(1)歌舞伎俳優の市川海老蔵さんが何かの企画でスカイツリーの頂上に備えられた舞台から流派として代々受け継がれる「にらみ」を利かせた。天空から「にらみ」を利かせられるのも遠慮したいが、近年「目力」(eye power)のある人物が少なくなった。
(2)国民全体像などわからないが、まず政治家、歴代首相でかっての首相は「目力」があった(必ずしも結果、業績に結びつくものではないが)。池田勇人、大平正芳、田中角栄、宮澤喜一ここから少々軟派するがそれでも小泉純一郎もここぞという時の信念、決意、確信のみられる「目力」はあった。
(3)当時小泉首相は拉致問題で北朝鮮に日本首相として乗り込んで当時の金正日総書記と向かい合い日本人拉致が北朝鮮の行為(政府としては関与していないと言及)だと認めさせて、その年に日本人拉致被害者5人の帰国につながった。
これが拉致問題の解決にどういう意味があったのかは議論のあるところで、北朝鮮にこれで日本人拉致問題は解決したとの口実を与える結果となったとみられることもある。
(4)この時小泉首相に同行して北朝鮮に乗り込んだのが、当時の安倍自民党役員で後の安倍首相だ。首相に「目力」が見られなくなったのは自民党長期政権末期の首相が1年で交代することが続いて、世界から日本政治の信頼性が批判された時からだ。
(5)もちろん「目力」だけがいい、あればいいというものでもなく、それにだまされることも政治の世界では経験してきているが、目はモノを言うともいわれて意志の強さ、信念、決意、確信が伝わってくるものだ。
(6)参院選が公示されて7月10日投開票に向けて選挙戦に入る。国民としては「目力」のある候補者の理念、政策、信条、思想をよく聞き分けて、国、国民、社会に貢献できる、時代を切り開くことができる政治家を多く国会に送り出さなければならない。
(7)近年は民主主義の後退がいわれて、保守思想、極右勢力、権威主義、専制国家の台頭が著しい。個人崇拝で理念、政策、方針が国家統治にすぐに結びつく意見総意のプロセスを無視した結果主義で偏向した(bias)利益主義だ。
やはりこういう時代、世界では天空からの「にらみ」は必要で、やむを得ないところもある。
(8)ウクライナ戦争で世界は再び米ソ冷戦時代に逆戻りの道をたどり、米、EU、日など自由主義、民主主義国家群と権威主義、専制国家の中、露対立時代を現実のものとしている。
日本としてもその中核群として防衛、経済で課題に直面しており、広い、大きな視野、理念、理想を持った多くの政治家が必要だ。