いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

研究成果結果主義の偏向。 diversionism of study resultant

2013-05-24 19:37:28 | 日記
 (1)最近の学術研究論文の不正急増といえる問題は深刻だ。同一人物による何十本ともいう研究論文の不正が明らかになったり、ありもしない研究成果を世界初として堂々と発表したり、臨床実験に利害関係のある製薬会社が関与していたことを伏せていたりと、よくもまあ先端的科学研究分野での不祥事の頻発だ。

 15日にヒトクローン胚性幹細胞(ES細胞)を世界で初めて作製したと発表した米オレゴン健康科学大の日本人研究員の論文は注目を集めたが、その後さっそく論文内に「同じ電子顕微鏡写真」が何の説明もなく2か所に使われている指摘があり、研究成果には直接問題のあるものではないが論文の修訂正が必要になるとの報道があった。論文検証、点検不備ともいえる。

 (2)ほとんどの研究者は、山中伸弥さんのようにたとえば難病に苦しむ患者の回復に先端的、画期的研究発見、開発により最大限貢献したいという真摯で研究意欲の旺盛な信頼される研究者であるのが一般常識であったが、最近ではちょっと変化も見られるようになった。

 論文不正に限らずに、研究者の国庫補助、研究補助金などの不正流用使用などもよく目にするようになった。

 (3)日本の先端的科学研究分野は、ここ10数年では米国に次いでノーベル賞の授賞者を多く輩出して、高い研究能力が実証されている。昨年には山中伸弥さんが世界で初めてiPS細胞作製により50才の若さで研究成果発表から6年という短期間にノーベル賞生理医学賞を授賞した。

 近年のノーベル賞選考方針の研究成果(study resultant)の長い実証確認(認証)期間を経てからの授賞という傾向からは異例の早さという驚きもあった。
 それだけ時代の先端的、画期的な研究成果であったということだが、冒頭例の論文不正問題は地道な研究追究努力以上に「成果結果主義(diversionism of study resultant)」を興味本位にさらに煽(あおる)る時代社会風潮の助長ともいえる。

 (4)象徴的であったのが山中伸弥さんがiPS細胞作製でノーベル賞授賞後、間を置かずに米国在住の(正体不明の)日本人研究者の世界初のiPS細胞臨床実験成功ニュースだった。

 山中伸弥さんも事例によっては早くて3年後にはiPS細胞臨床実験も可能なものもあると発言していた中での唐突な同上のメディアの発表であった。
 メディアのまた先を争う目先の「成果結果主義」の中で、当然の確認、検証作業を怠った結果の自業自得の情報信頼失墜であった。

 (5)かっては高度で専門性の高い研究分野の成果発表には、それだけでやるべき手順は踏んでいる高い信頼性、信用性を備えていたものだが、情報化社会、グローバル化社会の中で一刻を争う成果結果主義の中であるべき研究成果結果の検証、確認作業が損なわれて、成果結果だけが偏向して重んじられて名声にこだわる社会文化風潮が研究社会をも浸食している。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする