いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

執行できない死刑判決。 a death decision was not excuted

2015-10-05 19:34:51 | 日記
 (1)もちろん部外者にとっては事件の真相、真実はわかりようもないが、1審で無罪(64年)となり、2審控訴で逆転死刑(69年)の判決、最高裁で上告を棄却し死刑が確定(72年)して(報道)、2審死刑判決から46年、最高裁での死刑確定から43年もたって法務大臣が死刑を執行してこなかったのは、その間弁護側が9次の再審請求を申し立ててきたからだ。
 再審請求中、係争中の裁判の判決執行などできないからだ。

 (2)三重県名張市での毒ぶどう酒事件で実行犯として逮捕され、冒頭のような経緯で43年前に死刑が確定し9次にわたる再審請求中の奥西死刑囚が拘置43年中に89才で死亡(報道)した。

 まだ「自白」が有力証拠の司法時代で、奥西死刑囚は当初は事件を自供したとして逮捕されたが起訴前に否認に転じて(報道)のその後の紆余曲折のあとの死刑確定判決だった。

 (3)一時高裁が再審開始を決定したが検察側の異議申し立てで取り消し、上告最高裁が審理不十分として差し戻し、これに再び高裁が再審を取り消し72年に最高裁で死刑が確定するという司法判断として非常に複雑な裁判経緯を辿(たど)った事件であった。

 物的証拠よりも自白が重要視された司法歴史の汚点時代であったが、これほど司法判断、判決が大きく揺れた事件もめずらしい。

 (4)同時代の死刑確定判決でえん罪が相次いだ中でも、毒ぶどう酒事件は8次にわたって再審請求が退けられてその都度の再審請求で9次の再審請求中という異常審理請求、事態を招いていた。

 部外者、シロウトの目には54年前の事件について、物的証拠よりは自白偏重の中で事件に使われたブドウ酒の栓の歯型がどうのとか、当時奥西被告の家にあった薬物と使われた薬物の科学的検証がどうのと言われても、今の時点で真相、真実などわかりようもないと思うし、当時の事件のえん罪が相次いだことと合わせると当時の自白偏重の捜査手法が真相、真実解明を闇の中にしたのだ。

 (5)現在の物的証拠主義、科学的捜査手法時代から見ると、自白偏重の判決が左右に大きく分かれて漂流し54年もの間何度も何度も再審請求、棄却がくり返されてきた死刑判決に、被害者、家族側と死刑囚側にそれぞれの言い分はあっても法相は執行許可など出せるはずもない。

 (6)判決を執行できない死刑判決(a death decision was not excuted)とは、どういう意味、意義があるのか考えさせられる。

 人が人を裁く不条理(unreasonableness)とはいえ、まさか死刑囚の自然発生的最期(a natural death)を待つだけのようなことでは、社会正義のパラダイム(paradigm)としての司法の責任と義務の放棄でしかない。

 (7)もっと早くではあるが、今となってもいい、司法の責任で判決を執行できない死刑判決の意味、意義について明確で賢明な結論を導き出す必要があった。

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1億総活躍社会。 active society of all of one hundred millions people

2015-10-04 19:51:13 | 日記
 (1)安倍首相が「強い経済」、「子育て支援」、「社会保障」の新三本の矢を掲げて経済最優先でこれからの政権運営を担う方針を示した。三本の矢のアベノミクスは円安株高効果を生んで一定の成果をみせたが、三本目の成長戦略では未来像が描けずに各種経済指標データの悪化を招いて、安保法制案に執着して内閣支持率を低下させての夢を再びの新三本の矢宣言だ。

 世評の判断は三本の矢の「上書き」で具体策に乏しく、スローガン政治と評判はよろしくない。

 (2)日銀黒田総裁が目標とした15年物価上昇2%達成は目論み違いで16年に先送りしたが実現性には疑問も多く、各種経済指標データの悪化で17年4月の消費税10%引き上げにも影響しそうな気配だ。
 それに合わせた軽減税率の導入も財務省提案のマイナンバーカード使用の還付金方式に反対論も多く方向性が定まっていない。

