(1)今国会は議場審議では波風も立たなかったが、番外編で議員の資質が問われるあきれた事例が目についた。かっては与党自民党の最大派閥細田派(現安倍派)を率いた細田衆院議長に降ってわいた深夜に女性記者を自宅に呼ぶ電話をしたといわれる問題に、同じ与党自民党の総裁、首相岸田派の吉川赳議員が18才の女子学生に飲酒させ、ホテルで過ごして4万円を手渡したという売春まがいの仕業だ。
(2)細田議長は事実関係を否定しているが吉川議員は離党して姿を隠し、ともに政治家として致命的な悪行にして説明責任を果さずに、新聞社説は「身内の不祥にけじめをつけずに責任逃れを続けるような姿勢は『参院選で問われる』ことになる」(『』は本ブログ注)と書く。
(3)その今夏の参院選で『問う』 国民(有権者)はどうかといえば、そんな与党岸田内閣支持率が直近で59%と同内閣の最高を記録して防衛力強化、防衛費増額にも理解を示している。
近年の国民は小市民的国民意識(the petite bourgeoisie)が主流であり、自分の生活、身分、立場さえよければ問題はないという偏向した(bias)考え方で日銀黒田総裁にも国民は物価値上げを許容している発言が出て、さすがに批判を受けて発言撤回に追い込まれたが小市民的国民意識の足元を見透かされた発言だった。
(4)メディアは政治、政権、政治家には厳しい目(それでも詰めはまだ甘い)を向けるが、それを選ぶ『問う』国民(有権者)には厳しい見方、声を聞いたことがない。かたや国民(有権者)の審判を受けて国民の負託のもとに責任をもって政治活動を行う限られた政治家であり、かたや国民18才以上はよほどのことがない限り誰もが有権者となり投票権を持つ自由意思集合体であることが政治、政権、政治家よりは国民(有権者)への比較厳しい目(severe eyes)が向けられない理由だ。
(5)しかし「おかしな」議員、政治を選択して支持するのも国民(有権者)であり、国民の「不思議」なよくわからない内閣支持率もあり、メディアはもっと国民(有権者)に対して選挙で国民(有権者)が『問う』ことを期待しているのなら、厳しい目、叱咤激励の「温かい」目を向けなければならないだろう。