いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

究極の五者五様。-その2  ultimate athlete

2010-02-21 20:44:32 | 日記
 いかに自分の得意の「ステージ」に相手を乗せて、勝負のアドバンテージ(advantage)
を取るのかの究極のゲーム展開(ultimate game deployment)。

 (3)高橋は、世界一といわれるステップワークは評価どおり参加アスリートの中では抜き
ん出た得点力だった。ショートプログラムで3位という順位が結果として、フリーでの4回
転ジャンプの選択となった。
 ショートプログラム3位では、フリー演技で4回転ジャンプを飛ばない限りは、ゲーム前
から上位を狙うチャンスを捨てることになるし、下位からの追い上げにも効果的な対応が出
来ないからだ。
 厳しい選択の中で、フリーでは4回転ジャンプに挑戦して転倒、ステップワークで圧倒し、
表現力、スピード、芸術性ではほかに引けを取らなかったことが、結果として銅メダルを獲
れたことにつながり、幸運でもあった。
 プルシェンコがフリーで落ちてくる確率以上に、4位以下のアスリートのフリーの成績に
よっては3位そのものも危うい状況にあった。現実に、転倒もあったがフリーに限っていえ
ば4位(ランピエル)、5位(チャン)のアスリートの方が得点が高かった。4回転ジャン
プ選択の危険性は大きかった。
 ショートプログラムの高得点のアドバンテージというよりは、高橋の抜群のステップワー
ク、表現力、スピード、芸術性による高い見せ場がわずかに決定力となった。
 それは、しかし、4位、5位のアスリートよりも果敢に勝負に出た人間力、度量、修羅が
上回った生き様での強さで、これも当然の帰結だった。
 高橋には、たとえ相手の得意の「ステージ」でのゲームであっても、果敢にそのステージ
の中で挑み、ブレークスルー(break through)する意思がスケーティングから、表情から
溢れて見えたのだ。

 (4)織田は、マインドコントロールの甘さ、性格がプレッシャーの中で、当然の帰結のよ
うに結果を左右した。周囲というよりは、本人自身が勝手に動いて、プレッシャーからのネ
ガティブな回避、問題をつくり出して、その問題の答えに応えようもなくスパイラル(spiral)
に自滅した。
 高橋のいさぎよさ、生き様が教訓となるはずだ。こういうアスリートは、乗せると強いけ
ど周囲も乗せるのもむづかしくて、自分で勝手に動いてこけるタイプで、自分の得意のステ
ージに相手を乗せる余裕が必要だ。
 経験と場数を踏んで精神的に落ち着きが出てくれば、スピードと特異のキャラクターがい
い方向に変化する潜在能力(potential)はある。

 (5)小塚は、今回のオリンピックで日本人では初めて4回転ジャンプを成功させ、自己ベ
ストの得点をあげた。4回転ジャンプの成功がありながら、3回転半(トリプルアクセル)
ジャンプに失敗し転倒したのは、馴染みのない高揚感からくるエアポケットに陥ったのか。
 20才で経験の未成熟、スキルへの確信の不安定要素からくる、当然の帰結だった。
 しかし、彼の高速スピンの評価はライサチェクにも引けをとらない高い評価だっただけに、
20才の若さもあり、今後の成長次第では得意の「ステージ」の中での世界のトップアスリ
ートと渡り合えるアスリートになる資質(potential)は十分に示した。

 ライサチェクは、置かれた状況、条件の中の用意周到な戦略で、得意のステージの中
で勝つべくして勝ち、そのほかのアスリートは不本意に置かれたステージの中で、当然
の帰結としての順位、結果となった。
 オリンピックをステージにした、究極の五者五様。

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究極の五者五様。ーその1  ultimate athlete

