(1)通常国会が閉会した。岸田首相、岸田内閣の政策を中身のない「アドバルーン」政治と書いたが、今や「逆回転」(contrary turning)政治というのが正しい。
新しい資本主義、成長と分配の好循環を打ち上げたが中身はこれからで、これは目指す理念ということでやむを得ないところはあるが実体構想に時間がかかりすぎて、頼るのは出口論が待たれる日銀の大規模金融緩和策継続に企業の賃上げというところで、しかし企業は物価大幅値上げが継続的に続いて賃上げ効果を上回り実質賃金は減少して国民生活を圧迫している。
(2)政府はたびたび大型補正予算を組んで経済対策を打ち出しているが、財源となる国民の借金の国債発行が増えるばかりだ。防衛費5年で43兆円増額、少子化対策倍増を最重点政策として打ち出したがこれも中身はこれからで国会で野党から追及されてようやくトマホーク400発を発表し、少子化対策ともども財源は歳出見直し、抑制、剰余金、増税と出てくるが、結論はこれからの論議だ。
(3)マイナンバーは河野デジタル相がデジタル化が進まないことに焦り、唐突に紙ベースの健保証を廃止してマイナンバーカードに一元化すると発表して、国民のマイナンバーカード作成は一挙に増えたが自治体での誤登録、誤認定、誤発行が今も続いて収まらずに、あきらかに準備、計画不足が露呈して岸田首相は総点検を指示して急きょ「マイナンバー情報総点検本部」を設置して24年に紙ベースの健保証を廃止する方針を変更して25年まで先延ばしする可能性を示唆した。
(4)国民の個人情報が守られずに漏えいする事態を招いており、政府として国民の身分、権利を守ることが出来ていない。岸田首相の行政手法は見事なまでに手順が「逆回転」しており、結論の最後部から始めて徐々に前に遡(さかのぼ)っていくという前のめりのわかりにくさで、結局は矛盾が露呈して混乱を自ら招き、つくるものだ。
(5)岸田首相の政治手法をみていると政府内の統率、意思疎通ができていなくて各省庁がそれぞれ勝手に動いているようで、デジタル庁を設置して何かと硬直した縦割り行政から柔軟な省庁横断型行政への移行の取り組みをしていることが未完成でバラバラ、まとめきれていない岸田「逆回転」政治だ。
(6)解散総選挙があるとすれば、大義は岸田独断専行、逆回転政治、岸田政治でいいのかの皮肉な選択だ。