いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

ノーベル文学賞の意義。 a significance of nobel prize in literature

2015-10-10 20:05:53 | 日記
 (1)今年のノーベル文学賞にはベラルーシの作家アレクシエービッチさんに授与された。「チェルノブイリの祈り」など日本にも関心の深い原発事故や戦史をテーマにして「ロシア革命からつながる共産主義という大きな実験を総括した」(沼野東京外大教授談)ことの文学的評価も高く、授賞意図が理解できるものであった。

 ノーベル賞はダイナマイトを開発した科学者ノーベルの業績、資産、意思を受け継いで自然科学研究分野の画期的な研究業績の授与から始まって、文学賞、平和賞というと近年は政治的な意味合い、思惑も感じられる授賞決定がみられて、対象となった中国政府による人権拘束中の中国作家の中には中国政府が授賞を拒否する事態も引き起こしている。

 さして当時実績のないオバマ大統領がプラハで「核兵器のない世界」宣言をしてノーベル平和賞を受賞して、その後の世界の政治情勢にこの精神性がいかされずに批判を受けたこともあった。

 (2)ノーベル賞は「与えられる」ものなのか、「取る」ものなのか、先端的高度な学問学術研究業績と人気、名声、あこがれ、支持の強い分野との関心、興味はつきないが、文学賞では近年いつも授賞候補の話題にのぼる村上春樹さんは今年の授賞もならなかった。

 日本人作家としては外国翻訳出版が格段に多くて、海外での人気、愛読も高く、本人は海外生活も多く経験して国際文学人としての評価は高い。
 村上春樹さんがすぐれた人気作家であることには変わりがないが、村上春樹さんがノーベル賞に対してどういう感慨(deep emotion)を持っているのか知りたいところだ。

 (3)近年、村上春樹さんのノーベル文学賞授賞機運の高まりを受けて、この時期の愛読者いわゆるハルキストと呼ばれる人たちの村上さんのノーベル文学賞授賞期待の過熱ぶり(報道ニュース)にはさすがに違和感はある。

 愛読者、ハルキストがどう騒ごうが知ったことではないが、これを毎年報道するメディアのノーベル賞興味本位姿勢には少々うんざりさせられるところだ。
 報道されるので見聞きすることではあるが、村上春樹さんの「聖地」(報道)渋谷の神社、喫茶店に集まったハルキストたちがクラッカーを打ち鳴らしてのサッカー、ラグビーW杯試合観戦並みの興奮(かってはフィーバーと呼んでいたが)状態で、今年も授賞を逃したことを残念がっている。

 (4)村上さん自身が仮にこれを見れば戸惑うようなノーベル賞の意義(a significance of nobel prize in literature)だろう。もはやまるでノーベル賞を「もらって」当然のようなハルキストたちの行動には考えさせられるところだ。

 今年のノーベル賞は初日発表の生理学医学賞授賞の大村智さんも日本人が続いた翌日発表の物理学賞授賞の梶田隆章さんも、もっと早く授賞してもおかしくない研究業績、社会貢献があったとも言われてようやく高い研究業績に「与えられた」ノーベル賞であった。

 (5)近年はノーベル賞評価も20~30年の研究業績検証の期間を見る傾向が指摘されて、12年の山中伸弥さんのiPS細胞作製に対する生理学医学賞の授賞は異例の早さでもあった。それだけ人類にとって画期的な意義が高く評価された研究ということだ。

 村上春樹さんは最近はメディアへの登場も多くなり、社会的発言も積極的に行っており、その小説、発言集にじっくりと目と耳を傾けながら、ただひたすら「与えられる」ことを待つことでいかがでしょうか。

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政治ニヒリズム。 political nihilism

2015-10-09 19:56:00 | 日記
 (1)安保法制案を衆参両院で強行採決してその悪いイメージのおはらいなのか、10月に入って安倍首相が内閣改造に踏み切った。前回安倍2次改造内閣ではあらたに就任した女性閣僚などの政治資金がらみの不正疑惑が相次いで発覚して内閣支持率を低下させた反省からか、骨格をかえない方針で主要9閣僚を留任させた。

 それはそれで安倍政治批判の強行採決の悪いイメージをも引き継いだ変わりばえのしない改造内閣ということで、直近の世論調査では「評価しない」が47%で「評価する」39%を大きく上回る結果となった。

