いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

政府・日銀の共同声明。 accord

2013-01-23 19:39:01 | 日記
 (1)首相官邸で中央の安倍首相から右に向かって麻生副総理・財務金融相、甘利経再相と自信満々な安倍内閣の経済閣僚が胸を張ってデンと座り、その横に場違いな感じで伏し目がちな白川日銀総裁が妙にかしこまって座っている今日の新聞のトップ写真だ。
 デフレ脱却を最優先課題とする安倍内閣が、日銀に物価指数上昇率2%(物価目標)実現のための大胆で強力な金融緩和を求めた政府と日銀合意の「共同声明(accord)」が発表された。

 日銀総裁が「(物価目標2%達成に)相当、思い切った努力が必要」と実現までのむずかしさを言い、安倍首相は「画期的な文書」と自画自賛した。

 (2)ここ10年来、物価水準は「0%」かマイナス成長が続いており恒常的なデフレ不況の中にある。さらにバブル経済時代でもせいぜい同「1%」程度(統計)であったことを考えれば、物価目標「2%」実現の困難さがよくわかる。

 前民主党政権時代の政権末期に当時の前原経産相が日銀の政策決定会合に乗り込んで(出席資格はあったが、それまでは出席していなかった)、さらなる金融緩和を求めた日銀との「共同文書(accord)」でも「1%を当面『目指す』」にとどめていた。
 日銀が国債信用を失う懸念からの日銀の独立性(independency)を強く主張、維持するとともに、末期的前民主党政権の不安定な足元を見定めた方針だった。

 (3)安倍連立政権誕生で市場は一気に円安、株高に転じて、政府の日銀法改正にも言及する日銀への強い金融緩和策要請(強要)の中での、手のひらを返したような政府の物価目標2%同意への日銀の変貌だった。

 長引くデフレ脱却には、前民主党政権の「未来世代にツケを回さない」だけの緊縮財政金融政策では当時のデフレ、円高不況、雇用不安、震災社会への回復効果はなく、一時的にも(財政規律、健全化の目標設定も大事)国債発行に頼っても経済、景気回復政策シナリオは選択肢だった。
 どの世代がその責任をどの比率、配分で負うのかは、公平、公正な展望、計画判断も必要だ。

 (4)冒頭に述べたトップ写真が示すように、政治、政府の日銀介入が露骨に表面化している。日銀の独立性は、政治、政府の財政金融政策による社会の実体経済安定維持のための監視、調整であり、政治、政府方針に意義もなく加勢、従うだけのものではない。

 日銀がデフレ脱却のために同時に主張した政府の成長戦略推進は「共同声明」からは漏れた。
 安倍首相も自民党総裁なら、白川さんも日銀総裁だ。日銀の独立性を言うならば、日銀総裁を政治が選ぶ(国会の承認)方式を変えなければならない。

 (5)日銀は今後、無期限で物価目標2%達成のために月13兆円規模で国債など資産を買い入れて、市場へのお金の供給量を増やす。
 一方、企業経営者は春闘のベースアップに否定的で、仮にデフレ脱却してもすぐに賃金アップには結びつかないと消極的企業保身だ。

 どんな政策でも「光」と「影」はある。政策実行効果のための環境整備、優先順位と政策混合率効果の問題だ。

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