(1)岸田首相が参院選中の26~30日ドイツでのG7サミット、スペインでのNATO首脳会議に出席する。NATO会議はわからないがG7サミットは参院選前に日程が決まっており、それを外しての参院選日程を組むことも考えられた。
G7サミットは日本にとっても自由主義、民主主義陣営の結束を示して世界をリードする重要会議であり、来年は広島で開催することが決まっており今回仮に欠席することはイメージダウンにつながり、発言力も減少する影響は十分考えられる。
(2)それを承知で政府、与党は参院選の日程を決めたが、表向きはG7サミット国のステータス、首脳外交をアピールすることが選挙にも有利に働くと考えた(報道)ということだが、やはり自民党総裁が選挙応援を離れるというのは選挙にかける強い思いが不足してマイナスであり、これが仮に衆院選だったらどうだったのか、参院選への思い入れが衆院選とは違うとみられても仕方がない。
(3)参院選の情勢分析は自公与党で改選の過半数が視野に入り、改憲勢力(自公維国)で3分の2以上が可能とみられており、そういった選挙分析に裏付けられての岸田首相の参院選中のドイツG7など首脳会議出席といわれる。
今年発足した経済界、労働組合、有識者などによる「令和臨調」では2院制についても協議するとしているが、今回の参院選中の岸田首相のG7など首脳会議出席は参院の存在を低下させることにもなりそうだ。
(4)しかし、近年の選挙では参院選が比重を高めて政府のおごり、高圧姿勢に対して国民が反動の揺り戻しで与党にお仕置きの野党に勝たせる傾向もあり、直近の世論調査でも今回の参院選で野党の議席が増えることを期待する声が与党を上回っており、参院選中の岸田首相の外国訪問がどういう評価、影響を与えるのかは興味はある。
(5)国会では衆院同様に参院も与党勢力が過半数で政治に緊張を欠いているといわれて、一部には「1院制」も聞かれる。1院制となって与党が3分の2以上の議席を占めるとなれば実質政権の独裁決定機関となって、権威主義、専制国家と同じ構図になる。
自由主義、民主主義体制は崩壊して、自由な論議、比較政策、多様で多岐、少数意見は見捨てられて硬直した視野の狭い政治構図でパラドックス(paradox)として国民社会との遊離は埋めがたいものとなるだろう。
(6)岸田首相としてはかって外相としての経歴、強味を生かして首脳外交の存在感で選挙にもいい成果を伝えたいところだろうが、少々軽く見られたような国民の選ぶ権利の参院選への思いはどう結果をだすのか注目だ。