いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

プーチン大統領の思惑。 expectation of president of russia

2016-09-01 20:01:44 | 日記
 (1)北方4島領土問題解決に平和条約締結交渉に向けて日ロ首脳の相互訪問が相次ぐ。安倍首相は明日からロシア・ウラジオストクの訪問に、プーチン大統領は12月に訪日すると発表(報道)された。

 日本とロシアとの平和条約締結交渉は北方4島領土問題の解決なしには実現しないものだから、これはパッケージ論(theory of package)だ。

 (2)北方4島領土問題についてはロシアは「第二次世界大戦の結果、自国領になった」(報道)論を主張し、日本は歴史的、地学的に帰属する「固有の領土」論を主張して対立したままだ。

 尖閣諸島のように日中双方が主権、領土を主張している問題とは違って、日ロそれぞれの主張は戦争による領土併合問題をどう解決するのかの外交交渉問題となっている。
 沖縄返還交渉と同じ論理で日本にも前例はある。

 (3)ロシアのプーチン大統領は「引き分け論」(win・win)として2島・2島分轄領有権の考えも披露したといわれて、日本の政治家の中にも支持する立場の人もある。
 しかし、ロシアも戦争結果による北方4島併合であることを認めており、日本も固有の領土と主張しているのだから、2島・2島の引き分け論、共同統治論は日本側にとっては受け入れられない歴史的、地学的意味、整合性のないものだ。

 第二次世界大戦の結果併合されたものだから、その返還にあたっては4島一括返還が前提となるのは当然の権利であり主張だ。

 (4)ただし、ロシアはかってはプーチン大統領が引き分け論で一部(2島)返還に含みを持たせたといわれているが、現在のロシア政府は北方4島の返還には否定的で応じる態度はまったく見せていない。

 近年のロシアはウクライナ・クリミア半島を強制編入して領土拡張を進めている。北方4島、クリミア半島編入に国内の圧倒的な支持が背景にあることから、ロシア政府、プーチン大統領としても引くに引けない事情はある。

 (5)そうしておいてロシアの目論みは極東ロシア地域の日本との経済開発協力関係による発展にある。北方4島を「経済特区」として日本とロシアが共同開発する考えは、北方4島の日本への返還を前提とした経済協力関係としてあるべき方法論(methodology)ではある。

 北方4島返還問題へのロシアの強行姿勢に対して、最近になって訪ロした安倍首相がプーチン大統領に「新たなアプローチ」の考えを示した。
 今回訪ロにあわせて「新たなアプローチ」として安倍首相は北方領土でのロシアの居住権を容認することを提案するといわれる。

 (6)実質的な日本とロシアの北方4島共同開発構想につながるもので、ギリギリの交渉術といえる。
 日本でも外国人の長期滞在者の居住権は認められて、参政権まで認めようという動きはあり、日ロ相互にロシア島民、日本元島民の居住権を認めることは返還に向けた出発点にはなれる。

 (7)北方4島返還問題はイニシアティブを日ロどちらがとるかでは進展しないのは双方の相反する主張からあきらかで、政治的、経済的、社会的共同開発論を足がかりとした相互協力による4島一括返還論を目指すしかない。時間と根気が必要となる。

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