いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

刑法の理念。 an idea of the criminal law

2015-08-23 14:40:33 | 日記
 (1)超高年令化社会を迎えて人口比率も高い高年令者の犯罪が増えている。報道によると12年の65才以上の受刑者は20年前に比べて男性で5倍以上、女性で10倍以上に増えているといわれる。

 食料品の万引きなどの比較的軽微な犯罪が中心で、生活に困ってのものや認知症など病気によるもの、知的障害などが考えられている。比較的軽微な犯罪といえども犯罪に変わりはなく、見逃すわけにもいかない。
 犯罪者を刑務所に収容すれば1人年間300万円以上の国民投資(税負担)が必要(報道)だ。

 (2)高年令者の犯罪では罪の意識に欠けるものもあり、再犯率も高いことが考えられる。刑法は罰則規定ではあるが、日本の刑法理念は報復主義(principle of retaliation)をとらずに社会正義のパラダイム(paradigm)維持に犯罪者を更生して社会復帰させることが目的だ。

 軽微な犯罪だからといって高年令受刑者を型どおりの収監で終わらせるのではなくて、まずは更生をはかる指導、教育、再犯常習者に対しては地域社会(住民、店舗、家族など)との連携で再犯防止、体制を整備することが大切だ。

 (3)軽微な万引きなどの常習者の情報を警察と地域社会が共有して、再犯を事前に防ぐ方法論(methodology)、極めて軽微な犯罪で犯罪の自覚認識に欠けるものについては地域社会で事前発見、指導、教育による犯罪防止の工夫がいるだろう。

 高年令者犯罪に対しては、何が何でも警察が関与する犯罪構成ではなくて、地域社会の協力、努力で発見、防止することも考えなくてはならない。いずれは自らにもふりかかることであるかもしれないのだ。

 (4)大阪高槻市内で起きた中学1年男女殺害事件は、報道によると異常な殺害方法でその動機の解明が待たれるが、逮捕されたのは府内に住む45才の男性だった。
 この男性は02年に男子中学生を狙った監禁事件で逮捕されており、他にも複数の男子高校生を粘着テープで縛って監禁した同様の事件をこれまでに起こして度々逮捕(報道)されている。

 (5)このような異常性癖のある犯罪者は、冒頭のような高年令者犯罪のような訳にはいかない。このような犯罪者が更生もままならないうちに刑期を終えたからといって社会復帰を果たすのは、日本の刑法理念(an idea of the criminal law)にそぐわないものだ。

 結果としてさらに凶悪な犯罪に手を染める事例はよくあることだ。犯罪事例としてよくわかることだから、異常性のある犯罪歴者逮捕に対しては特別な更生システム、教育体制が必要なことを今回の事件はあらためて示している。

 (6)米国ではかっては犯罪検挙率の増加、収監に公的刑務所では対応できずに、民間刑務所で対応していた。日本の場合、ここ10年間で犯罪検挙率は減少傾向(統計)にあるが、犯罪者に対してもメリハリのある更生対応、体制で実効性のある社会復帰を目指さなければ社会正義のパラダイムは満足には維持できない。

 もちろん、中学1年男女が徹夜で朝まで街で過ごして、そのまま放置する家庭、社会のあり方、それを狙う犯罪の手から市民を守る国民意識の向上が求められる。

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