いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

安倍談話の本意。 real intention of abe speech

2015-08-17 20:10:10 | 日記
 (1)14日に発表された安倍首相の「戦後70年談話」には随所に「私たち」で始まる文章が目に付く。私(安倍首相)を含めて日本国民ともども一体となった主語で、国民とともに歩んできた、これからも国民とともに未来を歩む姿勢を示したかったのだろうが、一方で歴史責任の所在をあいまいにして国民にも責任の一端を背負わせる意図が見える文章になっている。

 だから海外の評価は一様に「反省やおわびが間接的に述べられている」、「首相が自らの言葉で謝罪しなかった」(報道)との批判的な意見が多く、「村山談話と比べて明らかに後退している」との論調が多い。

 (2)極めて国内問題の安倍首相の「戦後70年談話」について、国内でのメディア世論調査では44.2%が「評価する」と答え、37%が「評価しない」と回答した。
 首相談話として「評価する」の44.2%が比較高いのか、低いのかは評価は分かれるところだが、不戦の誓いや世界大戦などで日本によるアジア植民地侵略支配による被害に痛切な反省と心からのおわびを示してきた歴史を述べたにしては評価は低いといえるのではないのか。

 いづれもこれまでの歴代内閣の立場を紹介(踏襲)した形での表現になっているので、安倍談話(abe speech)としてはインパクトに欠けると映ったのだろう。

 (3)現在安倍政権が目指す安保法制案が参院特別委員会で審議中であり、衆院を強行採決して会期を9月末まで大幅に延長して成立を目指す安倍首相に国民は違憲法案と考えて過半数が反対(世論調査)するなかで、同談話で「私たち」とひとくくりにされて世界大戦などに反省とおわびを示されても違和感のあるのも事実だ。

 通常、世界大戦などに反省とおわび、謝罪に対する首相談話については国民の過半数を超える評価、支持があってもよいが、安倍内閣の支持率が30%台前半に急落して、不支持率が40%台後半と高い政治状況が反映されている結果と考える。

 (4)さらに中国、韓国との歴史認識問題で対立が続いて、その後中国との首脳会談はようやく動き始めたが成果はなく、韓国とはいまだに首脳会談もなく一向に関係改善に向かわないなかでの安倍談話では説得力に欠けるのは当然だ。

 安倍首相が同談話で「先の世代の子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と表明したことについては、「おわびの表現としては適切」と42.7%が答え、「適切ではない」の23.6%を大きく上回った。「おわびに言及する必要はなかった」が24.2%あった。

 (5)この項目は安倍首相の思想、信条、理念に近いグループ(政治家を含めて)からは高い評価を受けているが、適切(42.7%)が適切でない(23.6%)を大きく上回ったのは、旧日本軍のアジア植民地侵略支配の責任についていつまで反省とおわび、謝罪を続けなければならないのかと自問する世代観の国内事情を反映したものでもある。

 (6)安倍談話を閣議決定し、当初同じ言葉を使うならあらたに表明する意味はないとまで言いながら、歴代首相の談話を踏襲して安部カラーは消されたといわれるが、私的諮問機関の「21世紀構想懇談会」の報告に沿った第3者的内容の談話となって安倍首相の本意(real intention)が隠れて、パラドックス(paradox)として安倍カラーの談話となった印象だ。

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