(1)政治がにっちもさっちもいかなくなった時に、どうするか。政権を野党に譲る、内閣を総辞職して首相をかえて出直す、解散して国民の判断に委ねるか、国民主権の民主主義政治の立場から国民の判断、審判に委ねるというのが正論だろうが、天皇の国事行為としての解散権(the right of dissolution)が内閣の助言と補佐にもとづくものだから、これは首相の専権事情として解釈、認識されて首相の独断で都合のいい時に解散して首相としての権力基盤を強化したり、与党を勝利に導く手法に使われることが大半だ。
追い込まれての解散は政権危機が伴うもので、首相、与党には不利に働くことが多い。
(2)今回の解散総選挙は、大義のない首相の森友、加計疑惑追求逃れの解散として野党の準備、協力が整わない中で実施されて、与党自民党の大勝となって俄然首相の専権事項としての解散権について疑問の声も多く聞かれる。
議会制民主主義先進国のヨーロッパでは首相の解散権を拘束する制度化が大勢を占めているといわれる。政権が政治に行き詰まれば野党に政権を移譲するか内閣総辞職による出直しということになる。
ともにそれまでの国民の審判、判断とは異なる選択であり、国民への負託、信頼に応えるものではないので、緊急避難対応ということになり、できるだけ早い時期に国民の審判、判断を求めることになる。
(3)解散権は首相の専権事項として認識されているが、制度上は天皇の国事行為として規定されており、首相の権限とは切り離されている。
しかし解散権が天皇の国事行為というのも、現行憲法の精神が天皇は政治に直接関わらない国民統合の象徴としての地位、立場からすればふさわしくない規定だ。
国会開催にあたって初日に天皇が出席して開会行事を行うのも、憲法の精神からはふさわしくない。
(4)解散権は政権政治に共同責任を持つ衆院与野党の国会の判断に委ねるのが適当だ。過半数の賛成では与党の都合で解散されるのが常だから、3分の2以上の賛成が必要とか憲法改正発議に近い論理が必要だろう。
それでは国会解散はおぼつかないと言ってみたって、解散そのものが非常事態なのだからよほどのことであって与野党超えての合意があって当然のものだ。
(5)一時安倍首相が憲法改正のはじまりとして、大災害時に緊急避難条項として権力を首相に一元化する改正を考えていたことがあり、現在の解散権が天皇の国事行為でありながら首相の専権事項として解釈、認識されているのと同じ論理で権力独占化を目指すもので、三権分立、民主主義政治の理念、論理に反する権力構造だ。
現在の政治構造は、与党自民党にかわる受け皿のない野党の「ていたらく」がまず原因であり、その与党自民党内も競争原理が働かないことが政治の停滞、低迷、不活性化の要因となっている。
(6)解散権の制度上の見直しはもちろん必要だが、国民の意思が直接反映する、機能する緊張した政治、国会状況を首相も勝手なことができないと政治の側からつくりだすことが求められている。
追い込まれての解散は政権危機が伴うもので、首相、与党には不利に働くことが多い。
(2)今回の解散総選挙は、大義のない首相の森友、加計疑惑追求逃れの解散として野党の準備、協力が整わない中で実施されて、与党自民党の大勝となって俄然首相の専権事項としての解散権について疑問の声も多く聞かれる。
議会制民主主義先進国のヨーロッパでは首相の解散権を拘束する制度化が大勢を占めているといわれる。政権が政治に行き詰まれば野党に政権を移譲するか内閣総辞職による出直しということになる。
ともにそれまでの国民の審判、判断とは異なる選択であり、国民への負託、信頼に応えるものではないので、緊急避難対応ということになり、できるだけ早い時期に国民の審判、判断を求めることになる。
(3)解散権は首相の専権事項として認識されているが、制度上は天皇の国事行為として規定されており、首相の権限とは切り離されている。
しかし解散権が天皇の国事行為というのも、現行憲法の精神が天皇は政治に直接関わらない国民統合の象徴としての地位、立場からすればふさわしくない規定だ。
国会開催にあたって初日に天皇が出席して開会行事を行うのも、憲法の精神からはふさわしくない。
(4)解散権は政権政治に共同責任を持つ衆院与野党の国会の判断に委ねるのが適当だ。過半数の賛成では与党の都合で解散されるのが常だから、3分の2以上の賛成が必要とか憲法改正発議に近い論理が必要だろう。
それでは国会解散はおぼつかないと言ってみたって、解散そのものが非常事態なのだからよほどのことであって与野党超えての合意があって当然のものだ。
(5)一時安倍首相が憲法改正のはじまりとして、大災害時に緊急避難条項として権力を首相に一元化する改正を考えていたことがあり、現在の解散権が天皇の国事行為でありながら首相の専権事項として解釈、認識されているのと同じ論理で権力独占化を目指すもので、三権分立、民主主義政治の理念、論理に反する権力構造だ。
現在の政治構造は、与党自民党にかわる受け皿のない野党の「ていたらく」がまず原因であり、その与党自民党内も競争原理が働かないことが政治の停滞、低迷、不活性化の要因となっている。
(6)解散権の制度上の見直しはもちろん必要だが、国民の意思が直接反映する、機能する緊張した政治、国会状況を首相も勝手なことができないと政治の側からつくりだすことが求められている。