(1)時代は変わった。何十年の想いを経ての歴史の時代は変わった。NTTがテレワークを推進、活用して「自宅やサテライト、オフィスでの勤務を基本」として国内ならどこでも居住でき、出社のためなら飛行機などの交通費に上限はなく宿泊費も出すという国会議員並みの優遇待遇を目指す。
(2)働き方改革により優秀な人材確保が目的だ。実は何十年前にも同じような試行錯誤した企業があった。本ブログでも紹介したが、戦後の高度経済成長時代に従業員、労働力は企業の歯車として消耗活用されていた時代に、1年間出社しなくて自宅なりどこにいて何をしてもいいが、企業利益、発展、成長につながる提案、開発を考え、提出することが労働使命といわれた。
(3)当時としては画期的な働き方改革(そういう言葉もなかった)であったが、ほどなくして話題は立ち消えになり「成果」は聞かれなくなった。いわれたのは労働成果使命を受けた従業員の日常的な「ストレス」、今と違って情報収集、活用にも手間がかかる時代で自分の能力だけを信じて画期的な新提案、開発をつくり出さなければならない労働ストレスは測り知れないものがあったのは想像に難くない。
(4)そういう意味での時代は変わった。当時の取り組みは失敗に終わった。ノーベル賞級科学者も失敗に失敗を重ねてそれでも理論を追究して共同研究者と議論、追究を重ねての結果(偶然の行為といわれることもある)としての画期的な研究成果に結びつくといわれて、これが限られた時間の中でのひとりでの成果、業績を求められればどうかだ。
(5)NTTのいたれりつくせりのテレワークは3万人が対象といわれて、順次拡大する方針だ。前出の1年間出社に及ばずに成果、業績が求められた時代と違って、PC、IT技術を使って世界どことでも情報取集、交換、技術管理が可能な時代でかっての「労働ストレス」は変化しているが、パラドックス(paradox)として企業力としての「一体感」、「連携力」、「共同性」はどうなるのか問題はある。
(6)どこかがそれらを集積して企業成果として積み上げるということになれば従業員は情報、技術、商品、開発、提供の「個人事業主」と同じで企業力の成長、発展、拡大につながるのか、IT時代で知的財産権、情報管理、活用のむずかしさでせっかくの働き方改革の取り組みが再び成果として結集しないということのないように、歴史を繰り返してはならない。