量です。
浜松市はひじょうに広いために、浜松から距離のある会所の人々にとっては、ある意味、負担になると思います。これが終了したらすぐに地域に戻り、初子の祝いの練りなどを行わなくてはならないからです。ただ地域でやるだけでなく、みたことのないような大勢の人々のまなざしに触れることは、ある意味、観光という側面からだけではなく「まつり」という視点からみても活性化につながるのかもしれません。そうした高揚感が、合同練りの最後に大きなエネルギーになり、練りに参加した人々、観客の興奮が最高潮に達する場面が最後に見られます。確かに儀礼的な意味はないのかもしれませんが、「まつり」としては重要な位置づけと考えてもいいのでしょう。ちなみにこの提灯の中にはゼミ生もいたのですが、やっぱりかなりのエネルギー爆発だったようです。本日もガムランのメンバーたちが合同練りに法被をきて登場します。