 (2)安倍首相は今回の3次改造内閣で「新三本の矢」(強い経済・子育て支援・社会保障)で再び経済最優先の方針を示したが、これまでの「三本の矢」と政策内容的には変わりばえのしないものだったが、同世論調査では「三本の矢」を57%が評価しない(同評価する30%)としながら「新三本の矢」には50%が期待するとして、期待しない45%をわずかに上回った。

 安保法制案の国会審議、強行採決の悪いイメージはほとぼりが冷めたか、安倍内閣の経済政策への期待感が依然強いことを伺わせる小市民的国民(the petite bourgeoisie)意識は変わらない。

 (3)安保法制案の強行採決以後、一時30%前半台まで急落した安倍内閣支持率が「じわり」と上昇に転じて、今回の内閣改造を受けた同世論調査では39%と回復した。

 安倍首相の経済政策への期待はある(同世論調査50%)のだろうが、これまでの「三本の矢」には失望(同評価しない57%)しているのだから、要するに安倍内閣の支持率が上昇に転じているのは安保法制案国会審議を通して憲法学者、国民の多くの違憲判断による反対運動をいかしきれずに野党が存在感を示せずに、その弱小野党は程度の低い主導権争いをくり返して、安倍内閣以外に他にまかせれる政治勢力がないという消極的(negative)選択、支持ということにつきるだろう。

 (4)橋下市長を中心に立ち上げた「おおさか維新の会」に期待せずに(同52%)、派閥を結成して首相を目指すとした自民党石破さんに期待しない(同48%)という数字に国民の失望意思、一種の政治ニヒリティ(political nihility-虚無感)を生んでいる。

 政治思想としては危険な兆候であり、それは安倍首相が歴史的結果を事例にして国民の意思、判断(世論)を問題にしないとした考えにつながる民主主義政治の破壊、政治ニヒリティに通じるものだ。

 (5)日本の政治をどう立て直すのかは、はからずも今回大筋合意を得たといわれるTPP交渉結果が日本経済に及ぼす功罪効果の国会審議からになるだろう。
 米国ではヒラリー・クリントン次期大統領選民主党候補がすでに反対表明をして議会承認がどうなるのか、日本も来年予算成立後の国会審議を予定している。

 農業の自立性、グローバル経済への進出が国民的合意で推進できるのか、政治を国民に取り戻せれるのか正念場だ。そして来年夏の参院選だ。

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機長まかせの空の安全。 leave a safety of the sky to a chief pilot

2015-10-08 19:35:18 | 日記
 (1)航空機に搭乗する時は燃料を補給したり足回りを点検する整備士を見かけて、出発に際してはていねいに1列に並んで手を振って見送ってくれるのがいつも見かける光景だ。

 航空機は乗りものの中で安全性の比較高いもので、自動車に比べれば事故率も極めて低いが一度事故に見舞われれば被害は大きいから、安全対策は重要だ。
 出発前の整備士による点検はルーティン業務(routine)かと思っていたら、航空法では機長による点検実施のみが義務づけ(報道)られているだけで、内容も機体の周りを歩き異常がないかを目視でチェックする(同)程度のものだ。

 (2)これまでの整備士による出発前点検は航空会社の安全理念、安全サービスということだったが、それでも飛行中に油漏れとか車輪が正常に作動しないとかの緊急事故は起きる。
 これまでも航空法にもとづいて格安航空会社(LCC)では機長の事前点検のみですませており、一方日航、全日空など大手航空会社では冒頭のように整備士による出発前点検を実施してきた。

 LCCなどの機長による事前点検は航空法にもとづくものでコンプライアンス(compliance)に問題はないが整備士の事前点検でも不備事故は起きており、経費節減を安全飛行点検と引き換えに実施しているとなると、LCCのその理念は大丈夫なのかと考えさせられる。

 (3)航空大手の全日空も今後は整備士の配置をやめることを検討(報道)している。理由は「整備士による点検が機体メーカーのマニュアルで求められていない」(同)ことだ。
 たしかに整備士点検といえども「目視」によるもので実効性が十分かといえば、それでも不備事故が起きていることを見ればその程度のもので、出発前点検だけをみれば航空法にもとづいて機長のルーティンとして実施しても大差はないということになる。
 
 そんな理由でこれまでの整備士の出発前点検を突如廃止して機長だけの点検にするのでは、これまでの長年の整備士による事前点検は何だったのかという航空安全の基本理念の問題になる。