 その前に来年度の参院選を控えて、安倍内閣の安保法制案の強行採決ダメージによる内閣支持率低下がどう影響するのか、それを見越した安倍首相の新三本の矢宣言だ。

 (3)現在のGDP500兆円を20年度までに600兆円に増やす目標を掲げたが、決め手に欠けて「楽観的すぎる」との指摘が相次いで(報道)物価目標2%の二の舞になりかねない。

 三本の矢では女性活躍社会の実現を掲げたが、新三本の矢では「1億総活躍社会」(active society of all of one hundred millions people)の目標を掲げた。
 これだけでは何を言いたいのかわからないが、国民総人口8千万人時代ともいわれて人口減少時代の中で子育て支援も含めて人口1億人確保をイメージしたもののようで、それでGDPを押し上げようというもののようだと理解する。

 (4)メディアからは「1億総ざんげ」、「1億総白痴化」、「1億総中流社会」を連想する旧時代的な発想で「その言葉は使わないほうがいいのではと止める人は首相周辺にいなかったのか」(報道)との指摘もある。

 言葉の使い方の旧時代的な判断はどうでもよくって、やはり言葉に込められたメッセージ性だ。「1億総活躍社会」といわれると、前回の三本目の矢の成長戦略も描けないでそんなことができるのかとまずいぶかしく思われるし、派遣労働者が60%を占めて生活保護者、世帯の増長社会の中で「1億総活躍社会」といわれても、理念、前途は多難のままだ。

 (5)社会はあちらを立てればこちらが立たずのパラドックス社会(paradoxical society)だから、国民意識改革が大事だ。
 生活に見合った収入よりは、収入に見合った生活という理念がどう理解され定着するかだ。

 もはや高度経済成長など見込めるはずもなく、安定不況時代ともいわれた日本社会だ。グローバル社会を迎えて海外からの資本、人を受け入れれば、その分日本も海外市場への進出に積極的に取り組む必要があり、そういう意味でもTPP交渉の結果が大きく影響することになる。

 (6)「1億総活躍社会」をTPP交渉による「貿易自由化の幕開け社会」とすべきだ。日本経済、産業の高い潜在能力を発揮するための規制緩和、自主性尊重、自覚の政府方針が必要な時代だ。

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政治、国会の私物化。 own property of politics and the diet

2015-10-03 19:38:35 | 日記
 (1)今年12月の任期満了で政界を引退すると公言する橋下大阪市長が原点回帰(the revolution in the original stance)として「おおさか維新の会」を結党した。

 紆余曲折を経て国政政党維新の党を設立したが、東京グループと大阪グループの思惑、政策、スタンスの違いが鮮明になって、橋下市長が政治生命を賭けた大阪都構想が5月の住民投票で否決されて国会に政策実施を働きかける維新の党にこだわる理由も必要もなくなっての、大阪地域政党の原点に帰ってのあくまで自らの政策原点を実行しようとする「おおさか維新の会」の結党であった。

 (2)これにより維新の党の東京グループと大阪グループの主導権争いが激しくなって、それぞれが本家を主張して所属国会議員の争奪戦が表面化している。
 中間派議員からは橋下市長の掲げる「『おおさか』維新の会」の名称は地域色が強いと二の足を踏むものも多く、維新の党に残る議員も多く現在のところでは「おおさか維新の会」は少数派となる見込みだ。

 (3)いつも言われることだが、国会議員は無所属以外はどこかの政党に所属して政党色、政策色を鮮明にして支援を受けて、国政選挙で国民の選択(当選)を受けて代表として国会活動を行っているわけだから、任期途中で勝手な都合で政党を都合よく変わることなど国民審判、選択への背反行為といわれる。

 今回の「維新」を巡る松野代表を中心とする東京「維新の党」グループと橋下市長を中心とする大阪「おおさか維新の会」グループとの本家争い、所属議員の争奪戦は国民の意思をなおざりにした、置き去りにした政治家の野望、欲望、自己願望むきだしの自己中心主義でしかなく、日本の議会制民主主義に背く愚かな行動だ。

