大田区は、区長の任期を三年に制限する条例(多選自粛条例)を提案しています。
この条例は、当初は、区長になった者全てに適用できる条例でした。
しかし、区は、この条例を突然取り下げ、現在の区長に限定した条例を提案しなおしました。
私は、強大な権限を持つ首長の多選については否定的です。
憲法違反ではないかという議論もありましたが、最近の首長多選に対しては、弊害の部分が問題視されるとともに、憲法解釈についても肯定的になっています。詳細は「首長多選問題に関する調査研究会報告書」を参考にしてください。
しかし、この条例は、その対象を特定の個人(松原現区長)にしてしまったことに大きな問題があると考えます。私の多選への考え方は、上記の一行目のリンク先で述べていますので参考にしてください。
この条例についての問題性の私の論点は次の通りです。
①現、松原区長本人に限り三期までと定めるのであれば、条例ではなく議会における公約で十分ではないか。あえて条例制定する意味があるのか。
②個人の問題は条例にはなじみにくいのではないか。
*こうした個人に限った条例策定が許されてしまえば、例えば、議会の
大半が首長の反対派をしめる場合に、多選自粛条例を制定し、首長の
任期を制限するといったかたちで悪用される恐れも無いとは言えない。
③特定の個人の職業選択の自由を侵害することにならないか。つまり、憲法違反。
*ニューヨーク州上訴裁判所は、1993年、全候補者に中立的に提要される
合理的基準によっていることを理由として多選禁止は政党であり執行される
べきであるとの判決を出しています。
(レファレンス 平成19年7月号「諸外国の多選制限の現況」三輪和宏氏
:P12緑のアンダーライン部分参照)
全候補者が対象ならば職業選択の自由を侵害しないということは、翻れば
特定の個人に限定した禁止条例は憲法の職業選択の自由に抵触することに
なるのではないか。
議案は、18日、19日、両日ともに10時から、大田区役所本庁舎10階、総務財政委員会において審議されます。是非、議論の行方を傍聴しにいらしてください。
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いますが、本音はそうかもしれません。
そうした意味では、最初の議案撤回のまま
次のチャンスを待ち、本人に限った条例など
出すべきではなかったと思っています。
わかりにくい構図で、与党は、多選の弊害を並べ
多選自粛条例を評価する形で賛成し可決しましたが
区長の姿勢を評価するのであれば、否決して
欲しかったと思っています。
今回の反対は、多選を良しとしない区長への
エールのつもりです。