 (4)これを管轄する国交省は「メーカーがマニュアルで認めている以上、結果的に安全が確保されているなら問題ない。各航空会社の判断になる」(報道)と主体性のない人ごとのようでは、空の安全は本当に守られるのか、大丈夫なのかという疑念がある。

 航空会社が整備士を減らして(なり手が少ない事情など)経営合理化、効率化を進めるというならまだしも、しかしそれはそれで空の安全確保を経営合理化、整備士育成困難などで引き換えるという航空会社にとってあってはならない論理、理念となるもので、言い出せない話だ。

 (5)長年整備士による出発前点検を実施してきて、ここにきての突如とした航空法の基準を持ち出しての機長のみの事前点検に切り替えるなどとは、説得力のある理由にはならないものだ。

 日航では11年に一部の機種で整備士を外すことを検討したが、機長が不具合を見つけても整備士の呼び出しに時間がかかり出発が遅れる(報道)ことも考えられて見送った事例もある。

 (6)空の安全に責任を持つ国交省が航空会社まかせなのは論外だが、比較安全性の高い乗りものの航空機も一度事故を起こすと大惨事を招くだけに、航空法にもとづくだけでないこれまでの安全整備体制サービスを維持し、むしろさらに強化することによって利用者の信頼を確保、保障することが健全な航空安全理念であり肝要だ。

 今の突如とした出発前点検の整備士外しは、その空の「間違っても安全(fail safe)」に逆行するものだ。

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研究力日本の系譜。 a genealogy of study power of japan

2015-10-07 19:57:03 | 日記
 (1)人類は「どこ」からやってきて「どこ」へ行くのか永遠のテーマだ。夢物語のようにみえて、地球に住む全人類にとっては無関心ではいられない生命存続、持続可能性(sustainability)にかかわる重要テーマでもある。

 その気の遠くなるような解明研究に取り組んでいる日本の素粒子物理学の梶田隆章さんが今年のノーベル物理学賞を授賞した。

 (2)昨日のノーベル医学生理学賞を授賞した大村智さんは、土の微生物から抗生物質を取り出して(極めて高度で繊細な技術能力が必要といわれているー報道)寄生虫感染症の薬を開発し、毎年3億人のアフリカなどの感染症に苦しむ人を救っている(報道)研究が評価され、また昨年のノーベル物理学賞授賞の赤崎勇、天野浩、中村修二さんは21世紀中には不可能といわれた青色発光ダイオード(LED)をつくりだし商品化して、光反射に影響しない鮮明な信号機などに広く使われて省エネ効果も高く次世代社会を変える研究が評価されたが、今回の梶田さんの研究は基礎研究分野であり、本人が授賞会見で述べたように「すぐ人の役に立つものではない」が人類の壮大な夢見る宇宙ロマンの成り立ち解明と、人類はどこから来てどこへ行くのかの本来的命題に取り組む重要な深層研究であり、人類の生命の行き先につながる関心と興味のつきない研究でもある。

 (3)宇宙から地球にたえず大量に降り注ぐニュートリノはそのまま物質、物体、地球を通り抜けて質量がないのではないのか(物理学標準理論)と思われてきたが、世界で初めてニュートリノに「質量」(重さ)のあることを実証して論文発表して「現代物理学の基礎となる『標準理論』を覆し」(報道)た画期的な研究成果が高く評価されての今回の梶田さんのノーベル物理学賞の授賞であった。

 (4)ニュートリノ研究は岐阜県飛騨の東大宇宙線研究所スーパーカミオカンデ研究施設が「世界で最も高い精度を誇る観測装置」(報道)といわれて、小柴昌俊さんがここで世界ではじめてニュートリノをキャッチして02年にノーベル物理学を授賞して以来、そのもとで戸塚洋二さん(08年死去)の国際プロジェクトが研究を引き継ぎ、同プロジェクトチームで研究、論文発表に中心的な役割を果たした梶田さんへと確実に着実に研究体制が引き継がれての今回の梶田さんのノーベル物理学賞の授賞評価となった。

 (5)素粒子物理学は日本の代表研究分野でその中でもニュートリノ研究は「日本のお家芸」(報道)といわれて、小柴さん、戸塚さん、梶田さんと着実に切れ目なく高い研究開発が受け継がれてきたところが日本の力強い高い学術研究能力の可能性(potentiality)、持続性、期待を世界に示したことがすばらしいことだった。

