いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

発信できない政党政治。 party politics can't dispatch a policy

2012-11-16 20:01:34 | 日記
 (1)一党独裁共産主義国家中国の新体制が決まった15日には、日本では年末解散総選挙に向けて政治第三極勢力結集に向けての話し合い、既成政党からの離党、第三極参加、新党結成が相次いだ。

 国民からの既成政党不信に敏感に反応した議員の生き残り戦術だ。政策不一致を理由に解散を契機に離党騒ぎは続く気配だ。政党に属してはいても、選挙は支持母体に支えられての地域活動だから地域、支持母体に直接影響力のある「政党政策」に対しては、政党よりは地域、支持母体の「いいなり」中心に動く政治環境がここにきて背に腹は代えられないと露骨に表れはじめている。

 (2)TPP問題は反対グループも農業、医療、金融に限らずに日本経済全体に不利益に働く危機と主張しながらそうは動かず、結局は選挙応援目当ての支持母体の「いいなり」、頼りの都合主義でしかない離党行動だ。

 政党に居たって、仮に日本経済の崩壊危機に自己主張、理論闘争は可能なわけで、政党政治(政治家)は一政策ごとの「集合体」ではない、政治理念、手法、姿勢の「共有体(commonism)」だ。
 ひとつひとつの政策不一致で離合集散などくり返していたら、政治の進むべき方向性など示せない。

(3)人間の価値基準の多様化は、情報化社会の近代化にともなって急速に進化して、近代政治の先進欧州では早くから政治の政党少数乱立が進んで複数「連立化」組合わせが常態化してきた。
 政治的混迷、不安定化と一党がリーダーシップをとれない理念なき烏合(うごう)集散の欧州政治環境が、パラドックス(paradox)として壮大な政治、経済、平和の実験EU(欧州連合)化につながった要素だ。

 政治、平和としては一定のパラダイム(paradigm 規律規範)効果はあるが、歴史、文化、風土の違う経済では多様化の波に効果的対策を打ち出せないで、相互扶助システムが働かずに共倒れによるEUの全体的な経済基盤の沈下傾向が鮮明になっている。円高となって日本経済、世界経済をも直撃する要因ともなっている。

 (4)こうした世界図の中で、一党独裁政権国家の中国が豊富な人口、国土、資源を背景に急速に経済発展を遂(と)げて、GDP世界2位の影響力国となったのは象徴的だ。
 政治手法の良し悪しは別にして、党理念、主導の力、浸透性、統治能力の影響力の大きさは示すものだ。

 日本の政治形態は欧州近代政治の議院内閣制、自由主義国家だから、社会思想、政治思想の多様性が主流となって価値の共有化がむずかしい社会環境にある。
 政党政治(party politics)として共通して政策発信することが困難な時代だ(party politics can't dispatch a policy)。

 (5)民主党は、09年政権交代のマニフェストは準備不足、理論不足、財源不足で、共有化は議員の多様化以前のものとして土台出来なかったわけだが、累積国家財政赤字解消に向けた消費税引き上げ政策では70名にも及ぶ離党者を出して、11月解散決定では第三極への参加離党者で衆院連立政権過半数割れを引き起こしている。

 さらにTPP問題でも交渉参加方針の政府与党に反発して、離党(選挙支持母体の配慮)の動きが加速している。少数野党でも多様な国民のニーズに応えたいと、受け皿としての新党結成が続いている。

 (6)政党が多様に政策、理念を共有化し、発信できない政治環境をつくりだしている。最早、「一政策」ごとの狭い裁量の政党化現象だ。背景にあるのは、価値の多様化という高邁(まい)なものではなくて、まだまだ選挙支持母体の強い影響力だ。

 11月解散総選挙に向けて、既成政党不信で国民の期待が集まる政治第三極勢力の結集合流が話し合われている。
 主導する石原太陽の党は、大同小異を捨てて政党第三極大同団結を目指しているが、政党が政策、理念を発信できない現在の政治環境の中で、それぞれの政策理念の背景、支持勢力の信念、思惑もあり紆余曲折は必至だ。

 発信できない政党政治、発信力共有化のない政党政治の危機でもあり、転機でもある。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする