いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

都政の統治能力。 governability in the metropolitan politics

2016-09-26 19:57:44 | 日記
 (1)築地市場の豊洲移転問題は、専門家会議が安全性を考慮して地下全面盛り土提言、受け入れのところ、都庁職員がこれを無視して勝手に空洞化計画を進めて報告もせずに予算も含めて複雑怪奇な問題が発覚し、小池知事は豊洲移転を白紙に戻して、事は都知事選同様に豊洲移転を決めた石原元知事を巻き込んでの小池知事対議会、都庁の対立構図そのままの展開を見せている。

 (2)小池知事はこの問題の解決での北朝鮮並みの都職員の粛清(報道)を行うともいわれて、「犯人探し」(criminal search)が表面化している。

 問題の原点として、構造解明のために犯人探しも必要かもしれないが、盛り土が空洞化の事実関係、それにともなう予算の使い道の適正化と豊洲移転の問題点は明らかになっているのだから、小池知事が一旦は白紙に戻した豊洲移転計画をどうするのかの本質論に早く取り組んで方針、方向性示すことの方が肝要で求められている。


 (3)まさしく沖縄の普天間飛行場の周辺住民の危険回避なのか、あくまで辺野古移設反対なのかの問題意識と同じ構造で、築地市場の継続使用なのか、従来の移転計画を見直しての豊洲移転なのか、他の代替地検討なのか問題解決の結論に向けての論議こそが早期に求められる方法論(methodology)だ。

 空洞化の事実関係が明らかになって、当時の関係部局、関連担当者の責任は誰がどうしたとかの「犯人探し」とは別に小池知事が言ったといわれる関係職員の「粛清」とはちょっとぶっそうな処分感覚でいただけないが機関部局としての全責任を問えばいいことだ。
 
 (4)築地市場の移転にともなう2020年東京五輪の関連道路建設計画も同時進行しているともいわれて、今後も白紙撤回による築地市場の使用継続はむずかしい状況にもあり、しかも豊洲市場の概要建設も進んでいると聞けば計画白紙撤回もむずかしい情勢で自ずと計画見直しへの非生産的な時間稼ぎの犯人探しに終始することになっているだけだ。

 (5)そもそも問題点の核心を見れば、石原都政の統治能力(governability in the metropolitan politics)のいいかげんさからくるものだ。聞くところによると当時の石原知事は週3回(2回という話もある)の登庁で実質都政運営は筆頭副知事(後の猪瀬知事ー政治資金管理問題で引責辞任)にまかせて、多分に都庁職員の意識の中で都知事に頼ることなく(あるいは必要性に迫られて)都庁組織独自の判断、都合を優先して都政を動かす雰囲気になっていったのではないのか。

 (6)すでに都政の統治能力は崩壊している中で、専門家会議の検討、提言を顧みることなく都庁組織、職員独自の都合のいい判断で豊洲移転計画をすり替えて進めた結果につながったと考えられる。

 小池知事が都政の統治能力を健全に取り戻すには、早く豊洲移転問題を適正計画に解決実施することだ。非生産的な犯人探しなどは関係部局責任として対応すべきことで問題の核心ではない。

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