いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

TPP交渉の行方。 whereabouts of TPP negotiations

2015-08-02 14:39:51 | 日記
 (1)TPP交渉は一体何のためにやっているのかといぶかしく思える。太平洋を取り巻く国が相互の関税を撤廃(ないしは縮小)して貿易を自由化して、経済成長につなげようというものだが、交渉参加国にはそうすることによって国内産業に与える影響も様々な事情をかかえており、それぞれの国が国内産業を守るために交渉するので一向に合意に至らない。

 それぞれ自国内に守るべきあるいは交渉反発、反対団体を抱えて、円滑運営上TPP交渉は交渉過程が公表されずに秘密会合となっているので、ことさら外部のものにとっては何のためにやっているのかよくわからない事態を招いている。

 (2)日本代表の甘利担当相は日米2か国交渉も含めて最近はことさらに合意が近づいていることをほのめかしながら、いつも最終日が近づくと合意に至らずに次回持ち越しというパターンが続く。

 日本もコメ、牛肉など農産物5項目の関税を撤廃しない聖域を設けて交渉をしており、TPP交渉参加国がそれぞれに守りたい産業分野、領域はあり、10か国以上がそれを前面に出しての交渉(negotiation)となればとても容易には合意はむずかしい。

 (3)そもそも日本は安倍首相が訪米してオバマ大統領との首脳会談で日本の農産物5項目の関税撤廃のない聖域を主張し、オバマ大統領がそれはTPP交渉会議で決められること(趣旨発言)と述べたことをとらえて、日本の立場は理解されたと自画自賛してみせたが、その後の米国はフロマン米通商代表が日本に例外のない関税撤廃を求める原則論を主張して交渉は難航を極めていた。

 (4)その間に経済成長の著しい中国がAIIBを主導して先進国、新興国、低開発経済国と幅広く結集して存在感を示しており、米国としてはこれに対抗する貿易、経済のスタンダードをリードしたい意向が強く、今回のハワイでのTPP閣僚会議を最終合意の場と言いながら合意に至らなかったのは、米国の強引さ、準備不足といわれている。

 それぞれに国内に交渉反発、反対産業団体を抱える貿易自由化交渉は、簡単には話はつかないからじっくり交渉は長期化するのはやむを得ないが、自国の利益だけを考えていてはまとまるものもまとまらない話だ。

 (5)相互関税撤廃による貿易自由化でどうすれば、どうなればTPP交渉参加国が全体として保護され、利益が享受できるのか、産業構造改革まで考えて環太平洋経済圏の発展がそれぞれの国益にも還元していく方法論(methodology)でなければならない。

 日本の場合、守るべき農産物、農業は本来、高い生産性、管理性、品質、味覚、安全性を備えており、高い国際競争力を持つものであるが、政府の過保護政策がその潜在能力(potentiality)を奪ってきた経緯がある。

 (6)食糧自給率の高さにこだわってきたがその間に世界経済はグローバル化が進み、政府もようやく自給率から自給力への政策転換へ動いている。
 本来国際競争力の高い農業を自立させる機会としてのTPP交渉にすべきだ。

 日本の自動車、家電産業では中国、韓国の欧州ほかとの相互関税撤廃の貿易自由化の影響で後れをとっており、TPP交渉の早期合意を望む声は大きい。

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