いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

もうひとりの勝者、二者二様。 all-over winners

2010-02-26 19:48:24 | 日記
 オリンピックゲームに出場するアスリートは、すべてが勝者とも言えるし、順位はついて
も、やはりすべてが勝者達であった。
 バンクーバーオリンピック14日目。2月26日、フィギュアスケート女子のフリー演技。

 演技順位後半にもなると、登場するアスリートはすばらしい集中力で日頃のトレーニング
成果のスキルを発揮していくのがわかる。
 14番目登場の日本の鈴木明子さんは、スピードのある3回転ジャンプを決めて、安定し
たリズムワーク、ステップワークの演技で11位から8位に総合順位をあげて入賞。一時は
スポーツが不可能な病気からの見事な復活の勝利だった。

 20番目安藤美姫さんから、21番キム・ヨナさん、22番の浅田真央さん、23番のロシェ
ットさんまでの4人の演技がオリンピックフィギュアスケート女子のハイライトとなった。
 20番目の安藤さんは、古代エジプトの印象的な衣装に身を包んで、軽快なステップワー
ク、高いジャンプにムードたっぷりの演技で5位入賞。前回オリンピックの雪辱を果たした
勝利だった。

 さて、21番目のショートプログラム最高得点記録で1位のキム・ヨナさん。流れるよう
なスケーティング、高くスピード回転のある3回転ー3回転連続ジャンプを中心として見せ
場をつくってフリー演技得点150.06点の驚異的な得点記録でトータル228.56点
でダントツの1位。
 ショートプログラムでは浅田真央さんの後の滑走順位で、浅田さんのオリンピック史上
女子として初めてのショートプログラム3回転半ジャンプ(triple accel.)成功という文句の
ない高いレベルの演技を見ても、一瞬、映像に映しだされた「ニヤッ」と不敵な笑みを見せ
る度量で、ショートプログラムでも最高得点記録の演技を貫いた。
 フリー演技では、その浅田さんの前の滑走順位となり、先に異次元のスコアを打ち出して
ショートプログラムでの不敵な「笑み」どおり余裕のマインドコントロールを発揮した。

 これをイヤーフォンを付けて集中して見ていた浅田真央さんは、スタートから3回転半ジ
ャンプ、3回転半ー2回転連続ジャンプを確実に女子として「ただひとり」決めて、高いス
キルのスケーティングで好スタートをきり、終盤エッジが氷にかかり回転不足があったがス
キルレベルの高い演技を存分に魅せた結果だった。フリー演技得点131.72点、トータ
ル205.50点、ただひとり、オリンピックで「3回転半のジャンプ」を3回も完ぺきに演技し
た2位。

 結果として、最後は昨シーズンの好不調がキム・ヨナさんの「余裕(composure)」に、
浅田さんの追いつけ「気負い(sensitivity)」となって勝者を分けた。
 (1)キム・ヨナさんのショートプログラムでの目の前のライバルの演技をストレートに受けて
見て、そのすばらしい出来栄えに「ニヤッ」と不敵な笑みでかえす度量と余裕力が、
(2)フリー演技で目の前のライバルの演技をイヤーフォンを付けて集中していた追いつけ「気
負い」を静める堅さに、勝利した。

 浅田さんはショートプログラムの時に受けた「自然体」が消えて、表情には追いつけ「気
負い」が見受けられた。
 昨年の、浅田さんの高いスキルレベルからは想像もできない長い不調の中から、バンクー
バー到着の直前までの猛練習があったと聞く。
 長い不調を克服した10代とは思えない「人間力(humanity sensation)の2位(銀メダル)」
だった。

 人間力を補うこの精進、努力があれば、確実に「3回転半ジャンプ」がコンペティションとなる
次の「ステージ」では、必ず浅田真央さんに女神は舞い降りるだろう。
 
 オリンピックゲームの「1位」は「ひとり」かもしれないけれど、実は人間力に苛酷にも
取り組んで勝利した「もうひとりの勝者」もいたのだ。
 そのなかのひとりが、浅田真央さんであったのは間違いない。

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