 この先端的科学研究開発分野での力強い継続性、持続性、系譜(genealogy)こそが日本の高い潜在能力だと実感させられた。

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日替わり打線と野球賭博。 change the batting order day by day & gambling of baseball games

2015-10-06 19:51:24 | 日記
 (1)今年のプロ野球セ・リーグはまれにみる低レベルでの混戦で、昨年最下位のヤクルト・スワローズが勝率0.539(76勝65敗)で優勝した。パ・リーグ優勝チームのソフトバンク・ホークスが勝率0.647(90勝49敗)だから次元の違う低レベルの低レベルのセ・リーグといえる。

 セ・パ両リーグの交流戦でことごとくセ・リーグのチームがパ・リーグのチームに大きく負け越す結果となって、セ・リーグ低レベルでの混戦を演出した。
 終盤になっても首位から1.5ゲーム差に5チームが混在するような異常な事態を招いていたこともある。

 (2)昨年までセ・リーグ3連覇を果たしてきた巨人の不振が大きい。昨年はセ・パ交流戦でセ・リーグチームとして「ひとり勝ち」して交流戦優勝してペナントレースも圧倒した。

 今年は投手防御率はそこそこでもこれまでの看板の打力、チーム打率がセ・リーグ最下位で連敗も多く、混戦を抜け出せずにヤクルトに後塵を拝した。
 チームの打順が固定せずに日替わりオーダー(change the batting order day by day)がペナントレースを通して続いた。

 (3)打てないから打順をひんぱんに替えるのか、ひんぱんに替えるから打てなくなるのか真偽のほどはわからないが、これまでのプロ野球の年間の長いペナントレースでは少々の不調、スランプ(slump)はつきもので、もともと素質、力のある打者はあまり打順を替えずにガマンして使って復調を待ち打線としての役割、「つながり」、機能性を重視するというのがプロ野球の鉄則であったが、今年の巨人の打線、打順はおもしろいように日替わりオーダーで戦っていた。

 (4)4番を打った打者が翌日は下位の8番を打ったり、オーダーから消えたりして、また中軸打者をずっと下位で使うなど「つながり」、機能性に疑問の多い選択だった。
 巨人原監督の意図、意思、チーム編成方針がよくわからない今年の巨人の年間を通したペナントレースの戦いだった。

 原監督が選手をプロだから(打順の)どこを打とうが持っている能力のすべてをそこで発揮すればいいことと、打順日替わりオーダーを組んだのか、これまでのように「つながり」の野球を古い方式として一歩踏みだして、どこを誰が打とうがプロの実力を発揮してアピールするのがプロ野球の実力、能力、魅力だと考えたのか、4番を打った打者が翌日は8番で打つというこれまでの論理では考えられない打順編成がよく見られた。

 (5)少々打てないから打順編成を替えた程度のレベルのものでない、次元の違う打線オーダーの日々大きな移動変更だった。
 さすがにプロといえどもこれでは打線の役割が機能しないだろうと思っていたら、そのとおりペナントレース最後まで「つながり」のない機能しないセ・リーグ最下位の打率、貧打線となって、低レベルのセ・リーグペナントレースでも最後の最後に1位ヤクルトを逆転できなかった。

 (6)原監督は巨人にこれまでと違う「大人」、「プロ」の意識、期待をしたのか、植えつけようとしたのか、たしかに打線は総じて不調ではあったが、打てないから日替わり打線にしたのか日替わり打線のせいで打てなくなったのかどちらの影響なのか、これまでのプロ野球の鉄則を無視した異次元の日替わりオーダーとなった意図、意思はまだよくわからない。

 (7)プロ野球はこれからはクライマックスシリーズを迎える。昨年まで3連覇の今年2位の巨人は調整がうまくいけばヤクルトにとっても脅威となる本来の戦力はある。
 原監督の「頭の中」がどう整理されて戦うのか、ペナントレースの日替わりオーダーの真意がすけて見えるかだ。
 
 (8)そこに降ってわいた巨人選手(2軍投手)の野球賭博(gambling of baseball games)疑惑だ。巨人のチームとしての監理(supervise)不足が、戦略矛盾が最後の最後になって悪い形で露呈したのではないのか。

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