(1)石原慎太郎さんが都知事を辞めて出版したのが「天才」という田中角栄待望論だった。石原さんが政治家活動をしている時は利権政治、密室政治の代表としての田中的政治手法を批判して自らの政治的立場の対比性、存在価値を見出していたから、政治家を辞めて一作家として今度は田中的政治手法を賛美する、待望する立場に変化したのは、自らの本心としての立場の変化に迎合したものとして見ていた。
(2)石原さんが都知事時代に中国との領有権争いをしていた尖閣諸島を東京都が購入すると言い出したのは、田中角栄元首相の政治理念、手法と相通じるものがあったから、石原さんの根底に流れていた政治意識には実は田中的なものがあったということだ。
時代は田中的な利権政治(concession politics)、密室政治が国民の批判を受けて日本の政治に変化を求めていた中で、石原さんが国民、都民の総意としての政治家の立場として政治理念、信条の対比対論として田中的政治手法を拒絶批判したのではないのか。
(3)日本の政治の変化を求めた時代に、そのダイナミズム(dynamism)として当時の田中角栄首相のロッキード事件にかかわる贈収賄嫌疑(外為法違反)の逮捕があった。
現役首相がロッキード事件にかかわって商社から5億円の賄賂(わいろ)を受け取って便宜をはかったという事件は、それまでの自民党長期政権による政財界ゆ着、さらに高度経済成長を演出して支えた当時の田中角栄首相の利権政治、政治の私物化に司法のメスが入って糾弾されたという日本の政治の歴史的転換点ともなった。
(4)そのロッキード事件から今年で40年を迎えた。田中的政治が源流にしてきた自民党派閥政治は、その後の国民的な高い支持を背景にした自民党内では非主流派の小泉首相の誕生によって「ぶっこわされ」て、一時民主党に政権を奪われて野党時代を経験することになる。
石原さんの田中角栄待望論に前後してマスコミでは同じく田中角栄待望論の本が出版されて話題を集めたが、その中での今回の参院選では田中角栄元首相の地盤の新潟選挙区からは田中後継議員はすっかり姿を消して(報道)、かって国会議員の娘の田中真紀子さんも国政選挙で落選して現在は国会活動を行っていない。
(5)現実の政治の世界ではすでに田中的政治手法はミスマッチのものとなっている。田中角栄元首相は日本列島改造論を掲げて日本全国の土地価格の高騰を招いて、新幹線、高速道路網整備に公共事業投資を注入して高度経済成長をもたらした。
この背後では利権政治、密室政治、政財界ゆ着構図により巨額の予算、カネを動かして政治を私物化し、ついには5億円賄賂受領により現役首相として逮捕され、田中的利権政治は終焉した。
(6)政治の転換点となったロッキード事件から40年経過して、ふってわいたような田中角栄待望論は現代政治の中で何を目指そうというものなのか理解できないものだった。
このふってわいた現実感のない「出版ブーム」だけが、当時の田中政治の「利権ブーム」(boom of concession like a tanaka politics)に通じるもののように思える。
(7)何か、強い米国を標榜する非現実的なトランプ現象に似ている。
(2)石原さんが都知事時代に中国との領有権争いをしていた尖閣諸島を東京都が購入すると言い出したのは、田中角栄元首相の政治理念、手法と相通じるものがあったから、石原さんの根底に流れていた政治意識には実は田中的なものがあったということだ。
時代は田中的な利権政治(concession politics)、密室政治が国民の批判を受けて日本の政治に変化を求めていた中で、石原さんが国民、都民の総意としての政治家の立場として政治理念、信条の対比対論として田中的政治手法を拒絶批判したのではないのか。
(3)日本の政治の変化を求めた時代に、そのダイナミズム(dynamism)として当時の田中角栄首相のロッキード事件にかかわる贈収賄嫌疑(外為法違反)の逮捕があった。
現役首相がロッキード事件にかかわって商社から5億円の賄賂(わいろ)を受け取って便宜をはかったという事件は、それまでの自民党長期政権による政財界ゆ着、さらに高度経済成長を演出して支えた当時の田中角栄首相の利権政治、政治の私物化に司法のメスが入って糾弾されたという日本の政治の歴史的転換点ともなった。
(4)そのロッキード事件から今年で40年を迎えた。田中的政治が源流にしてきた自民党派閥政治は、その後の国民的な高い支持を背景にした自民党内では非主流派の小泉首相の誕生によって「ぶっこわされ」て、一時民主党に政権を奪われて野党時代を経験することになる。
石原さんの田中角栄待望論に前後してマスコミでは同じく田中角栄待望論の本が出版されて話題を集めたが、その中での今回の参院選では田中角栄元首相の地盤の新潟選挙区からは田中後継議員はすっかり姿を消して(報道)、かって国会議員の娘の田中真紀子さんも国政選挙で落選して現在は国会活動を行っていない。
(5)現実の政治の世界ではすでに田中的政治手法はミスマッチのものとなっている。田中角栄元首相は日本列島改造論を掲げて日本全国の土地価格の高騰を招いて、新幹線、高速道路網整備に公共事業投資を注入して高度経済成長をもたらした。
この背後では利権政治、密室政治、政財界ゆ着構図により巨額の予算、カネを動かして政治を私物化し、ついには5億円賄賂受領により現役首相として逮捕され、田中的利権政治は終焉した。
(6)政治の転換点となったロッキード事件から40年経過して、ふってわいたような田中角栄待望論は現代政治の中で何を目指そうというものなのか理解できないものだった。
このふってわいた現実感のない「出版ブーム」だけが、当時の田中政治の「利権ブーム」(boom of concession like a tanaka politics)に通じるもののように思える。
(7)何か、強い米国を標榜する非現実的なトランプ現象に似ている。