いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

声明で触れず。 it's not refer to the statement

2016-07-19 19:50:32 | 日記
 (1)中国による南シナ海埋め立てによる領域化を認めないハーグ仲裁裁判所の判決(上告できない最終判決)が出たにもかかわらずに、直後に開催されたアジア欧州会議(ASEM)首脳会議では声明に「南シナ海」の具体的な表記、「仲裁裁判所の判決」への言及はなかった(it's not refer to the statement)。

 安倍首相は「当事国が判断に従い、平和的解決につながることを強く期待する」(報道)と述べて中国に判決の受け入れを強く求めたが、中国が一貫して「中国は判決を受け入れない」(同)と主張して拒否したからだ。

 (2)直前の仲裁裁判所の判決発表では周辺国などからは歓迎を持って迎えられて、中国の立場も苦しいものになると観測されていたが、アジア欧州会議での中国の立場の強さが浮き彫りになった。

 中国がアジアを牛耳っている現実を示すものだ。中国はAIIB設立を主導して、透明性に懸念を示す日本、米国以外のアジア諸国、欧州EUのほとんどの国がこれに参加して、その中国による影響力の出たそのもののアジア欧州会議首脳会議だった。
 GDP世界第2位の経済国家中国のしたたかな戦略を見る思いだ。

 (3)中国の巨大なマーケットを背景にこれに参入して経済効果を期待したいアジア、EUとの貿易経済活動を活発化させて、アジアインフラ整備投資のAIIBを主導してアジア欧州の参加、投資を目論む習近平国家主席はしたたかだ。

 こうした中国の経済力を背景に一方で軍事力強化による南シナ海の埋め立て領域化を進め、東シナ海では尖閣諸島沖の海底エネルギー資源開発に意欲を見せて領有権を主張して実効支配する日本と対立する構図をみせている。

 (4)南シナ海問題では対決姿勢を見せている周辺関係国も経済協力関係となると中国の存在は特別であり、アジア欧州会議首脳会議では仲裁裁判所の判決の効力を盛り込むことさえできなかった。

 日本、米国中心の「航行の自由」作戦で南シナ海問題が注目されて、これに仲裁裁判所の判決効力がその都度問題となって中国の立場に不利に働くことが予想される中でも、中国主導によるAIIB設立によるアジア支配、欧州EU関係強化の戦略効果は絶大な力を持つことが今回のアジア欧州会議首脳会議での声明内容でわかった。

 (5)これに反対する日本、米国は数の上では絶対的な少数であり、仲裁裁判所の判決という援軍をうけても中国の海洋進出、南下作戦に対する戦略の見直しに迫られるだろう。

 日本と米国中心で先に設立している同目的趣旨のアジア開発銀行との協力関係、さらに日本、米国がAIIB参加に踏み切るのか、中国の巨大マーケット、経済力を背景にしているだけに何とも中国主導によるアジアの経済、軍事影響力、支配力の強さが際立つ。

 (6)世界政治はかってのG7支配から経済成長が堅調な中国、ロシアなど新興国を加えたG20時代へ移行しているともいわれて集団指導体制に目が当てられている。
 その新興国も経済成長がひと段落してあたらしい段階に入って、国内的には様々な副作用、反作用に面しており、21世紀に入ってカオス(khaos)の世界、流動社会を迎えている。

 国際問題の緊張を利害関係(advantages and disadvantages)でなあなあにしていては、混乱は解決の糸口さえ見失うことになる。

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