いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

シンドラー・クライシス。 schindler crisis

2012-11-02 19:41:30 | 日記
 (1)エレベータによる人身事故(死亡)がまたもや繰り返された。ずっと以前から問題のシンドラー製のエレベータによる再発人身(死亡)事故だ。行政(監督指導)対応の怠慢であることはあきらかだ。

 06年に都内で高校生がシンドラー製のエレベータに今回と同じように扉が開いたまま上昇し、壁とエレベータに身体を挟まれての圧死だった。6年経過して、またもや同じシンドラー製エレベータ(ブレーキ設備ほか同一機種ー報道)による同じ事故構図の人身(死亡)事故だ。

 (2)行政も手を打たなかったわけではない。その後09年に(前回事故から3年もたっていたが)扉が開いたままエレベータが上昇した場合、自動停止装置(ブレーキ)を設置することを法律で義務付けた。

 問題①は、その際にエレベータ「機能」の「間違っても安全(fail safe)」対策、対応であったはずの(なければならない)ものなのに、08年以前の既設のエレベータにも「義務付け」なかったことだ。
 今回の金沢のホテルのエレベータは14年前の製造品といわれて規制対象にはなっていなかった。行政監督指導対応の不備によるいたましい人身(死亡)事故の繰り返しだ。

 問題②は、今回の事故でシンドラー社の中部支社を家宅捜査しているが、前回事故も含めて当時シンドラー製のエレベータの事故が相次いで社会問題化していた時に、事故再発防止のためのシンドラー社に対する適切な行政監督指導対応をしてこなかった行政の怠慢、ないしは企業利益にばかり目を向けたその姿勢だ。

 (3)エレベータ製造会社としての組織上、技術上の問題について、経営責任だけでなく「製造責任」(schindler crisis)を厳しく問うべきであった。同社に対する国内でのすでに設置したすべてのエレベータの「間違っても安全」対策、自動停止ブレーキの設置を義務付けるとともに、重大事故責任としてこれ以上の新設営業活動を同社に認めるべきでなかった。

 06年事故当時の同社の安全対応、対策、企業意識には疑問をいだかせる事故責任性の希薄なものであったが、これを容認してきた行政監督指導の責任は重い。
 事故が起きるたびに、何のための捜査であり、処分、指導なのか。これでは実効性のないただの行政の茶番仕事(routine work)だ。

 (4)日本のエレベータ業界は、技術力の開示閉鎖性の極めて強い業界体質で、技術開発の情報公開をしないことで有名なところだ。自社製品技術の独自性、独占性、経営至上性をはかって他業種の参入を排除してきた。

 技術力を情報公開せずにエレベータ製品製造とメインテナンス(maintenance)を「自社独占」して、経営の寡占化をはかってきた。これはこれで製品機能の安全性という意味では保障性は高かった。

 (5)ここにシンドラーエレベータは、メインテナンス部門を自社から切り離して専門会社に委ねて低価格で業界に参入してきた。
 製品機能の自社技術を情報公開せずに、低価格で一般的なメインテナンスだけを他の専門会社にまかせて細かい技術構造をあきらかにせずに、従ってメインテナンス専門会社は踏み込んだ点検整備に危険で手が出せずにメインテナンンスが十分でなかったことが予測される。

 価格競争が安全性を度外視しているエレベータ企業を行政サイドが強力に監督指導し、業界体質を改革することが安全維持には緊急に必要なことだった。

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