2010-02-21 19:22:07 | 日記
 4年に一度のオリンピックゲームとなるとアスリートとしての対決以上に、修羅が織りな
す究極の人間模様(ultimate life cycle:生き様)の激突のステージ。
 いかに自分の得意の「ステージ」に相手を乗せて、勝負のアドバンテージ(advantege)
を取るかの究極のゲーム展開(ultimate game deployment)。

 バンクーバーオリンピックのもうひとつの五者五様を勝手にみる。(1)フィギュアースケ
ート男子のショートプログラム2位でフリーに強いエバン・ライサチェク(米国)、(2)4回転
ジャンプのスペシャリストで、前回オリンピックの金メダリストで引退のあと、3年間の空
白を経て今回のオリンピックに照準を合わせて、競技を再開したショートプログラムに
強いエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)、(3)世界一といわれるステップワークと卓越した
表現力で、ショートプログラム3位につけ日本人男子初のメダルを狙う高橋大輔(日本)、
(4)織田信長の末裔(まつえい)でスピードとコミカルな演技、なぜか調子のよさが肝心の
ときに演技の不安定に出る織田信成(日本)、(5)父親が元オリンピックアスリートで、今
回日本人アスリートとしてはオリンピックで初めて4回転ジャンプを成功させた小塚崇彦
(日本)。

 (1)ライサチェクはフリー演技では正確さを全面に出して、失敗の確率の高い4回転ジャ
ンプを回避した。ショートプログラムでの1位プルシェンコとの得点差0.55は、プルシェン
コの3年間の空白とどちらかといえばフリー演技に弱点のある彼のハンディを分析しての
勝利の方程式と、高度なスキルはジャンプの回転数よりはスピード、総合芸術性にある
という、オールラウンドプレーがスポーツの真髄とする米国スケート陣営のオペレーション。
 前年の世界チャンピオン(ライサチェク)は、大きな失敗(転倒)をしなければ印象的にア
ドバンテージの高いステータスがある。プルシェンコの空白の3年間を見切った、僅差の
2位からの逆転の確率の高い安全策に出て、得意のステージの上の勝負に勝った。
 鋼鉄のがっしりとした均整のとれた体躯で、米国スポーツのオールラウンドプレーがステ
ータスの価値感が結果として成果(金メダル)となった。オリンピックは勝利第一という戦
略の勝利だった。そういう「ステージ」をつくった、僅差のショートプログラム2位だった。

 (2)プルシェンコの今回のオリンピックへの参加は、現在唯一ともいえる安定した4回転
ジャンプの高度なスキルのスペシャリストと前回オリンピックの金メダリストというステー
タス、名声で、今回のフィギュアースケートの興味と関心を配信した功績が、まず大きい。
 オリンピックにだけは出場してメダルコレクター(collector)という印象以上に、競技争い
のレベルアップへの功績の方がはるかに大きい。
 ゲーム前の会見でも、盛んに4回転ジャンプが競技の将来のためにも避けて通れない
アイテムだと主張して、自分の得意のステータスの4回転ジャンプの「ステージ」にオリン
ピックゲームを乗せようとした。
 本人としては、今回は4回転ジャンプのフレームワーク(frame work)の中でしかアドバ
ンテージがないのもよく理解してのオペレーション。
 結果として、4回転ジャンプ以外にこれといった見せ場もなくスピード、芸術性にも欠け
て、パラドックス(paradox)に4回転ジャンプを飛ばないライサチェクに目論見どおりの
ステージの中で1位逆転を許した。プルシェンコからすれば、当然の帰結となった。
 当然の帰結とはいえ、ゲーム終了後のメダリストの会見では、4回転ジャンプへの評価
に不評を示して、ひとり会見を打ち切って、不本意な相手の仕掛けた「ステージ」から去っ
ていった。
 唯一勝利の4回転ジャンプのステージ、方程式の自らの戦略が功を奏しなかった無念
の退場。しかし、3年の空白を経てのプルシェンコの今回オリンピックゲームへの参加の
与えた注目度は評価していい。
 
 

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