(1)最近、非常にものわかりがよくなったものに政治とプロ野球がある。かっての政治はイデオロギー主義で与野党対立が激しく、国会での重要法案では野党が委員会室の入り口を机いすで遮(さえぎ)り審議をさせない徹底抗戦がたびたび見られたものだ。プロ野球も判定で審判に詰め寄り、乱闘騒ぎはたびたび起きた。
(2)与党としては審議時間が縛られても数の力で会期延長でも法案を通すことができるので、野党の徹底抗戦もパフォーマンスとしかみられないもので、国民からも野党の全学連ばりの実力行使にも税金のむだ使いとの批判もあって最近は対案型提案政治を目指して論戦を挑む方式がみられて、言うだけに聞くだけの凡戦の国会に緊張感がなくなった。
(3)かっての社会党は非武装中立論で米軍基地、米国の核の傘に守られる与党自民党に憲法、防衛論争、理論闘争を挑み、国民にもわかりやすい国会論争であったが、逆に水と油の与野党主張で自民党長期政権時代を招く結果ともなった。
(4)6月8日の参院法務委員会での入管法改正案では名古屋税関事件で社会的関心も高く審議継続を主張する野党に対して、自公政権が会期末を控えて委員長の職権で採決を決めて強行採決をして守る委員長席に野党議員が詰め寄り騒然とする中で法案が可決された。
(5)この時、大勢の与野党議員が詰めかけた委員長席に対してその後方かられいわの山本太郎代表が議員の頭越しに乗りかぶさり委員長につかみかかろうとして引き落とされて自民党からは同議員に負傷者が出たとして山本議員に対して懲罰動議を提出する騒ぎになった。
委員長のテーブル前には議員は誰もおらずに(阻止されていたのかわからないが)委員長の後方から議員の頭越しにつかみかかろうとするのもテレビ映りを意識したパフォーマンスにみえ、維新からは与野党緊張感の発露も「強制採決ごっこ」とヤユされる始末だ。
(6)採決に反対するなら以前のように委員長の入場を阻止し審議をボイコットするやり方はあったはずで、詰め寄るにしても委員長のテーブルの前に向かう方法もあったはずだ。反対派野党も反対のための反対ではかっての国民にあきられた野党の決まりきった抵抗戦に過ぎないものだ。
(7)自公与党が数の力で国会審議を支配するなら、野党も数の力に頼るしかない。解散総選挙は近いともいわれている。