(1)首相が昨日の党首討論で「1票の格差是正案」と引き換えに16日解散(dissolution of the Diet)に言及した。解散条件の衆院小選挙区の「0増5減」は与野党合意のうえで明日までに成立することが決まった。これで首相は明日衆院を解散する。
あれほど解散権は首相の専権事項だとして「寝言にも出さない」(本人談)としていかなる機会にも具体的解散日付を明言してこなかった首相が、一転党首討論で「16日解散」に言及した。「売り言葉に買い言葉」解散だ。
内閣支持率、民主党支持率の低迷の中で、「近いうち」解散を年明けまで先延ばしすることも選択肢としてあったと言われて、野党からは首相の言質(げんち)を「うそつき」呼ばわりまでされていた「売り言葉」に「買い言葉」で応えた16日解散だ。
(2)もちろん、その背景には用意周到な戦略が見える。①1票の格差是正では「0増5減」案に、自民党ほか野党の多くが反対する「衆院比例定数40削減」の成立とさらに議員報酬20%削減を引き換え条件にして、違憲、違法状態の選挙制度改革への前向きな取り組みと前進をアピールした。
②相次ぐ離党で民主党連立政権が衆院過半数割れ目前にきて、内閣不信任案可決(解散か内閣総辞職)の可能性も現実的になってきてそれならと自らの裁量権限で先手に打って決定力、決断力を誇示した。
③課題法案の成立と合わせて「近いうち」解散発言の責任履行により、政治責任、約束を果たす政治家姿勢を示した。
④国民の期待の集まる政治第三極勢力の結集、選挙態勢が整う前の解散総選挙で、民主党の退潮傾向を最小限に押さえようとした「16日解散」言及だ。
(3)09年の国民の圧倒的な支持を受けた民主党による本格的政権交代のマニフェスト(公約)の自らの手によるほとんどの見直し、中止、廃止による政治混迷、迷走は、国民の審判による再構築が必要なまでに落ちた。
時代は長引くデフレ、円高不況に雇用不安、震災社会、領有権問題で内憂外患の閉そく感が深く覆(おお)っている。
国民の支持率が示すとおり今の政府、民主党に責任能力、統治能力はなく、替わるべく野党も不在という国会、既成政党不信が深刻な政治情勢にある。国民が責任を持って原状回復、再構築するべき政治状況だ。
(4)解散総選挙は遅きに失したが、この決断(decision)はずるずる引き延ばし、越年よりはましだ。年末の予算編成時期で国民の生活、社会、経済への悪影響が懸念されているが、現在政治環境がずるずる引き延ばされても閉そく感は変わらない。
例年、新年には祝儀相場で一度は上昇する経済観までに国民の信任を受けた政治体制で心機一転、新年から少なくとも展望と期待感の見える政治、社会像の方が耐える価値もあるというものだ。
(5)これまでさんざん政治空白(political vacuum)国会をくり返していながら、こんな時期に政治空白などあり得ないというグループは議員生命の延命論者でしかない。
民主党からは、首相の政治手法、いまさらの政策不一致を理由に国民の期待が集まる政治第三極勢力への参加離党が出ているが、これも政治信条、信念のない理不尽(unreasonableness)な政治行動だ。
出来るなら、現国会議員の総取っ替えが求められる。
(6)現在の閉そく政治状況は政府、与党の責任は大きいが、国会機能無視の野党も含めたすべての議員にその責任はある。
国民が責任を持った判断力で政治再構築の最善の選択をしなければ、仮にこの選挙が1票の格差対策不十分で憲法違反となろうとも、今、解散総選挙をする意義はない。
あれほど解散権は首相の専権事項だとして「寝言にも出さない」(本人談)としていかなる機会にも具体的解散日付を明言してこなかった首相が、一転党首討論で「16日解散」に言及した。「売り言葉に買い言葉」解散だ。
内閣支持率、民主党支持率の低迷の中で、「近いうち」解散を年明けまで先延ばしすることも選択肢としてあったと言われて、野党からは首相の言質(げんち)を「うそつき」呼ばわりまでされていた「売り言葉」に「買い言葉」で応えた16日解散だ。
(2)もちろん、その背景には用意周到な戦略が見える。①1票の格差是正では「0増5減」案に、自民党ほか野党の多くが反対する「衆院比例定数40削減」の成立とさらに議員報酬20%削減を引き換え条件にして、違憲、違法状態の選挙制度改革への前向きな取り組みと前進をアピールした。
②相次ぐ離党で民主党連立政権が衆院過半数割れ目前にきて、内閣不信任案可決(解散か内閣総辞職)の可能性も現実的になってきてそれならと自らの裁量権限で先手に打って決定力、決断力を誇示した。
③課題法案の成立と合わせて「近いうち」解散発言の責任履行により、政治責任、約束を果たす政治家姿勢を示した。
④国民の期待の集まる政治第三極勢力の結集、選挙態勢が整う前の解散総選挙で、民主党の退潮傾向を最小限に押さえようとした「16日解散」言及だ。
(3)09年の国民の圧倒的な支持を受けた民主党による本格的政権交代のマニフェスト(公約)の自らの手によるほとんどの見直し、中止、廃止による政治混迷、迷走は、国民の審判による再構築が必要なまでに落ちた。
時代は長引くデフレ、円高不況に雇用不安、震災社会、領有権問題で内憂外患の閉そく感が深く覆(おお)っている。
国民の支持率が示すとおり今の政府、民主党に責任能力、統治能力はなく、替わるべく野党も不在という国会、既成政党不信が深刻な政治情勢にある。国民が責任を持って原状回復、再構築するべき政治状況だ。
(4)解散総選挙は遅きに失したが、この決断(decision)はずるずる引き延ばし、越年よりはましだ。年末の予算編成時期で国民の生活、社会、経済への悪影響が懸念されているが、現在政治環境がずるずる引き延ばされても閉そく感は変わらない。
例年、新年には祝儀相場で一度は上昇する経済観までに国民の信任を受けた政治体制で心機一転、新年から少なくとも展望と期待感の見える政治、社会像の方が耐える価値もあるというものだ。
(5)これまでさんざん政治空白(political vacuum)国会をくり返していながら、こんな時期に政治空白などあり得ないというグループは議員生命の延命論者でしかない。
民主党からは、首相の政治手法、いまさらの政策不一致を理由に国民の期待が集まる政治第三極勢力への参加離党が出ているが、これも政治信条、信念のない理不尽(unreasonableness)な政治行動だ。
出来るなら、現国会議員の総取っ替えが求められる。
(6)現在の閉そく政治状況は政府、与党の責任は大きいが、国会機能無視の野党も含めたすべての議員にその責任はある。
国民が責任を持った判断力で政治再構築の最善の選択をしなければ、仮にこの選挙が1票の格差対策不十分で憲法違反となろうとも、今、解散総選挙をする意義はない。