リコール・メッセージ。 recall message

　自動車の稼働システムを大ざっぱに言えば、ガソリン（ＨＶはガソリンと電力混成）を噴
射引火して燃焼エネルギーに変換してエンジン（engine）を起動し、縦回転のシフトを四輪
に横回転に変換して駆動する。
　(1)ガソリンを噴射、引火するエンジン起動システム、(2)加熱ボディをアジャスト（adjust）
冷却するラジエーター（radiator）システム、(3)方向をアジャストするハンドルシステムと
(4)速度をアジャストするアクセル（accel.）、ブレーキ（brake）システムで安全走行を維持
する。

　パワー回転の縦横返還、変速と大変複雑な構造で、部品のアイテムも多い精密機械、
現在ではそれらをコンピュータ化して管理している。安心、安全性の高い機能を備えた高
速運転から運転者（人）の生命安全を守る自動車システムのように（信じて）思っているけ
れど、実は精密機械の組み合わせによるちょっとした部品不良、不具合は想定される範囲
内のことで、自動車にリコール（recall）は「つきもの」だった。

　国内外のほとんどの車種でリコールを目にしないことはない程、注意深くメディアを見て
いるとよく目にするのが、自動車のリコール。不思議なことに、積極的にリコールを宣言し
て改修することが自動車業界でのステータス（status）、パラドックス（paradox）として信頼
にもなっている。
　かって、日本のある自動車メーカーがこのリコール隠しをして、信頼、安全神話を一気に
失った事件が記憶に深い。
　リコールは「つきもの」とはいえ、運転者（人）の生命、安全にかかわる重大事項に変わ
りはないからだ。

　トヨタが先端技術を駆使した環境適応型のハイブリッド車の新型プリウスのブレーキに不
具合（低速で効きが悪いまたはまったく効かない）が出て、日米で１００件以上（事故も含
む）の申告があり社会問題化した。

　業績回復の主力車、人気車で、及ぼす影響を恐れてか、対応が迅速を欠き、ようやく技術
系責任者から出た説明は「システム上の不具合ではなく、利用者の感覚の問題」という驚き
の言葉だ。
　精密機械の複雑な構造、さらにプリウス（ＨＶ）はガソリン、電力の新型コンポジット（composite）。
一般利用者にもっと分かりやすい解説が求められていた。

　１００件以上（事故がどの原因に起因するのかは別にして）もブレーキ不具合の申告があ
って「利用者の感覚の問題」では、誰もが理解不能。安全に運転できる心理にはならない。
　２月５日。世論、米国の圧力に促されて、これもようやく社長が代表会見で不具合を陳謝
した。業績回復途中の影響の大きさも考慮してか、リコールにまでは言及しなかった。

　ことは陳謝ではなく、生命、安全の問題だ。ブレーキ不具合という、先端技術で世界をリ
ードする日本技術の自動車業界の謙虚、賢明、いさぎよさが問われている。

　長引く世界的経済不況で、リコールは経営に一時の打撃を与えるだろう。しかし、迅速で
確実な消費者、利用者に向けた技術的裏付けのある安全メッセージ（リコールを含めて）が
使命（mission）として求められている。