いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

沖縄と地方自治。 okinawa and local self government

2016-09-17 19:58:52 | 日記
 (1)沖縄辺野古移設問題は国と沖縄県が全面対決して、話し合いによる解決は無理だ。唯一、解決策があるとすれば米軍が自主的に普天間飛行場を国外に移設する以外にないが、米軍にとっては北朝鮮、中国を睨んで沖縄米軍基地は重要性を増しており、近年は中東、西アジア戦略の基地化として利用価値も高く、米軍が自主的に国外に出ていくことは考えられない。

 (2)そういう沖縄基地問題事情の中で、先の福岡高裁那覇支部は国と沖縄県に和解(reconciliation)の条件を示して話し合いを求めて、一旦は国と沖縄県もこれに応じて話し合いの姿勢を見せていた。

 しかし、この司法の窮余の策はもちろん解決につながるものではなくて、時間稼ぎでしかない。その間に国による辺野古移設工事は中断されたが、今回再開に向けて国が沖縄県を相手に翁長知事が前知事の辺野古埋め立て承認を取り消したことを国の権限で是正指示したことに沖縄県が従わなかったのは違法だと訴えて、同高裁は「前知事の埋め立て承認判断に裁量の逸脱、乱用はなく知事の取り消し処分は違法」との判断、判決を示した。

 (3)この裁判長は前回の判決で国と沖縄県の和解による話し合いを求めた同一人で、訴訟要因が違うとはいえ国と沖縄県による和解、話し合いを求めながら、今度は国の一方的な利益を守る、認めるという判断のあまりの開きのある判決となった。

 厳密な司法技術、理論、規定に沿った判断からすればそうなるとしても、それなら何のための同裁判長の前回判決の和解案だったのか、論理的に整合性のない判断といえる。

 (4)判決では「取り消すべき公益上の必要が、取り消すことによる不利益に比べて明らかに優越しているとまで認められずに、承認取り消しは許されない」(判決要旨報道)として、地方自治体の権利に比べて国の立場、権利の優位性(priority)を判決全体にわたって容認したものとなった。

 国と地方自治体との権利関係は基本的にはそういうものだろうが、それでは「地方自治」(local self government)の観点、論点は成りゆかない。今回のように日米安保体制の中で、米軍基地の74%が沖縄県に集中して地位協定により沖縄県民、住民の権利、生活が極端に不平等に制約されている事情を見れば、国策に対して沖縄県、住民への不当な過重な守られべき責任転嫁回復への地方自治論も十分考慮すべきことであった。

 (5)住民投票による地方自治の原則は、国の政策、政治が偏向した利益、格差社会の中で、自分たちの生活、権利は自分たちで決める、守る傾向として広く、社会の流れとなっており、国との関係においても地方自治の原則、立場をもっと配慮されてもいいものだ。

 (6)沖縄米軍基地問題は国と沖縄県の全面対決で話し合いによる解決は見込みがなく、もはや司法の判断によるかあるいは国民投票による解決、決着しかないのが実情だ。
 その司法がせっかく国と沖縄県の和解案による話し合いを求めたのだから、同裁判長による今回の一方的な国の利益を認めた判決にも一工夫があってよかった。

 (7)沖縄は上告を決めて(報道)最高裁での審判となる。ところで、沖縄県が司法では福岡裁判所の管轄というのは、制度上の問題だからなのかよくわからない。沖縄県として沖縄裁判所があっていいのではないのか。

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