(1)安保法制案を阻止することができるのか。よほどの天変地異(catastrophe)でも起こらない限りはむずかしい。
政府は安保法制案を集中審議中の今国会を9月27日まで大幅に会期延長し、仮に参院で審議がまとまらなくても否決されたとみなして、衆院で3分の2以上(自民党単独確保)の賛成で再可決できる「60日ルール」を適用できる体制にある。
野党とすれば国会審議のなかで同法案の矛盾点、不明点を指摘して、これにまともに答えない安倍首相、担当閣僚の無責任性、逃げの姿勢を国民衆目のなかにさらして安倍内閣、自民党支持率の低下を招き、来年夏の参院選に向けて勢力回復をはかる作戦しかない。
(2)実際に同法案の衆院強行採決後の安倍内閣の支持率は一部メディア世論調査では40%台から30%前半に急落して、不支持率が上回る結果が出ている。
しかし、安保改定、自衛隊のPKO平和活動派遣でも当時は国民の過半数が反対したが、今では立派に(安倍首相談)国際平和に貢献を果たしているとの安倍首相の国民世論を問題にしない政治姿勢からは、安倍内閣の支持率急落とは関係なく安保法制案の成立に強い意欲を示している。
つまり政府としては来る時が来れば安保法制案は成立(60日ルール)することが前提であり、政府、防衛省がそれを前提に準備することがあっても別に不思議なことではない。
(3)もちろん国会成立と同時に同法案が施行されるわけでもなく、成立後に実施関連法の準備、整備を開始するのがルーティン(routine)なのかもしれないが、成立が確実な法案の準備を並行して行っても形態上勇み足はあっても行政府としては不思議なことではない。
参院特別委員会で審議中の安保法制案にかかわって、共産党議員が防衛省が安保法制案の成立を前提とした資料を事前に作成していたことを取り上げて、戦前の旧軍部の独断先行のやり方と同じだ(趣旨発言)と指摘して、これに防衛相がしどろもどろ(報道)の回答で審議がストップした。
(4)民主党幹事長も「暴走の指摘があり、一般的なシミュレーションを超えている」(報道)と批判している。防衛省事前作成資料の内容がわからないが、極めて現実的な配備資料であったとしても現実に同法案が成立もしていないのに自衛隊組織を計画案にもとづいて「動かした」ということなら大問題だが、同法案成立確実を前提にして資料作成したことそのものには通常よりは先行を急いだ印象はあるが、戦前の旧軍部のやり方と同列で批判するようなことなのか疑問だ。
(5)防衛省の資料作成が実施計画案のようなレベルのものであればすぐにでも計画実施が可能であるとして独断先行の危険性は考えられる。
むしろ国会審議を無視、軽視した防衛省(the department of defense takes no account of the diet)の独断先行行為に対する形態上の問題批判の指摘であり、そういう意味では国会審議での指摘は意味のあるものだ。
(6)国民世論を問題にせずに野望政治を数の力で押し切る安倍政治にこそ民主主義立憲政治(constitutional democracy)の危機がある。
政府は安保法制案を集中審議中の今国会を9月27日まで大幅に会期延長し、仮に参院で審議がまとまらなくても否決されたとみなして、衆院で3分の2以上(自民党単独確保)の賛成で再可決できる「60日ルール」を適用できる体制にある。
野党とすれば国会審議のなかで同法案の矛盾点、不明点を指摘して、これにまともに答えない安倍首相、担当閣僚の無責任性、逃げの姿勢を国民衆目のなかにさらして安倍内閣、自民党支持率の低下を招き、来年夏の参院選に向けて勢力回復をはかる作戦しかない。
(2)実際に同法案の衆院強行採決後の安倍内閣の支持率は一部メディア世論調査では40%台から30%前半に急落して、不支持率が上回る結果が出ている。
しかし、安保改定、自衛隊のPKO平和活動派遣でも当時は国民の過半数が反対したが、今では立派に(安倍首相談)国際平和に貢献を果たしているとの安倍首相の国民世論を問題にしない政治姿勢からは、安倍内閣の支持率急落とは関係なく安保法制案の成立に強い意欲を示している。
つまり政府としては来る時が来れば安保法制案は成立(60日ルール)することが前提であり、政府、防衛省がそれを前提に準備することがあっても別に不思議なことではない。
(3)もちろん国会成立と同時に同法案が施行されるわけでもなく、成立後に実施関連法の準備、整備を開始するのがルーティン(routine)なのかもしれないが、成立が確実な法案の準備を並行して行っても形態上勇み足はあっても行政府としては不思議なことではない。
参院特別委員会で審議中の安保法制案にかかわって、共産党議員が防衛省が安保法制案の成立を前提とした資料を事前に作成していたことを取り上げて、戦前の旧軍部の独断先行のやり方と同じだ(趣旨発言)と指摘して、これに防衛相がしどろもどろ(報道)の回答で審議がストップした。
(4)民主党幹事長も「暴走の指摘があり、一般的なシミュレーションを超えている」(報道)と批判している。防衛省事前作成資料の内容がわからないが、極めて現実的な配備資料であったとしても現実に同法案が成立もしていないのに自衛隊組織を計画案にもとづいて「動かした」ということなら大問題だが、同法案成立確実を前提にして資料作成したことそのものには通常よりは先行を急いだ印象はあるが、戦前の旧軍部のやり方と同列で批判するようなことなのか疑問だ。
(5)防衛省の資料作成が実施計画案のようなレベルのものであればすぐにでも計画実施が可能であるとして独断先行の危険性は考えられる。
むしろ国会審議を無視、軽視した防衛省(the department of defense takes no account of the diet)の独断先行行為に対する形態上の問題批判の指摘であり、そういう意味では国会審議での指摘は意味のあるものだ。
(6)国民世論を問題にせずに野望政治を数の力で押し切る安倍政治にこそ民主主義立憲政治(constitutional democracy)の危機がある。