いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

労基法の矛盾主義。 discrepancism of the labor standard law

2016-09-12 20:09:07 | 日記
 (1)安倍首相は働き方改革としてまず率先してというか、この夏に政府機関の労働定時終了による夕活を推進しようとしたが、なかなかそうはならなかった。政府の答弁資料、野党の質問事項に対応するために政府機関は追われて、もとのもくあみに終わった。

 国会開会中は野党の質問内容がギリギリ質問前日のそれも相当遅い時間になって提出されるとかで、その政府答弁の準備、対応に追われて残業(overtime work)はあたり前といういつもの事態に質問事項を早く提出するよう要請する話まであった。

 (2)政府の足元がそういう状況の中で、政府は残業時間の規制に向けての議論を本格化させる。労基法(the labor standard law)には36条で残業や休日勤務について規定にもとづく一定の時間内で労使で協定を結んで残業時間に制限、上限を設けて実施することを認めている。

 このままの法律であればなんとかギリギリで労働者の適性な労働環境は保たれるはずだが、これに「特別条項」が付いていて「仕事量が急に増えた場合」など特別の事情で労使協定で残業時間の上限をなくすることもできるのが労基法36条だ。

 (3)実質、残業時間の制限、上限がないに等しい経営者側に添った法律だ。戦後日本は戦前の軍部によるアジア侵略占領統治による反省から平和憲法のもとに経済発展社会を目指して、戦後生まれの団塊世代の豊富な人口、人脈を活かして高度経済成長を果たして、一時はGDP世界2位の経済国になった。

 この過程ではすべてを犠牲にしてでも「働く」ことが目的であり責務の時代で、長時間労働は当たり前の社会で労働者の過労死も社会問題となっていた。
 経済活動優先のこの社会体制を支えたのが、本来労働環境を守る立場の労基法36条だった。政治家の政治資金規正法同様に名目だけのあってないような国策を推進する正当化するための法律内容を含んでいた。

 (4)現在の安倍内閣では経済活動への政治介入が公然と行われて不規則な体制となっているが(企業の賃上げ、内部留保の拠出には一定の役割もあった)、自由主義社会では他から規制されることのない自由で自主的な経済活動があるべき姿で、経済、社会のダイナミズム(dynamism)となるものだ。

 企業は利潤追求組織体であるから経営(資本)、人材、資材、商品、サービスをできるだけ効率的、効果的に機能させて高い利潤効果を生むことを目的としている。

 (5)費用負担の高い人件費では余剰人員を持たずに出来る限り切りつめて、一人当たりの労働効果を最大限に活かして働かせることで効果的な高い利潤追求につなげている。

 過労死社会をつくったのは、支えたのは、労基法36条の「特別条項」でもある。政府が経済主義優先社会でまいた種をとにもかくにもようやく働き方改革で今回見直すことになった。

 (6)企業論理、倫理、統治(corporate governance)の中にどれだけ実効性のある有効な労働者の労働環境を整備、守れるのか、守る気持ちがあるのか、政府の働き方改革が問われる。

 

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