 (4)維新の党だけではない。次世代の党からは元自民党議員の平沼、園田の2氏が自民党への復党を願い出て認められて自民党に復帰した。自民党政治に反旗を翻(ひるがえ)して離党した議員が自民党一強時代の中で行き詰まって大樹に寄らばとばかりに自民党に復帰するなどとは、政治家の理念、信念、政策、信条のいいかげんさ、不条理(unreasonableness)をあらわすもので負託を受けた国民を裏切る政治背信行為としか言いようがないものだ。

 (5)次回国政選挙であらたな政党に所属して政策、信条を国民の判断にゆだねることが常道である。維新の騒動も自民党復党も政治、国会の私物化(own property of politics and the diet)であり、安倍政権の安保法制案の会期大幅延長による強行採決による国会私物化の流れがまん延している政治、国会の危機を象徴している。

 (6)橋下大阪市長の「間違い」は、地域政党「大阪維新の会」を理念、政策、信条の違う当時の石原慎太郎代表の「太陽の党」と人気、支持だけを頼りに合併した政治戦略にある。
 原点回帰は間違いではないが遅きに失して、これまでの政治ダメージが大きすぎた。

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AIIBの影の中で。 in the shadow of AIIB

2015-10-02 20:07:55 | 日記
 (1)日本の新幹線は350キロの超高速運転で50年以上もこれといった事故もなく世界に誇る技術開発力を象徴するひとつだ。
 政府もインフラ輸出の柱として成長戦略を推進するものとして積極的に新幹線の海外受注に取り組んでいる。

 インド、タイに続いてインドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画に早くから参入していた日本は、やはり高速鉄道の海外展開を目指す後発の中国と受注競争を繰り広げてきたが、インドネシア政府はいったん高速鉄道計画を中高速鉄道に変更して両国の受注計画を白紙に戻したあと、再び高速鉄道計画を復活させて中国案を採用すると発表した。

 (2)随分とインドネシア政府の曲がりくねったあげくの混み入った経緯による中国案決定だった。インドネシア政府の高速鉄道計画は、報道による計画を見ると狭いジャワ島で必要度が高いのかと思われるもので、当初の計画案では距離200キロに満たないような短距離鉄道路線で将来延長される見込みもあるようだがそれでも4都市を結ぶ計画だ。建設費用対効果があるものか疑問に思えるものだった。

 結果として日本が先行していた受注競争で後発の中国に敗れた日本政府は「常識では考えられない。政府の財政負担や債務保証を伴わない提案はまず我が国としては受けられない」(菅官房長官談)と驚きを隠さない。

 (3)しかしこれまでは高い技術力と安全性で海外のインフラ整備、新幹線の輸出を推進してきた日本ではあるが、これに対して中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立を主導して先進国、新興国、アジア各国がこれに参加している現状を見れば、これから各国は「中国の顔色」を伺ってインフラ整備を進めることは容易に考えられたことだ。

 日本と良好な関係にあるといわれるインドネシア政府にしても、この判断、決断だ。
中国の高速鉄道は「他国より3割安い」(報道)価格面での有利に加えて、AIIB設立主導の政治的背景が大きい。

 (4)AIIBの構想には参加を見合わせた日本、米国が言うように中国主導による運営面での透明性が保障されないという疑問はその通りだが、先進国の多く、新興国、アジア各国が参加を表明して日本の海外インフラの獲得競争に支障が及ぶことは明白になっていた。

 菅官房長官がインドネシア政府の中国案決定に「考えられない」と今更驚くのもおかしな話だ。中国主導のAIIBの影の中で(in the shadow of AIIB)、インフラ整備、高速鉄道計画は技術力、安全性も「ほどほど(moderately)」で財政的な経済効率、費用対効果があれば問題はないとの判断が支配していることが考えられる。

 (5)日本の高い技術力、安全性が海外インフラ受注競争で必ずしも切り札とならない、中国経済力、海外戦略の影響力の大きさだ。
 米国もそうだが中国の巨大マーケット参入を目指して中国との関係改善が各国の外交、経済の主要テーマであり、その影響をモロに受けるアジア各国にとってはやはり中国の「顔色」を伺った方向性を持つことは避けられないところだ。

