(1)露によるウクライナ軍事侵攻も3か月に及び、新聞1面からの報道もほとんどみかけなくなった。露の当初の侵攻計画がどういうものだったのかはわからないが、首都キーウを包囲したものの抵抗にあってキーウには侵攻せずに親露派勢力の多い東部地域に戦力を集結してマリウポリなど東部要衝を押さえて、米、欧、日などの露産原油禁輸など露への経済、金融制裁強化に対抗して露は制圧した黒海港湾からのウクライナ穀物など輸送を封鎖して「経済戦争」の様相さえみせている。
(2)戦争は始めるのは簡単だが、終えるのはむずかしいとよくいわれて、これに戦争は長引けば一体何のために始めたのか、戦争をやっているのか戦争の目的、意図もわからなくなり、戦争のための戦争(the war to make war)に陥ると書いた。
(3)NATOが一時露との話し合いでNATO拡大を進めないと約束したといわれて、それでも旧ソ連領の東欧国の加盟を受け入れてNATO勢力を拡大して、これにプーチン大統領が強く反発してNATO加盟を表明している隣国ウクライナを軍事侵攻したといわれているが、ゼレンスキー大統領は停戦協定の話し合いがまだ行われている時にNATO加盟にこだわらない中立姿勢を示しており、露のウクライナ軍事侵攻の当初の目的は達成したようにみえて、しかし露軍は軍事侵攻の手を緩めずにアパート、学校、病院など市民インフラへの無差別攻撃を続けて、多数の犠牲者を出している。
(4)もはやプーチン大統領はNATOに対抗する領土拡大を目指している、いわれるようにかっての大ソ連邦復活を目指しているような侵略思想にしかみえない。露のウクライナ軍事侵攻を受けて中立的立場にあったスウェーデン、フィンランドもNATO加盟を表明して手続きを申請した。
プーチン大統領が主張するNATO勢力拡大を非難して、阻止するためのウクライナ軍事侵攻のはずがパラドックス(paradox)としてNATO加盟をさらに促進している思惑違いの矛盾した結末の露のウクライナ戦争に転化していっている。
(5)露のウクライナ軍事侵攻は当初の目的、意図と違って米、EU、日など西側諸国と露の経済戦争に姿を変えてきており、それでも米、EUはウクライナへの軍事兵器支援を強化して露の軍事侵攻に対抗しているが、東部地域では露軍の70km先からのミサイル攻撃にウクライナ軍の兵器が対応できずに苦戦を強いられているといわれる。
(6)一時ウクライナ軍がドローン(drone)を使って国境近くの露国内施設を攻撃したといわれてこれに露側が避難、反発していると報道されて、露とウクライナが戦争状態で戦場はウクライナ国内だけというのも不思議な戦争だ。
裏付けるようにバイデン大統領はウクライナへの軍事兵器支援で「ロシア(領)を攻撃できるロケット(砲)システムは送らない」(報道)と述べて、戦争拡大を防ぐ意味からはわかるが戦争は対峙する国同士の主権、国民を守る国家存立の本質的問題であり、もはやどこまでが認められてどこまでが許されないというような善悪の話ではない。
(7)「戦争」そのものが「犯罪」であり、やってはならないが、まして「ゲーム」のような戦争はそもそもあってはならない。