だまし金銭詐欺には変わりはない。there is no difference to monetary fraud

　(1)警視庁が一向におさまらない「振り込め詐欺」事件に最近は現金「手渡し」詐欺に姿を変える傾向があることから、事件実態にあわせた「名称」を公募して「最優秀作品」に「母さん助けて詐欺」が決まったと発表した。

　何とも警察の捜査能力、体制と同じで悠長でのんびりとしたぬくもりのある話題づくりで、事件の本質解明、徹底撲滅へのがむしゃらな意気込みがまったく感じられない、まるで人ごとのようなはしゃいだ話だ。

　(2)「母さん助けて詐欺」の名称の如何（いかん）については後に回すとして、いわゆる「振り込め詐欺」事件が被害の大きさ、拡大の中での一向におさまる気配もないのは、捜査する側の警察組織が犯罪行為者の次から次へと変化、進化（進化というのも適当ではないが、そういうこと）する手口の巧妙さ、悪知恵に振り回されて追いつけない「後追い」捜査、警察力の劣化にあることは明白だ。
　インターネット犯罪同様に、最近の犯罪の近代化に適切に対応できない警察組織の後手、後手対策だ。

　(3)振り込め詐欺増加で、銀行窓口での規制、監視体制を強化したらしたらで、「敵（犯罪実行者）」は仲介役を介在したり、それでも危険と感じ出すと今度は直接現金を指定場所に「持参」させて、しかもその場所をケイタイを使って転々と移動させて（報道）身辺警戒を見せて、最後は人目のつかない場所に誘って強引に現金を奪う悪質な手法に転嫁している。

　当初の銀行窓口の規制、監視体制などの事件「後追い」の小手先の警戒体制では犯罪実行者に追いつけないのは、先、先と犯罪道を開拓して先行する事件実態から周知のことだった。

　(4)この事件への国民的関心が常に高まりを見せながら、国民的総意、関心での一体的取り組みがまったく組織だって戦略的に実施されてこなかった警察分析力、捜査能力のおそまつな実情が同事件の勢いがおさまらない原因だ。

　狙われる対象者層が選別できればその対象者層中心に、そうでなくても国民全戸（家庭）に対して（そのなかには犯罪実行者も含むかと思われるが）犯罪防止「周知」（地域組織を活用）する一斉キャンペーン（案内、チラシ、防止教本配布）を実施して犯罪防止の国民関心の高まりを現実のもの実体として常時「共有」する対策が必要だ。

　(5)その「こまめ」な犯罪防止対策が必要な最中に「名称」が実態に合わなくなったから公募であらたに決めましょうなどと、警察組織は何を考えているのかあきれるばかりだ。

　提案者には悪いけれども「母さん助けて」ごときのものでもなく、男女問わずに善良な国民全体への悪質な犯行挑発であり、自らの努力の結晶である財産を犯行で「だまし」て奪うという「だまし金銭詐欺（monetary fraud）」の極悪非道犯罪だ。

　(6)国民総力をあげての連携しての集中的、徹底的犯罪撲滅が急務のだまし金銭詐欺事件だ。