いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

骨休めの経済。 relaxative economy

2022-06-03 20:23:42 | 日記
 (1)岸田首相は掲げる「新しい資本主義」の概要を夏までに提示するとしていたが、政府の経済財政運営の指針となる「骨太の方針」に示された新しい資本主義の実行計画案はアベノミクス三本の矢「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」がそのまま盛り込まれて、積極的財政出動、投資による成長重視(報道)を目指すものとなった。

 (2)これでは「骨休めの経済」(relaxative economy)だ。安倍元首相は市場に従来の2倍のカネを供給する大胆な金融政策で円安株高効果を生んで輸出産業、大企業、富裕層に利益、賃上げの恩恵は出たが、輸入価格の高騰で効果は帳消しになり国民生活には効果は及ばない経済格差社会を生んだ。

 (3)岸田首相は成長と分配の好循環を掲げて中間層利益を厚くする理念、方針を掲げて経済格差社会解消を目指すとしたが、昨年からの世界的な原油高騰に今年に入ってのウクライナ戦争、コロナの影響から今年4月からの食料品、エネルギー、交通運賃まで軒並み一斉の値上ラッシュが続き、当初ガソリン値上げによる流通価格の高騰が物価値上げを押し上げているとして政府はガソリン元売りへの補助金を出してガソリン価格の安定に努めたが、その効果は最近になってあらわれ始めているが流通価格の高騰が物価を押し上げるという政府の見通しと違って、物価値上げはおさまる気配はない。

 (4)市場は20年ぶりの急激な円安ドル高で輸入価格を押し上げて国民生活を圧迫しており、賃上げも輸出産業、大企業では2%強と効果はみられるが産業構造の大半を占める中小企業には及ばなくて、政府の骨太の方針では岸田首相の「分配論」(distribution)は影をひそめて投資、積極的財政出動の「成長論」(growth)重視が色濃いものとなった。

 (5)夏の参院選を控えての軒並みの物価値上げが続く中で岸田首相は対策に苦慮しているとみられて、同じ円安効果での安倍元政権の成長路線のアベノミクス回帰とみられる。安倍元首相は防衛費GDP2%相当の増額を求めており、財源を国債発行で賄(まかな)えばいいとしている。

 安倍元首相は政策財源の裏付けとなる国債を大量に買い入れる日銀を政府の子会社だと発言して、日銀が国債を買い入れているうちは問題はないという国の借金を次世代に先送りし、国際的な財政規律を無視した乱暴な発言もみられる。

 (6)しかし国の借金は1000兆円を超えてこのまま何もしなければ50年には借金2500兆円(GDPの3倍以上)を超える試算もある。世界的に類のない借金大国であり、少子化で国民投資(税負担)は減少し、有効な資源の乏しい日本にとってはかってのような経済成長は見込めずに財政健全化、財政規律の実現が課題だ。

 (7)収入に見合った生活なのか、生活に見合った収入なのか、国民生活の理念、思想が問われる。

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