 (6)日本にとっては対抗する手段はあるのか。日本政府が「常識では考えられない」と言うだけでは常識をくつがえすAIIBの影の中での海外(とりわけアジア)のインフラ受注競争に参加できない。

 同じく中国案を「現実的にうまくいくかは極めて厳しい」(菅官房長官談)と言ってみたってインドネシア政府の選んだ道だ。

 (7)日本の高い技術力、安全性が切り札とならないなら、魅力ある付加価値(an additional merit)をどう開発提案していくのか日本の思案のしどころだ。
 

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拒否権の廃止。 abrogation of a veto

2015-10-01 19:36:58 | 日記
 (1)首脳同士は会うことが大事だと言われるが、国連70年総会にあわせて米国で展開され注目された米中首脳会談、米露、日露首脳会談は双方の思惑、主張が対立してほとんど成果らしきものはなかった。

 中国習国家主席を国賓待遇で迎えた米中首脳会談は中国が二大大国構築を印象づける共同コミュニケの発表を主張したが、重要課題で歩み寄り、成果がなかったことから米国が拒否(報道)して、また国連晩さん会ではオバマ大統領が各国首脳と乾杯のグラスを合わせる中、それを待つかのような仕草(ニュース映像)のプーチン大統領を無視してグラスを合わすことがなかった。

 (2)米国とロシア、中国とのそれぞれが抱える国際問題、シリア支援軍事介入に南シナ海軍事基地化、サイバー攻撃などについての深刻な対立を強く印象づけるだけのものとなった。

 オバマ大統領としては中東政策から撤退したあとロシアのプーチン大統領にシリア内戦化学兵器の国際管理下による廃棄、アサド政権軍事支援によるIS攻撃で次々とイニシアティブをとられて、一方中国とは南シナ海軍事進出、防空識別圏の拡張、拡大に監視を続けながら有効な対策もなく、国連70年総会で世界が注目する中でせめて友好などあらわすことなどできなかったのだろう。

 (3)安倍首相は今国連一般演説で「安保理改革を行い、常任理事国として世界の平和と繁栄に一層の貢献ををする」(報道)と安保理常任理事国入りを強調した。
 日本は常任理事国入りを目指すドイツ、ブラジル、インドと安保理改革の提案を検討しているが、多くの国連加盟国からは安保理での米国、ロシア、中国の「拒否権(a veto)」について廃止(abrogation)する提案の動きもみられる。

 G7先進国で日本とドイツが安保理常任理事国から除外されているのは、先の第2次世界大戦での米英仏など連合国側と戦った敗戦国としての立場が影響しているものと考えられるが、早くから中国が安保理常任理事国入りしているのも敗戦国除外論以外によく理由がわからないところだ。

 (4)現在の中国を見れば政治、軍事、経済で他国を威圧するまでに国際的に脅威、存在感を増しており、国連機構の中で責任を分担、共有することは必要なことだ。
 国連の主要部門の安保理が敗戦国除外論で成り立っていることが国連の存在感や権威、機能、執行に偏向を生んで国際政治、軍事外交、調整力を失っている基盤でもある。

 さらにその安保理が米露中の大国の拒否権によってまともに機能しない象徴となっている。国連安保理改革として拒否権の廃止提案(abrogation plan of a veto)はようやくというか国連の総意一体による機能強化、向上に向けた重要な改革テーマといえる。

 (5)国際政治の影響力はG7先進国から中国など新興国を含めたG20に移行しており、国連安保理での米露中の拒否権行使による狭い原理、理念、主義の国連統治では多角化、多様化した世界政治、情勢にきめの細かい円滑で有効な対応、対策が出来ない原因ともなっている。

 安保理での拒否権を廃止すること自体が3か国の拒否権行使によって実現できないなどとならないように、加盟国の総意として国連改革を進めるべきだ。

 (6)国連が国際政治、軍事外交の調整能力に無力であっていいわけはなく、加盟国の総意が等しく反映されることによって国連の権威、権能(authority)を持たせるべきだ。

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